- nabanaba47
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ごんは、人間と仲良くなりたいと思っていました。しかし、人間は狐であるごんを、畑を荒らす、家畜を襲うなどの理由で、大層嫌っていました。
2014-10-12 20:22:41ごんは悩みました。人間と仲良くなるためにはどうしたらよいだろうか?そこで、友達だったかちかち山に住む狸に、相談することにしたのです。
2014-10-12 20:23:59すると狸は言いました。「それならば、僕が人間を襲おう。そこで、ごんが助けに入るといい。そうすれば人間は、ごんをいい狐だと気づくはずだ。」
2014-10-12 20:25:11ごんは言いました。「それでは、狸が悪者になってしまう。」すると狸は「大丈夫だ。僕は、友達である君を助けたいんだ。」そう言って、笑いました。
2014-10-12 20:27:24ごんは、狸の作戦に乗ることにしました。狸が人を襲い、ごんが助けるという算段です。 狸は、山の麓に住む、老夫婦に、少しだけ怪我をしてもらおうと思いましました。
2014-10-12 20:29:10狸は、怪我を負ったふりをして、お婆さんに助けてもらい、家に入り込みました。そこで、背後から襲いかかったのです。 するとどうでしょう、お婆さんは倒れたまま、動かなくなってしまいました。
2014-10-12 20:30:26狸は、人間とは違う動物でした。力加減がわからなかったのです。狸は焦り、優しいお婆さんを襲った事実が恐ろしくなり、逃げ出してしまいました。
2014-10-12 20:31:34ごんは、その一部始終を見ていました。そして、ごんも狸と同じように、ひどく焦りました。 そして、自分に出来ることを精一杯考え、せめて、お婆さんを元気づけられるような食べ物を届けようと思ったのです。
2014-10-12 20:33:01そうだ、あそこの川には、大きなうなぎがいたはずだ。そう思い、ごんは川へ走りました。 すると、ちょうどよく、うなぎを取るための罠が仕掛けられているではありませんか。
2014-10-12 20:34:21ごんは、罠を仕掛けた人間に悪く思いながらも、お婆さんのため、狸のために、うなぎを拝借することにしました。 しかし、罠は人間のものです。ごんは、狐でした。上手にとることができず、間違えてうなぎを逃がしてしまいました。
2014-10-12 20:35:51ガサガサと、茂みをかき分ける音が聞こえます。きっと、罠を仕掛けた人間のものだ。ごんはすぐにわかりました。 どうしようもできず、ごんは、狸と同じように逃げ出してしまいました。
2014-10-12 20:37:39巣へ帰り、眠り、起きたごんは、今度こそと、昨日とは違う川へ出かけました。 同じ川へ行っては、あの罠を仕掛けた人間と、であってしまうと思ったからです。
2014-10-12 20:40:24狸のことも気になっていたからか、かちかち山に近い方の川にいくことにしました。 すると、川下りをしている舟が二つ見えました。人間かと思い、咄嗟に隠れて見守ると、なんと、友達の狸と、見知らぬ兎ではありませんか。
2014-10-12 20:42:44ごんは、声を掛けることもできず、ただ舟を追いかけることにしました。 少し走った頃でしょうか、狸が乗っている方の舟が、だんだん沈みはじめました。
2014-10-12 20:44:28ごんは、焦りました。倒れているお婆さんを、後悔に染まった狸の顔を、遠目で見たときよりも、いっそう焦りました。 兎が言いました。「たいへんだ、これに掴まって!」
2014-10-12 20:46:14がんがんと、狸を叩きつける音が辺りに響きます。兎は、狸を助ける気など、これっぽっちもなかったのです。 舟を漕ぐ木の棒が、狸を冷たい水の中へと押しやりました。 そして、ついに狸は、浮かんできませんでした。
2014-10-12 20:48:22ごんは、無表情のまま水面を見つめる兎と、しんと静まり返った辺りが、ひどく恐ろしく感じました。 どうしようもできず、何度目かもわからないまま、ごんは、また逃げ出してしまったのです。
2014-10-12 20:51:30はっと目が覚めて、ひとりきりの、いつもの寝床です。 狸が浮かんでこなかった、あの川と同じような静寂でした。 たまらず、ごんは飛び出しました。
2014-10-12 20:53:41思いっきり、どこまでも行くつもりで、必死に走りました。 今までの記憶を振り払うように、必死に走りました。 どこからか、沢山の人の足音が聞こえました。
2014-10-12 20:54:44行列は一つではありませんでした。前と後ろに一つずつ、別の列がありました。そして、後ろの列には、あの兎が、泣きながら混じっていました。
2014-10-12 20:56:50「どうして、お婆さんが、死ななくてはならないんだ。」 兎が、嗚咽混じりにつぶやいたのを、ごんは聞き逃しませんでした。 同じように、前の列の青年も、つぶやきます。「せめて、おかっさんに、うなぎを食わせてやりたかったのに。」
2014-10-12 21:00:05