"Towards a theory of development"まとめ

発生生物学とその哲学の論文集"Towards a theory of development" (Minelli & Pradeu 2014)のまとめ。
0
前へ 1 2 3 ・・ 7 次へ
Yoshinari Yoshida @YoshinariYsd

(3)遺伝的な進化。Genericな過程によるところが大きかった原始的な発生過程は、やがて遺伝子ネットワークによって制御されるようになり、さらに安定化しかつ複雑化することが可能になる。その結果、多くの形態形成の過程は非生物には同様の現象が見られないような生物に特有のものとなる。

2014-09-22 00:11:21
Yoshinari Yoshida @YoshinariYsd

著者は自身の研究を、GoetheやGeoffroy Saint-HilaireからBrian Goodwinに連なる「形態の法則」探求の伝統の中に位置付けている。

2014-09-22 00:27:47
Yoshinari Yoshida @YoshinariYsd

そして、細胞や分子のみに注目して形態を所与のものとしてしまっている(と彼が考える)主流派の発生生物学や、進化における創造的な作用を適応のみに帰する(と彼が(略))総合説を批判する。

2014-09-22 00:38:29
Yoshinari Yoshida @YoshinariYsd

彼は結論において、自身の研究が形態形成そのものに焦点を当て、物理的・化学的な作用と発生の制約の進化における重要性を捉えているという点を強調する。また、発生の理論の基礎を与えうるという意味でも重要であると述べている。

2014-09-22 00:45:51
Yoshinari Yoshida @YoshinariYsd

内容的には著者のこれまでの研究を再構成した感じで、この論文自体にはあまり新規性はないのかも(恥ずかしながらあまりNewmanの論文を沢山読んじゃいないのではっきりとは分からないが、参考文献を見た感じ多分そう)。ただ構成はよくまとまっていて読みやすいし、議論の中身も興味深い。

2014-09-22 00:47:57
Yoshinari Yoshida @YoshinariYsd

発生がらみであるとはいえ、議論の主題は飽くまで進化という歴史的な過程になっている。EvoDevoの人だから当然か。その点はこれまで読んだ章とは大きく異なっていて、色々比較して分析すると面白そう、なので読み終わったらやる。

2014-09-22 00:58:59
Yoshinari Yoshida @YoshinariYsd

(論文集全体を)読み終わったらやる

2014-09-22 00:59:49
Yoshinari Yoshida @YoshinariYsd

"Towards a theory of development through a theory of developmental evolution" (Moczek)読了。Towards a theory of developmentの第14章。

2014-10-05 18:47:58
Yoshinari Yoshida @YoshinariYsd

「発生の理論」は「発生の進化の理論」の一部として構築されるべきだ、というのが著者の主な主張。そうすることにより、我々は現在の諸生物の発生メカニズムの性質を理解できるだけでなく、その性質の歴史的・系統発生的理解をも得られるとMoczekは言う。

2014-10-05 18:55:24
Yoshinari Yoshida @YoshinariYsd

発生の理論は発生の結果(細胞・組織・器官など)、それらを生み出す発生の過程、および結果と過程の関係に焦点を当てるものであるべきである。また、その理論は発生過程の多様性を概念化し、それらに共通する一般的規則を発見し、関連する概念枠組みを結び付ける機会を与えるものであるべきでもある。

2014-10-05 19:11:03
Yoshinari Yoshida @YoshinariYsd

この点を強調しつつ、著者は発生の理論を構築するために求められる作業を3つに分けて提示する:(1)相同形質を作り出す発生過程の収集分類、(2)様々な相同形質を作る過程の間での入れ子状の階層性の確立、(3)各々の相同形質における、次世代に継承される変異のパターンと原因の解明。

2014-10-05 19:25:31
Yoshinari Yoshida @YoshinariYsd

以上がMoczekの言う、「発生の進化の理論の一部であるところの発生の理論」の構想とそれを構築するための作業の概要なわけだが、話が抽象的で非常にざっくりとしていて、他の収録論文に比べると著者の展望が掴みづらい。ページ数が少ない(7ページ半くらい)せいもあるか。

2014-10-05 19:32:05
Yoshinari Yoshida @YoshinariYsd

発生機構が形成されてきた進化過程にも着目する、相同形質を統合原理(?)のようなものとして用いる、というのが特色なのは分かるのだが、結果として形成される理論が非常にイメージしづらい。一応事例として昆虫の付属肢の発生過程の分析が挙げられているが、これも半ページしかなくて物足りない。

2014-10-05 19:40:19
Yoshinari Yoshida @YoshinariYsd

まぁ、未だ見ぬ発生の理論はこうこうこういうものであるべきだ、そのためにはこういう作業が必要だ、ということを語っている論文なので、イメージがある程度曖昧かつ抽象的になってしまうのは仕方ないといえば仕方ないのかも知れない。

2014-10-05 19:42:17
Yoshinari Yoshida @YoshinariYsd

"Animal development in a microbial world" (Nyholm & McFall-Ngai)読了。Towards a theory of developmentの第17章。

2014-10-13 17:00:46
Yoshinari Yoshida @YoshinariYsd

最近流行り?の、微生物が動物の正常発生に与える影響についての研究をまとめた論文。原腸の進化に共生細菌が関与したかも、という話とか、有名なイカと発光バクテリアの話とか。メタ科学的な議論はほとんどないレビュー論文。

2014-10-13 17:08:08
Yoshinari Yoshida @YoshinariYsd

導入部分で、発生生物学者が直面する課題として(1)微生物との相互作用という文脈における、動物の個体発生を貫く基本原理を定めること、(2)それらを現在の発生生物学の枠組みに統合すること、の二点を挙げていたのでそういう哲学的な議論も期待したのだけどそれはなかった。ひたすらレビュー。

2014-10-13 17:13:19
Yoshinari Yoshida @YoshinariYsd

ゆえにまとめるべきことも特にない。

2014-10-13 17:14:06
Yoshinari Yoshida @YoshinariYsd

"Reproduction and scaffolded developmental processes: An integrated evolutionary perspective" (Griesemer)読了。

2014-10-19 15:06:22
Yoshinari Yoshida @YoshinariYsd

Towards a theory of developmentの第12章。著者は本論文において、「複製」の過程を中心に据えた新たな発生概念を提唱する。彼によれば、このような新たな発生概念を採用することは発生生物学の理論を構築するための有効な手段の一つになる。

2014-10-19 15:23:56
Yoshinari Yoshida @YoshinariYsd

詳しく紹介するのは大変なので非常にざっくりとまとめると:Reproducerはより多くのreproducersを作り出す能力を持つ。Reproductionにおいては、次世代を構成する物質の少なくとも一部は前世代を構成する物質に由来する(material overlap)。

2014-10-19 15:38:14
Yoshinari Yoshida @YoshinariYsd

発生とは、生物の組織化の各階層に位置する存在がreproduceする能力を獲得する過程である。例えば多細胞生物の発生は細胞のreproductionを必要とするが、細胞がreproductionの能力を獲得するためには娘細胞の成熟が必要で、この成熟の過程もまた「発生」である。

2014-10-19 15:48:31
Yoshinari Yoshida @YoshinariYsd

著者が提案する発生概念は、適用される過程の種類、レベル、規模、物質的基盤、構造等を選ばない。従って、それは現在の一般的な発生概念(細胞レベルの現象であると普通みなされる)を適用することができない様々な現象に適用されうる。

2014-10-19 16:02:37
Yoshinari Yoshida @YoshinariYsd

さらに、発生と環境との関係を考える上で重要なのがscaffold(足場)の概念である。ある系の発生を助ける/促進するような環境からの物質的な入力を「足場」と呼ぶ。典型的には、「足場」は自身と発生する系からなる一時的な混成物を形成することによって系の発生を助ける。

2014-10-19 16:24:21
前へ 1 2 3 ・・ 7 次へ