#完全ノープラン艦これ与太話 【ライジング・コメット・ダイバーダウン】 #3~#4

ニンジャスレイヤーをリスペクト重点した艦これファンジンSSです。 暗黒メガコーポ登場。 #1~#2: http://togetter.com/li/727514 続きを読む
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春魔解丼 @vespiking

「全く遅いじゃない。時間厳守がこの国の美徳じゃないの?……で、そっちはどなたかしら」応接室の最奥に座る尊大な艦娘が、テラをじとりと睨んだ。超大型の戦艦艤装。日本艦離れした輪郭線。美しく冷酷な瞳。大日本帝国軍中将、鉄血のビスマルク。ナムサン。テラはセプクを覚悟した。 #KZNPLN

2014-10-13 08:40:05
春魔解丼 @vespiking

「彼女の名はテラ。ヨコスカアーセナルのエンジニアです。この度、我が社に陸爆の技術提供をして頂けると」「なにそれ。聞いてない」「……でしょうな」「アイエエエ……」テラはへなへなと崩れ落ち、情けなく失禁した。テラは独断でここへ来た。重大な機密漏洩行為のためにだ。 #KZNPLN

2014-10-13 08:44:18
春魔解丼 @vespiking

「そこでご提案がございます!」バンダウは先とうってかわり、勇壮なプレゼンテーション口調でビスマルクと相対した。「提案?」「この者が不正な技術提供を為そうとしているのは明白。ですが!我々はそう、陸爆の研究をちょうど進めているところでした。そして行き詰まっていた」 #KZNPLN

2014-10-13 08:47:07
春魔解丼 @vespiking

「ビスマルク閣下もご存知の通り、我が社は実際クリーンな企業ではない。しかし我が社のダーティな側面は、日本の国防に大きく貢献している。反日主義の武装勢力に対する武装提供で、一体何度の無差別テロが未然に防がれたか?戦争で平和を保つ。我々と現司令長官とは、同じ志を持つ」 #KZNPLN

2014-10-13 08:52:14
春魔解丼 @vespiking

「我が社が深山クラスの新型陸爆を完成させれば、計算上、大日本帝国の治安は35%向上します!……そこで、帝国軍幹部たる閣下にお願いしたい。この者の『不正な』技術提供を、軍として『内密に』サポートして頂きたく」テラの顔がみるみる青くなる。 #KZNPLN

2014-10-13 08:54:56
春魔解丼 @vespiking

「ハ!言うじゃない。さっきまでのフヌケたサラリマンとは別人ね。面白いわ!」ビスマルクの顔はテラとは対照的に、興奮で紅潮していく。「で、見返りは?」「衛星ロケット計画。我々も『内密に』協力しましょう。宇宙開発のノウハウもある」「そうよ!そういう話をしに来たのよ!」 #KZNPLN

2014-10-13 09:00:53
春魔解丼 @vespiking

ロケット?宇宙開発?雲の上で交わされる会話を空で聞きながら、青ざめた顔でテラは両者を見た。一斉に振り向いた。ナムサン。テラは後悔した。最早、後には退けない。「……では聞こう。テラ=サン。君はここで、何を造りたい」 #KZNPLN

2014-10-13 09:02:45
春魔解丼 @vespiking

テラは覚悟を決め、決断的に言い放った。「ヤタガラスと同等の代替発動機を、造りたい。それで6発機を造る。皇国兵器のミッシングリンク……『富嶽』を、建造したい」 #KZNPLN

2014-10-13 09:06:21
春魔解丼 @vespiking

●おしらせ● ほんじつの更新にてオミナント社が『反日武装勢力に対する武装提供』と書かれましたが、正しくは『反日武装勢力と対立する勢力への武装提供』です。担当者はねむさのあまり間違えたのでケジメは必要ないと具にもつかぬ言い訳をしましたが、送りました。ごあんしんです。 #KZNPLN

2014-10-13 09:27:50
春魔解丼 @vespiking

●●●●●●●●●●●●● #KZNPLN

2014-10-17 07:54:19
春魔解丼 @vespiking

#完全ノープラン艦これ与太話 【ライジング・コメット・ダイバーダウン】 #4 #KZNPLN

2014-10-17 07:55:53
春魔解丼 @vespiking

――テラが消息を絶って数週間後。 #KZNPLN

2014-10-17 07:59:29
春魔解丼 @vespiking

大きな音を立て、家のドアが開く。そういえば昨晩は戸締りをしていなかった。エクサはのそのそと起き上がり、玄関へと向かった。見慣れた2人の妖精がいた。「……ドーモ、キッカワ=サン。タモン=サン。ゴブサタです」心なしか、以前とアトモスフィアが違う。 #KZNPLN

2014-10-17 08:03:43
春魔解丼 @vespiking

「どうしたんです。返事なら前に」「アー、今回はまあ、それも考え直して貰えるなら、まあ、有難いんだが、それとはまた、別の話だ」キッカワが頭を掻く。「別の話?」「ああ。大本営から、陸爆エンジニアとしてのあンたに、協力要請だ。未来の役職じゃなく、今のあンたへの、仕事だ」 #KZNPLN

2014-10-17 08:08:37
春魔解丼 @vespiking

「……ドーゾ」エクサは訝しみながらも、2人を初めて自宅へ迎え入れた。乱雑に散らかったリビングを適当に片付け、どうにか座れるだけの空間を確保する。「チャでも出します」「イエ、結構」「ドーモ」形式的なアイサツを済ませ、タモンが本題を切り出す。 #KZNPLN

2014-10-17 08:12:12
春魔解丼 @vespiking

「忌憚のない意見を伺いたい。『ヤタガラス』についてはご存知よね?それの改良型、出力110%、冷却効率125%を実現した新型霊的発動機。これを6発と、総重量20tの爆弾を搭載した全長46m、全幅63mの重爆撃機。高度10000m。これを乙戦で撃墜するのは可能か?」 #KZNPLN

2014-10-17 08:20:36
春魔解丼 @vespiking

「皇国兵器は戦力として計算可能か?」「ペーパープランのものは外して戴きたい。具体的には秋水、橘花、火龍は少数ながら実戦配備可能モデルが残存している。これらは戦力に勘定してもらって構わない」「ヤタガラス秋水の航続時間は?」「7分だ」エクサはバチバチとソロバンを弾く。 #KZNPLN

2014-10-17 08:25:47
春魔解丼 @vespiking

「結論から言おう。可能だ」「本当か!?」キッカワが身を乗り出した。タモンはあくまで冷静だ。「……成功率は?」「1%未満。あくまで理論上の可能性だ。実行に移すのは、正気の沙汰ではない」エクサは言い切った。 #KZNPLN

2014-10-17 08:28:42
春魔解丼 @vespiking

「ブッダ!マジかよ!」キッカワは大袈裟に落胆してみせた。「その根拠は?」「計算上。その機体スペックであれば、高度10000m付近で恐らく900km/h以上出せる。まずこの時点で、大半の乙戦が除外される。上昇力も高高度における速力も足りない」 #KZNPLN

2014-10-17 08:34:25
春魔解丼 @vespiking

「唯一太刀打ちできるのが、ヤタガラス秋水だ。ヤタガラスエンジンは本来、無尽蔵に近い安定した航続距離が長所だった。それを完全燃焼させ、短時間で超速度を得る。秋水を常時フルパワーで運用したとすれば、3分で機体を成層圏まで持ち上げられる。水平速度は1000km/h」 #KZNPLN

2014-10-17 08:41:55
春魔解丼 @vespiking

「つまり端的に言えば、秋水の全力フルスピードで4分以内に機関砲を当て、重爆撃機を撃墜すればいい。ちなみに伺うが、防御火力はどの程度だ」「上部以外に20mm機関砲8挺。自動補足式。ヤタガラスと同種の砲弾直進機構あり」「射程は」「零式戦闘機の3倍」「訂正する。1分だ」 #KZNPLN

2014-10-17 08:52:07
春魔解丼 @vespiking

「防御火力の射程外かつ同高度まで直線軌道で上昇し、20mm機関砲の狙撃を躱しながら接近し、爆速で飛ぶ重爆を射程内に捉え、最も理想的なタイミングで最初の一発目を当てる。ここまで最速で6分。秋水の機関砲は30mm。霊的兵器の装甲を考慮して、必要な直撃弾……最低12発」 #KZNPLN

2014-10-17 08:58:39
春魔解丼 @vespiking

「貴重な虎の子ヤタガラス秋水を抱えて飛ばし、帰還率と成功率は特攻以下か。高いバクチだな」「そうなる」「ブッダファック!どうにもならねえのかよ!」キッカワが落胆した。「専門家として言えるのは、以上だ。……状況が飲み込めない。一体、何が起きてる」エクサが問うた。 #KZNPLN

2014-10-17 09:02:40
春魔解丼 @vespiking

「……恐らくはオミナント警備と思われる、自律式超重爆。霊的兵器。それが暴走している。高度10000mから、オファーのあった紛争地帯へ高高度爆撃を開始。そこまではよかった。だが、コントロールが効かない。もし非戦闘地域に爆弾が落ちれば、帝国は最悪、転覆する」 #KZNPLN

2014-10-17 09:06:44