2. 実務の現場では、たとえば、卵一つにしても、学内実習のように新鮮な卵ばかりが使えるわけではない、様々な理由で鮮度の落ちた卵を使わざるを得ない場合もある。
2014-10-10 23:12:265. そうでないと、就職した途端、理想と現実とのギャップで、学生達はショックを受け、自分の学んだ技術を発揮する前に、リタイヤしてしまう。昨今の新卒学生離職者の多さも、そのあたりに原因があるのではないか。
2014-10-10 23:13:546. 卵の鮮度を変えた実習授業、実務の現場の、食材を含めた環境を意識した実習こそが、専門学校の職業教育には必要なような気がする、という指摘だ。
2014-10-10 23:14:268. これに対して、辻調の教員側の意見は、講義の中ではそういったことは教えているが、実習ではそういった実習をわざわざ行うということはできていない。今後考えてみたい、ということだった。
2014-10-10 23:15:4111. 教員「学校で教えることは、『おいしい』という味が何かを教えることであって、まずいときにどうするかの前に、『おいしい』とは何か、ということを教えることが学校で学ぶもっとも重要なことだと思います」(続く)。
2014-10-10 23:21:3612. 教員(承前)「そのことなしに、鮮度や食材の質の問題をやっても、小技の話に留まります。そんな小技ほど実務の現場で学べばいいことです。小技しかない実務現場はいくらでもあるのですから」
2014-10-10 23:22:4913. 私「それは大切な指摘だね。なるほど美味しいという味の頂点を見定めることなしに、あらゆる食材の鮮度を見極めながら、その味を目指す調理をすることなどできないよね。味の頂点の高みの体験なしには鮮度の差など存在しないからね」
2014-10-10 23:23:3515. 私「そうか。なるほど『頂点』というような言い方はたしかにおこがましい。『ストライクゾーン』を外さない経験を学生時代にさせる。それがあらゆる食材評価や食材調理の基本なっていくということですね」(続く)
2014-10-10 23:24:2916. 私(承前)「たしかに、調理の事業所(就職先)なんて、小規模なところも多いから、ストライクゾーンと言っても、ゆるめのストライクゾーンの事業所も多いし、経験主義的な外れもある。本来のストライクゾーンをきちんと学ぶには学校しかない」
2014-10-10 23:24:5117. 私「そもそも、離職者が多くなるのも、ストライクゾーンの経験がないからとも言えますね。それさえあれば、自分の務めた事業所がどんなところであっても、ぶれずに仕事に集中できる」
2014-10-10 23:27:0419. 私「学校教育が『基本』教育だというのは、基礎教育や入門教育のことを言うのではなくて、実務の多様性に惑わされない基本を身につけさせると言うことね」
2014-10-10 23:30:4520. 私「その手前の実践教育とか即戦力教育というのは、逆に、実務の多様性に埋もれてしまい新卒離職者を増やしてしまっているということね」
2014-10-10 23:32:1821. 教員「そうだと思います。若い学生のうちに、下手な食材処理テクニックを身につけさせるのではなくて、味覚が麻痺してしまっている若者たちに、まずは味のストライクゾーンを体得させることです。そのための料理、製菓の教育を行うのが第一優先です」。
2014-10-10 23:35:3422. 教員「技術教育はストライクゾーンの体得なしには意味がありません。ストライクゾーンを目指すためにこそ技術は存在しているのですから」
2014-10-10 23:36:0323. 私「そこ(ストライクゾーン)が分かっていれば、鮮度評価やその処理はあとから付いてくる、と。一方、それをわかっていない人材は、いつも小技で終わる職人に留まる、と」
2014-10-10 23:38:1225. 私「いや、勉強になります。だとすると世間の考える実践的教育とか即戦力人材育成というのと、今の議論とはかなり乖離があるよねぇ。この乖離をきちんと埋めていく努力なしには、実務家と学校現場が議論しても必ずすれ違いに終わる」
2014-10-10 23:41:04