#完全ノープラン艦これ与太話 【アイアンクラッド・フライング・ブッダ】 #3～#4

春魔解丼 @vespiking

「……そこは嘘でも、ハイ知っています！と、答えて欲しかったんだがね……」綾波は警戒しつつも移動し、龍驤の前で両手を拡げた。「龍驤＝サン。逃げて」「エ……ア……だっ、だって、そない……綾波＝サンが……」「私はいいから！早く！」「アイエエエ！」綾波は叫んだ。 #KZNPLN

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龍驤はぼろぼろと泣きながら、這うように退避を始めた。「なあ、綾波＝サン。ひとつ聞きたい。……川内は、どうした」「……？お師匠様を？」「まあ昔、多少な」「師は、死にました」「……そうか」ランドグリーズは胸の痛みをコンバットメンポの下で噛み潰し、トリガを引いた。 #KZNPLN

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BOOM！VT信管が炸裂し、辺りを炎の海が包む。「イヤーッ！」綾波はこれを驚異の瞬発力で回避！「アイエエエエ！」龍驤も爆風に煽られ、転がる！「アバー！」そこへバイオ艦娘によるカラテ！「ウ、ウワーッ！」龍驤はすんでのところで回避！退路を阻むバイオ艦娘編隊！ #KZNPLN

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「ア、アア……」龍驤はガタガタと震え、後ずさる。「龍驤＝サン！戦って！逃げて！」「アカン……イヤや……もう、キミらを殺すんは、イヤや……ヤメテ……」「アバー！アバー！」バイオ艦娘が大口径砲で龍驤を撃つ！「グワーッ！」「龍驤＝サン！」 #KZNPLN

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「ア、アイエエエエ！」龍驤はばたばたと走り、背後の壁、空母の彫像へと突っ込んだ！「アアアーッ！ア」グニャリ。空間が歪み、龍驤が消えた。「……イヤーッ！」「グワーッ！？」綾波は照明弾をランドグリーズのメンポへ直接ぶつける！一瞬、視界が閉ざされる！ #KZNPLN

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ランドグリーズの視力が回復すると、既に綾波の姿はなかった。「……クソッ、クソッ」「アバー？」床を殴るランドグリーズを、バイオ艦娘は暗い瞳で無表情に見つめた。 #KZNPLN

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『オイ、進捗はどうなんだ五十鈴の姉貴』「上々よ。今、傭兵が隠し通路を見つけたわ」『ほーう』通信機の気だるい声に、五十鈴は飄々と答えた。バイオ培養槽の中で。「ちなみに、毒ガスのほうは大丈夫なのよね？」『当然よ。亜空間転移も結局は物理学。ゲートに触れればガスも移る』 #KZNPLN

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「じゃ、安心ね。私も今回の調整が済んだら現地入りする予定よ。傭兵さんが見つけたルートを辿ってね」五十鈴の全身を機械触手が弄り回し、パーツを取り外しては何らかの施術を行い、再縫合する。『じゃ、テキトーにヒマ潰してるから。終わったら呼んでね』望月との通信が切れた。 #KZNPLN

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「中々、強硬手段に出たものね」五十鈴は今しがた、研究室へエントリーした銀髪の駆逐艦へ向き直った。「あらお久しぶり。珍しいこと」五十鈴の声はゴボゴボと反響し、スピーカー越しにエントリー者へ伝播する。「独断専行は敢えて不問としよう。本社へ、状況の報告を要請する」 #KZNPLN

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「……順調よ。あと一歩で手に入るわ。聖なるマキモノ甲板。『深雪』は最早、我々の手中」「皮算用は慢心を招く。もっと克明に、現状報告しなさい。順調かどうかは、本社が判断する」駆逐艦の精悍な瞳が、五十鈴を射抜いた。「全く、心配症ねえ……野分＝サンは」 #KZNPLN

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●おわびNOTICE● ほんじつの #完全ノープラン艦これ与太話 の更新におきまして、那智がVT信管ランチャーを撃ったあたりで大規模な磁気嵐が観測されました。これは皆様の大方の予想どおり、VT信管のせいです。ゆるせないぜ米軍。なお、ツイートは修正されました。 #KZNPLN

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（ #完全ノープラン艦これ与太話 【アイアンクラッド・フライング・ブッダ】#4後半） #KZNPLN

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「ハァーッ……ハァーッ……ア、アアア……」「大丈夫ですよ。落ち着いてください。もう、大丈夫ですよ」「アウウ……」龍驤は憔悴した様子で綾波の肩を借り、ヨロヨロと遺跡を進む。綾波の胸中は、憤怒のブッダデーモン像めいてふつふつと怒りが燃えていた。 #KZNPLN

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2隻の眼前に、ぽっかりと闇へ口を開けた巨大な谷が出現した。ナラク・アビスじみて底は見えず、対岸は岸壁だ。「ア、アイエエエ……い、行き止まりなん……？」龍驤の顔は今にも押し潰されそうだった。「きっと何かあるはずです。捜しましょう」 #KZNPLN

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2隻は断崖に添って歩く。そのうち広間の中ほどに、なんらかの痕跡を発見した。ある程度の強度を期待できる2本の金属棒が、等間隔で谷底へと伸びている。「これは……線路？」「何や、谷底に向かっとるで……」綾波は探照灯を回転させ、壁面に違和感を発見する。 #KZNPLN

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壁面には、大量の石像だ。先程と同じく、船艇を模した冒涜的彫像……だが、先のそれよりも小型。ダイハツ（訳註：大発動艇と思われる）に近い形状。それがびっしりと、ショーギ盤めいて壁に並ぶ。だが整然と並ぶ冒涜的ダイハツ像格納ガレージ彫刻の、所々に空白。 #KZNPLN

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「もしかして……」綾波は手近な冒涜的ダイハツ像を掴み、力一杯引き抜いた。「イヤーッ！」ゴウランガ！冒涜的ダイハツ像はゴロゴロと石車輪の音を立て、ガレージから引き抜かれたではないか！艦娘数隻が余裕を持って乗れる大きさ。その横幅、およそ先の線路と同等！ #KZNPLN

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「こ、これに乗れ言うんかい！？」「きっとそうです！他にも、ここに何隻かあった形跡がある。きっと先人たちが、これを用いて奥へと進んだのです」綾波はゴロゴロと冒涜的ダイハツ像を曳航し、空中レールへあてがった。車輪がピッタリだ。「なんや、ここはタノシイランドかいな……」 #KZNPLN

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2隻はともかく、冒涜的ダイハツ像へ乗り込んだ。風切り音が谷底から不吉に響く。落ちたら実際死ぬだろう。「ア、アイエエエ！コワイ！」「大丈夫。しっかり捕まってください！イヤーッ！」ガクン！ダイハツ像が空中を走り出した。「アイエエエ！アイエーエエエエ！」「ンアーッ！」 #KZNPLN

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ダイハツ像には重心操作用と思しき操縦桿が付いている。急カーブ！「龍驤＝サン！手伝って下さい！操縦桿を左へ！」「イ、イヤーッ！」グン！高速でレールに添って左へ曲がるダイハツ像！その右車輪が少し浮いた。アブナイ！「アイエエエ！アイエエエ！」「右です！」「イヤーッ！」 #KZNPLN

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「アイエエエ！」「右！」「イヤーッ！」グン！「アイエエエエ！」「左！」「イヤーッ！」ギュン！「アイエーエエエ！」「後ろに！」「イヤーッ！」坂を登る！レールは山の頂点！このままでは慣性の法則でレール山から飛び出し死ぬ！「イヤーッ！」「イヤーッ！」2隻でブレーキ！ #KZNPLN