ケンペイｖｓ座礁艦隊！　あとパンツ　～フライングフィッシュ・オブ・アラビアン～　その６

RyoRi （VRVape屋さん） @ryorinovels

「ヌゥーッ…」苦悶するケンペイ天狗。戦艦の臂力を振り払うことができない！ギリギリと締め上げられ、腕の筋骨が悲鳴を上げる！「呉鎮守府第199支部」唐突な言葉が扶桑の口から紡がれた。「覚えていませんか。水際防備の名目で、周辺沿岸地域を強権的に地上げしていた、山口県の鎮守府」 61

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「それがどうした…」「貴方が潰した鎮守府です」「ブラック鎮守府のことなど、いちいち気に留めてはおらぬ」「では、そこにいた、建造されたばかりの私も覚えてはいないのですね」腕を締め付ける力が増し、ついにケンペイの両腕の骨がボキリと折れる！「グ、グワーッ！」 62

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「一時は貴方に感謝しました。あそこにいたままでは、私は重複艦として処分されていましたから。でも結局、ミュグラ少佐に拾っていただけなければ、私は捨て艦として前線で使い潰される運命にあった」さらに腕を潰し千切ろうと握力を込める扶桑。ケンペイ天狗は足で抵抗するが、ビクともしない！ 63

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「貴方は欺瞞の塊です。噂に聞くような、艦娘のために戦うヒーローではない」「私は端からヒーローのつもりではない…！」「ではブラック鎮守府さえ潰せればそれでいいと？結局あの後、199支部に所属していた殆どの艦娘がどうなったかも、貴方には関係ないと言うのですね」 64

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KABOOM！「グワーッ！」ケンペイ天狗が爆炎に包まれる。拘束したまま右腕の15.5センチ連装副砲を接射したのだ！「一部の高練度な艦娘以外は、慰安所所属となり多くの男と強制的に前後させられる日々を送るか、捨て艦として沈み、新たな深海棲艦となりました」 65

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KABOOM！「グワーッ！」ケンペイ天狗が再び爆炎に包まれる！「ブラック鎮守府から解放され、艦娘が自由になったことなど数える程しかありません。大抵は同等の境遇か、それ以下に貶められるだけです。基本的に艦娘は、海軍と離れて生きてはいけない…！」 66

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KABOOM！「グワーッ！」ケンペイ天狗が再び爆炎に包まれる！白い第二種軍装は半分ほど燃え尽き、深海棲艦のような青白い素肌を露わにする。「私は本当に幸運だった。少佐と一緒になれたのは、貴方のおかげ。でも今こうして貴方が、少佐と私を引き裂こうとするならば…」 67

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KABOOM！ケンペイ天狗が再び爆炎に包まれる。…しかし！「ンアーッ！」倒れこむのは扶桑！煙の中からケンペイ天狗が脱出し、間合いを取って着地する。両の下腕は無惨に潰され、力なく垂れ下がっている。深海棲艦の自己治癒力が働かない。エネルギーが足りないのだ！ 68

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扶桑を押し倒したのは…座礁艦隊の叢雲である！「イヤーッ！」手に直接持った魚雷を扶桑の体に叩き込もうとする！「イヤーッ！」扶桑はそれを腕でインタラプト！ KAB-BOO-OO-M！「ンアーッ！」「ンアーッ！」扶桑の左下部の主砲と飛行甲板が鉄屑と化す！叢雲は片腕を失い吹き飛ぶ！ 69

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「おのれ…あと少しの所で…っ！？」扶桑は目を疑った。吹き飛ばされている最中の叢雲が、片手で器用に迷彩のズボンを脱いでいる！白いレースのパンツが！マルミエ！その先には…メンポの口元を外したケンペイ天狗！まさか…まさか！「イヤーッ！」尾骶骨の隙間からケンペイ天狗の歯がパンツに！ 70

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ゴウランガ！ケンペイ天狗は手を一切使わず、口でパンツを脱がしたのだ！そのままブリッジ回避めいて仰け反る！尻肉の間スレスレを通過した天狗の鼻が、マルダシにされた叢雲の大事な部分を隠す！扶桑からも監視ドローンのカメラからも確認できない！ワザマエ！青少年のなんたるかに配慮！ 71

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叢雲はケンペイ天狗を通過後、一瞬でズボンを履き直す！受け身を取って着地！ケンペイ天狗の口に咥えられた最後のパンツは…滴るほどに濡れている！今までのスポーツドリンクではない。携帯型の高速修復剤が、たっぷり染み込んでいるのだ！瞬時にケンペイ天狗の怪我が完全に修復される！ 72

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この場を借りてケンペイ天狗並びに作者様に謝罪します。だがこの手しか無かったのだ。何しろパンツだ。仕方がなかった。

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利敵行為！ 扶桑は確信した。やはり座礁艦隊とケンペイ天狗はキョウリョク・カンケイにあったのか。これまでの不自然な行動も、それで説明がつく。気づいているのは自分だけか。覚悟を持って絶った通信を、恥を忍んで再び繋ごうとする。ケンペイ天狗はそれを見逃さない。右腕が瞬時に変質する。 73

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「イヤーッ！」6インチ連装速射砲の群れがケンペイ天狗の右腕表面にびっしりと出現、一斉に火を噴く！「ンアーッ！」扶桑の頭飾りと張り線を破壊！通信不能！「イヤーッ！」瞬時の次弾装填が完了し、第二射！徹甲弾！「ンアーッ！」残っていた試製35.6センチ三連装砲が爆発！ 74

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回復されたエネルギーにより、扶桑の強化装甲に対応した貫徹力を持つ弾頭を生成したのだ。あらゆる部品が生体パーツである深海棲艦の成せるワザ！「押し通る。オヌシはここで立ち尽くせ」テング・オメーンの口元から蒸気を吐き、ジゴクめいた宣告。ケンペイ天狗の目は赤いエリートの炎。 75

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否。その赤は。扶桑は根源的な悪寒を覚えた。テングの双眸から燃え立つ赤黒い炎は、鬼。イベント海域で出現する、深海棲艦のグランドマスター・クラスがたたえるそれに違いなかった。「い、イヤーッ！」扶桑は恐怖にかられて右腕の15.5センチ三連装砲を構える！「イヤーッ！」「ンアーッ！」 76

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三連装砲が扶桑の右腕もろとも爆発四散した。一瞬であった。「行きなさい！行けえっ！」上空待機していた航空機部隊を仕掛ける。壊れた格納庫の中の、無事な機まで全て射出。数十機の爆撃機がケンペイ天狗に飛来。彼の両腕がまた変化する。ハリネズミのような対空機銃。レーダー状の物体もある。 77

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「Wasshoi!」天狗は高く跳躍。高速回転し、対空機銃を掃射した。何十、何百もの火線が撃ち上げられた。無数の弾丸は炸裂し、扶桑の航空機をあまりにあっけなく、殲滅した。「敵前でジャンプするなどウカツ！イヤーッ！」扶桑は残った右下部の35.6センチ連装砲を振り向け、撃つ！ 78

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ケンペイ天狗は空中で高速回転を止めた。その両腕には16インチ三連装砲があった。「イヤーッ！」一斉射。二者の間で二発の砲弾が衝突、他のいくつかの弾頭を巻き込んで爆発した。誘爆をまぬがれたケンペイ天狗の砲弾が、異常な正確さで扶桑に吸い込まれた。悲鳴すら上げられず、倒れる。 79

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バイタルパートの装甲にいくつもの穴が開いていることを扶桑は感じ取った。ケンペイ天狗は軌道を変えて落下し、扶桑に覆いかぶさる。全砲門を照準。艦娘を殺さない筈のケンペイ天狗は、今や明確な殺意を向けていた。次弾装填まで一分。その間、絶望に打ちひしがれた扶桑を見て愉しむというのか。 80

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「貴方は…」口から血と重油を溢れさせながら、扶桑はケンペイ天狗の、狂気に蝕まれた異貌を見上げた。噂には聞いたことがある。天狗も艦娘を殺したことがあると。マレーシアでマフィアまがいのことをやっていた艦娘が、同じく艦娘である取り巻きと共に惨殺された事件。その犯人が彼だという。 81

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うなーーーーお。間の抜けた猫の鳴き声が聞こえる。声は他ならぬ天狗から発せられていた。「ああ、多摩、よくやった。今トドメを刺す。心配するな。すぐ終わる」うわ言をしゃべるケンペイ天狗。先ほどまでの覇気のある声ではない。彼は狂人なのだ、やはり。扶桑は諦めて、力を抜いた。 82

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その時ケンペイ天狗の体へ巨大な金属構造体が横殴りに衝突し、扶桑から引き剥がした。彼女の真上ギリギリを通過した反重力飛行艇は、そのまま砂丘に頭から突っ込み、不時着した。 83