茂木さん朝の連続ツイート2010年12月

「セレンディビティ」「2010年流行語大賞」「道」「深淵より」「ピア・プレッシャー」「リヴァイアサンの時代」「バブル」「批評」「池上高志」「田森佳秀」「東西の笑い」「意識」「ルールのイメージ」「おやじギャグ」「鹿児島」「嫉妬」「仮想」「クレー」「旅」「国の病」「ネガティブな感情」「骨折」「駄菓子」「合宿」
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茂木健一郎 @kenichiromogi

国病(9)一方、フランスはだからこそ現代思想において独自の発展を見せることができた。現代思想のスターたちを、既存の権威の象徴であるソルボンヌはなかなか認めないのだそうである。そんなこと知ったことか、という強さがあるからこそ、フランスで哲学が花開いた。

2010-12-26 11:10:18
茂木健一郎 @kenichiromogi

国病(10)これらの観察事実を総合するに、ある国の風土病と、その強さ、可能性は表裏一体である。つまり、私たちは皆一人残らず病人なのであると、覚悟を決め、明るく前向きに生きていくしかあるまい。

2010-12-26 11:11:11
茂木健一郎 @kenichiromogi

以上、日本に帰国した際の感慨を下に、「国の病」についての連続ツイートでした。

2010-12-26 11:11:46
茂木健一郎 @kenichiromogi

ネガ(1)生きるということは運動であり、決して止めてはいけない。ニーチェが「悲劇の時代が終わり、喜劇の時代が来る」と言ったのは、つまりは永遠の運動の継続のことだろう。ツァラトゥストラの境地である。

2010-12-27 08:17:31
茂木健一郎 @kenichiromogi

ネガ(2)それでも、生きる中で負の感情にとらわれることがある。そんな時は、自分の中に井戸を掘っていくのが良い。負の感情にとらわれている時でさえ、運動をつづけるのだ、

2010-12-27 08:18:20
茂木健一郎 @kenichiromogi

ネガ(3)何となく気分が冴えない時などは、自分の無意識の中で何かが引っかかっていて、それが不整合を起こしている可能性がある。何が障害になっているのか、焦点を当て、探りあてるのだ。そして雪融けを起こす。

2010-12-27 08:20:01
茂木健一郎 @kenichiromogi

ネガ(4)もつれた蜘蛛の糸をほぐせば、案外、負の感情が爆発的な生の感情のほとばしりへとつながる。こじれた人間関係でも同じである。問題は、蜘蛛の糸をほぐせるほどに焦点を当てられるかということなのである。

2010-12-27 08:21:17
茂木健一郎 @kenichiromogi

ネガ(5)否定的な感情の背後には、必ず何らかのロジックがある。そのロジックを突きつめる勇気がなければ、いつまで立っても心の「屋根裏部屋」は手つかずのまま放置される。それが心の負担になっていく。

2010-12-27 08:22:27
茂木健一郎 @kenichiromogi

ネガ(6)武道では、相手の力を利用して技をかけることも多い。否定的な感情と格闘している時には、そのネガティヴな力を利用して自分の力とするくらいの工夫がいる。

2010-12-27 08:23:57
茂木健一郎 @kenichiromogi

ネガ(7)優れた観察者は、たとえば「愛」という賞賛される感情の中にさえ、「妄執」や「嫉妬」といった負の感情を見る。もともと、負の感情と絡み合っていない正の感情など、この世に存在しないのだ。

2010-12-27 08:25:35
茂木健一郎 @kenichiromogi

ネガ(8)「ポジティヴ思考」が、もし、負の感情についての「無菌状態」を意味するのだとすれば、それはうさんくさいだけでなく事実に反している。積極性という花は、むしろ負の感情という「泥」に深く根ざしてこそ、花開く。

2010-12-27 08:26:40
茂木健一郎 @kenichiromogi

ネガ(9)昨今の日本人は後ろ向きだと言われるが、いっそのこと、自分たちの負の感情の中に深く井戸を掘って、さまざまなものを解きほぐしてみたらどうか。勇気がなくていつも同じところをぐるぐる回っているから、生きるエネルギーが出ないのである。

2010-12-27 08:27:44
茂木健一郎 @kenichiromogi

以上、ネガティヴな感情についての連続ツイートでした。

2010-12-27 08:28:03
茂木健一郎 @kenichiromogi

骨折(1)昨日、白洲信哉(@ssbasara)がポンペイの話をしたので、田森佳秀(@Poyo_F)が骨折した時のことを思い出した。世の中の何の役にも立たないが、面白いので書いておこうと思う。

2010-12-28 09:11:16
茂木健一郎 @kenichiromogi

骨折(2)ナポリで学会があって、私は夕方着いた。海岸を歩いていたら、旗を振りながらバイクで二人乗りをする集団がいて、いつまで経ってもその波が途切れない。後で、地元のサッカーチームが勝ったのだと聞いた。夕暮れ。遠くでは、ヴェスヴィオ火山が血の色をしている。

2010-12-28 09:12:58
茂木健一郎 @kenichiromogi

骨折(3)田森佳秀は夜遅くに中央駅に着いた。いろいろヘンな人がいたという。翌日から学会が始まり、その日程の中に、ポンペイ遺跡への遠足が含まれていた。田森はうれしくて、きっと走り回ったのだろう。集合した時、田森の足にはなぜか木がくくりつけられていた。

2010-12-28 09:14:10
茂木健一郎 @kenichiromogi

骨折(4)「どうしたの?」と聞くと、「ポンペイの遺跡を全部見ようと思って、全速力で走ったら転んで足を痛めた」という。「きっと、骨折していると思うよ。すごく痛いから」と本人診断。「その木は?」と聞くと、「落ちていたのを拾って、足にくくった。骨折していると思う」と答える。

2010-12-28 09:16:00
茂木健一郎 @kenichiromogi

骨折(5)その夜、セッションに田森佳秀が現れると、みんな「どうしたの?」と聞いた。「ポンペイの遺跡で走っていて、骨折した」と言うと、一様に心配顔をしながら、やっぱり笑っている。骨折は可哀想だけど、自分で木切れを見つけてくくりつけているところが、おかしいのだろう。

2010-12-28 09:18:01
茂木健一郎 @kenichiromogi

骨折(6)田森佳秀の回りに、人の輪ができた。「私はマッサージの仕方を知っている」とか誰かが申し出て、田森の足をさすった。田森が、痛そうな顔をすると、みんな心配顔をしながら、やっぱり笑っている。ポンペイの遺跡を走って骨折した田森は、一躍人気者になった。

2010-12-28 09:20:17
茂木健一郎 @kenichiromogi

骨折(7)翌朝、痛いというので、一緒にポンペイの街を歩いて、医者を捜した。十字のあるところを見当をつけて尋ねた。英語で喋っても、向こうはわからない。そして、ぼろい紐で足に木をくくりつけている田森の姿を見ると、奇妙な顔をして、ドアを閉めてしまった。

2010-12-28 09:22:31
茂木健一郎 @kenichiromogi

骨折(8)結局、ポンペイの街をいくら歩いても、田森佳秀の足を治療してくれる医者は見つからなかった。田森はあきらめて痛いのを我慢して日本まで帰り、やっと医者に行った。やっぱり、骨折していた。

2010-12-28 09:23:32
茂木健一郎 @kenichiromogi

骨折(9)今でも、目を閉じるとありありと思い浮かぶ。ポンペイの遺跡を全部見ようと、必死になって走っているうちに転んで、あまりにも痛いので自分で木を見つけて足にくくりつけている田森佳秀。その姿が、彼の愛すべき存在を象徴する動く彫刻のようにさえ思えてくるのである。

2010-12-28 09:24:52
茂木健一郎 @kenichiromogi

以上、「ポンペイの遺跡における、田森佳秀(@Poyo_F)骨折事件」についての連続ツイートでした。一部訂正。(7)と(8)の「ポンペイ」−>「ナポリ」。

2010-12-28 09:26:56
茂木健一郎 @kenichiromogi

駄菓子(1)子どもの頃、近所に「太田さん」という駄菓子屋さんがあった。太田さんは60歳くらいの女性で、怖いイメージがあった。あめ玉を引っ張るときズルするやつがいると、「こらっ!」と怒った。

2010-12-29 09:20:31
茂木健一郎 @kenichiromogi

駄菓子(2)当時は、50円もらうと大変なお金で、いろいろ買うことができた。「ミルクせんべい」という薄いお菓子があって、口に入れると上に張り付いた。「あんずあめ」という、ビニルから押し出して食べるものも良く買った。

2010-12-29 09:21:36
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