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銀の縁にて

竹村京さん(@kyou_takemura)の書いてくださった、落ちぬい二次創作です。 今回はギンブチ鎮守府における戦闘活動を含むお話です。分割思考の実態などをどうぞお楽しみあれ。 ご感想などは、竹村京さんor#落ちぬいタグへ。 続きを読む
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竹村京 @kyou_takemura

ふと思い出したのだ、会敵直後に「空母打撃群とほぼ同じ構成だ」と考えたことを。空母打撃群だとしたら今戦った艦隊は空母の比率が高すぎる。もしかしたら他の戦艦や重巡は別行動をとっていたか、あるいは合流前だったのかもしれない。#落ちぬい二次

2014-11-14 01:00:48
竹村京 @kyou_takemura

『ニ級、ル級、ともに撃沈しました』 『よくやりました』 加賀から報告が入るが、先程の懸念が気にかかって喜べない。 ややあって、翔鶴から報告が入る。 『敵増援部隊を発見!』 やはりか。#落ちぬい二次

2014-11-14 01:02:31
竹村京 @kyou_takemura

構成は戦艦ル級1、タ級1、重巡リ級2。数は少ないが打撃力と防御力に優れた艦だ。それが全速でこちらに向かってきている。 『速やかに体制を整えなさい。加賀は艦戦を出して航空支配を継続。他は攻撃に回りなさい』#落ちぬい二次

2014-11-14 01:04:01
竹村京 @kyou_takemura

喉の奥がぬるぬるする。鼻血が止まらず喉の方に逆流しているらしい。頭が締め付けられるように痛い。 だが気にしている余裕はない。私が気を抜いたら艦娘たちが死ぬ。#落ちぬい二次

2014-11-14 01:05:52
竹村京 @kyou_takemura

『由良大破、摩耶中破!』 さすがに戦闘を終えて消耗した状態では回避能力が落ちるか。 『二人を守りなさい。敵空母は沈めました、生きて帰ることを第一に行動するように』#落ちぬい二次

2014-11-14 01:07:08
竹村京 @kyou_takemura

赤城と加賀を攻撃と防空に専念させ、翔鶴と瑞鶴は被害を受けた二人のもとに急行させる。速力が落ちた二人を曳航させるためだ。 『リ級を二隻とも撃沈しました。引き続き戦艦を攻撃します』 赤城の報告に返答する余裕もない。#落ちぬい二次

2014-11-14 01:08:12
竹村京 @kyou_takemura

瑞鶴が由良を、翔鶴が摩耶を曳航するため曳航索の接続を始める。 『タ級を撃沈、ですがル級を止めきれません!みんな逃げて!』 赤城の悲鳴にも似た思考。 翔鶴の視界に映る禍々しい艦影を私もはっきりと見た。#落ちぬい二次

2014-11-14 01:09:25
竹村京 @kyou_takemura

摩耶は比較的損傷が少ないため、翔鶴を通じてその場から離れさせた。しかしル級は摩耶に目もくれない。目標はあくまでもハイバリューな空母なのだ。 『瑞鶴、まだなの!?』 『もうちょっと……接続完了!全速力で離脱するわ!』#落ちぬい二次

2014-11-14 01:11:23
竹村京 @kyou_takemura

瑞鶴が由良を曳航し始めたちょうどその時、ル級の射程に入った。 それがにやりと笑ったのを、翔鶴と私は見た。 『瑞鶴、危ない!』#落ちぬい二次

2014-11-14 01:12:54
竹村京 @kyou_takemura

翔鶴は迷わずル級と瑞鶴の間に割って入る。ル級が放った砲弾は狙った瑞鶴ではなく翔鶴に命中。その激痛はリンクを通して私にも伝わってきた。その衝撃で私の体が椅子から転げ落ちた感覚があった。#落ちぬい二次

2014-11-14 01:16:22
竹村京 @kyou_takemura

『翔鶴姉ぇ!』 『私は大丈夫……瑞鶴は早く逃げて……』 『でも!』 『瑞鶴、逃げなさい。あなたの今の役目は由良を連れ帰ることです』#落ちぬい二次

2014-11-14 01:18:01
竹村京 @kyou_takemura

瑞鶴の悔しさが感じられたが、それでも逃げて貰わなければ翔鶴の被弾が無駄になる。翔鶴と私の思考が伝わった瑞鶴は少しだけ躊躇ったものの、全力でその場から離れていった。#落ちぬい二次

2014-11-14 01:18:46
竹村京 @kyou_takemura

そして、翔鶴は完全にル級の照準に捉えられた。 赤城と加賀が攻撃隊を繰り出すが、既に爆弾も魚雷も少なく決定打にはならない。 ル級が砲弾を装填する動作さえ見えた。 砲が翔鶴に向けられる。#落ちぬい二次

2014-11-14 01:20:53
竹村京 @kyou_takemura

『翔鶴。落ち着いて。いけますね?』 『はい、もちろんです』 不思議な事に、翔鶴と私はここに至ってとても冷静になっていた。 ル級が砲弾を放てば数秒後に翔鶴は死ぬ。それを理解してなお、二人きりで愛を囁いているような安心感さえあった。走馬灯のような危険な兆候かもしれない。#落ちぬい二次

2014-11-14 01:22:13
竹村京 @kyou_takemura

だがこの感覚は――心地よい。 翔鶴が弓を引き絞る。 負傷した翔鶴の手は震え、狙いが定まらない。 私はそこに手を添え、照準を助ける。 狙いはル級の額、ただ一点。 必ず当たる。その確信だけがあった。#落ちぬい二次

2014-11-14 01:23:23
竹村京 @kyou_takemura

「行くわよ!全機、突撃!」 翔鶴が矢を放ち、ル級が砲弾を放つ。 ちょうど中間で矢と砲弾が真正面からぶつかる。炸裂。 爆炎を切り裂いて飛び出したのは翔鶴の艦上爆撃機だ。投下した爆弾は狙い過たずル級に命中し、耳を聾する爆音と絶叫を遺してル級は爆沈していった。#落ちぬい二次

2014-11-14 01:24:40
竹村京 @kyou_takemura

一瞬の浮遊感を感じ、それに身を委ねると、私の意識は途切れ――― #落ちぬい二次

2014-11-14 01:25:39
竹村京 @kyou_takemura

目を覚ますと真っ白な天井と真っ白な髪が目に入った。 「提督!よかった……!」 手が温かいものに包まれている。その温かいものがより強く締めつけてきた。#落ちぬい二次

2014-11-14 01:27:19
竹村京 @kyou_takemura

「……翔鶴?」 目の焦点がゆっくりと合ってくる。私は医務室のベッドで寝ていて、翔鶴が手を握ってくれているらしかった。 顔を少し動かすと、翔鶴が涙を流しているのが見えた。 「ひどい顔ですよ、翔鶴」 翔鶴はあちこち包帯が巻かれていて、怪我人の見本のような格好だった。#落ちぬい二次

2014-11-14 01:28:53
竹村京 @kyou_takemura

「提督の方がひどかったんですよ、執務室が血の海だったそうですから」 たしかに血を流しすぎたらしく、体が重い。 「心配をかけましたね。でも、翔鶴が無事に帰ってきてくれて嬉しいですよ」#落ちぬい二次

2014-11-14 01:29:54
竹村京 @kyou_takemura

思考リンクでお互いの考えは分かる。分かるのだが、やはり口に出すことは重要だ。そして、行動も。 翔鶴の顔が近付いてくる。 ぷん、と消毒液のにおいが強くなる。 そして、翔鶴の唇が私の口を塞いだ。#落ちぬい二次

2014-11-14 01:30:57
竹村京 @kyou_takemura

「翔鶴。私は今、とても幸せです」 「私もですよ、鷲塚さん」 名残惜しそうにゆっくりと離れていく翔鶴の顔を見つめる。#落ちぬい二次

2014-11-14 01:32:24
竹村京 @kyou_takemura

ふと、次の休暇の予定を思い出した。 「これでは温泉旅行ではなく湯治になりそうですね」 「私はリゾートでも湯治でも、鷲塚さんと一緒ならどこでも嬉しいですよ」 ああ、本当に、幸せだ。#落ちぬい二次

2014-11-14 01:33:08

あとがきほか

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