「ベイン・オブ・サーペント」

B・ボンド&P・モーゼズ作。ネオサイタマを舞台としたサイバーパンク・ニンジャ活劇「ニンジャスレイヤー」の私家翻訳物 詳細はこちら http://togetter.com/li/73867
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ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「質問に答え....、....?」ふと瞬きしたその時、ニンジャスレイヤーは姿を消していた。「畜生!」ナンシーは毒づいた。しばらく待つと、ナンシーの両脚にも自由が戻ってきた。くるぶしの傷が心配だったが、さいわい、腱は無事のようだった。ナンシーは脚を引きずり、606号室へ戻った。

2010-08-03 23:33:25
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

リビングにはアラキの死体が放置されていた。ナンシーは残された手がかりを求め、部屋を行き来した。殺風景なアラキの住居には何も残されてはいない....いや!違う!

2010-08-03 23:38:52
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

リビングのタタミに残されたアラキの血の染み。それはメッセージだ!わずか三文字の、だが、なんらかの意図の元で残された、彼の死に際の暗号だ。「....タヌキ」ナンシーはその単語を口に出してみた。タヌキ。この言葉に、何かが隠されている。

2010-08-03 23:45:26
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

血で書かれた暗号「タヌキ」。ニンジャスレイヤーはこれに気づいただろうか?......いや。ナンシーは唇を噛んだ。この意味をつきとめれば、いずれ彼女は真実にたどり着くはずだ。そしてそこにニンジャスレイヤーもいるはずである。ここで引き下がる訳にはいかない。

2010-08-03 23:53:47
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

五分後、ナンシー・リーはロードキルに再びまたがり、ハイウェイを疾駆していた。汚染された雲は嘘のように晴れ渡っていたが、太陽もまた、曇天と同じく不快だった。病んだ太陽は、溶けかかったドクロのような不吉なシルエットをネオサイタマに投げかけるのだった。

2010-08-04 00:09:01