【アナ雪】アナとチビ九尾エルサ(2-3)【パロ】

万屋和風愉菓子店@絶滅種のポンデ @yorozuya753

それから髪全体を後ろへと流して持ち上げて。 （あ、ポニテね、これ） 髪型を把握して一人納得。後頭部で一つに括られて……はい、普通にポニテっと。でも久しぶりにしたわね。トレーニングとかあるとすぐに一つに縛っちゃったりするけど、最近はそんなのなかったし。

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てっきりシニヨンとかにされると思ってたからちょっぴり意外だった。 「いかがですか？」 指が髪から離れたので、あたしは鏡の前で顔の向きを左右に向けて確認。ぴしっとしたポニテにピシッとしたスーツを着て、バシッとネクタイを締めたあたしが鏡の中にいた。

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（なんだろ……運動系サークルの大事な式典とかにこれから出るよって感じの大学生に見えるのはあたしだけ？） 鏡越しにゲルダに顔を合わせると、なんか目が笑ってた。おい、こら！って、なに？「おさげよりの時よりはお姉さんに見えますよ」って小声で何言ってくれちゃってんの？ひどくない？

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（これ、エルサちゃんの期待を全力で裏切ってるんじゃ……） 恐る恐るエルサの方を向く。あたしの膝で大人しくしてたエルサちゃんは、眩しいくらいに瞳をキラキラさせていた。 （ちょっ、なにそのキラキラ加減！？） 思わず動揺しちゃうくらいに無垢な瞳がそこにあって、

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あたしは脳内で「え？え？」と繰り返す。 エルサは尻尾をゆらゆらさせて耳をピンッと立たせて、「すごいね」って零した。 「え、え？す、すごい？」 「うん。アナ、すごくカッコいー」 「……っ！」 あ、なんかもう涙出そう。エルサちゃんのはにかみ笑顔天使過ぎて眩し過ぎて死んじゃいそう。

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いや、なんかもうどうしよう。嬉し過ぎて泣きそう。目頭が熱くなっちゃう。 「ほ、ほんと？あたしカッコいい？」 「うん。かっこいー」 嬉しい。こんな可愛い子にカッコいいって言って貰えるなんて、本気で嬉しい。あたし嬉し過ぎて舞い上がりそう。いや、本気で！ガチで！

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そんな気持ちが全身から溢れさせながら、照れ隠しにエルサちゃんの頭をわしゃわしゃ撫でる。耳ごと撫でまくる。もうあたしエルサちゃんの笑顔に一生勝てる気しなかった。 「ふふっ。アナ、なぁに？くすぐったいよぉ」 「かわいーんだもん。うりうりぃ～♪」 「ふふっ、やぁ」

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撫で過ぎてエルサちゃんの髪がくしゃくしゃ。ゲルダが後ろで苦笑い。あたしはエルサを膝の上に抱っこして、椅子をくるっと回転させてゲルダに向き合った（あ、エルサちゃんはゲルダに背を向けてる形ね）。 「ゲルダ、エルサちゃんの髪もやってあげて」 「畏まりました。どう致しますか？」 「ん～」

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唸りながらエルサちゃんに「どんな風にする？」と聞くけど、エルサは「ぅ？」と小首を傾げる。ゲルダが後ろからエルサの髪に櫛を通しててくすぐったいのか、小さく笑いながら体を捩って「わかんない」と言った。 「お父さんとお母さんを紹介するから」 「アナ様、カイにもですよ」 「あ、そうそう」

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髪を梳かれて心地良さそうにしていたエルサの表情がちょっと曇る。どうしたのと頬を撫でると、エルサはすりすりと手の平にほっぺを擦り付けて来て。それから不安そうな眼差しを投げて来た。 「アナのおとーさんとおかーさん……わたしみて、びっくりしない？」 怯えるような声。

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でもあたしは「うん。全然」と即答した。そうしたらエルサちゃんは「え？」ってきょとん顔をして「そーなの？」って不思議そうに呟いた。 「えー。だってあたしのパパとママよ？」 「……ぅ？」 よく分かんないって顔に書いてある。あたしはとくにかく大丈夫だって言い聞かして、

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髪を梳かし終わったゲルダに三つ編みでお願いと頼んだ。 「いつもと同じ？」 「うん。でも今日は前髪も弄るよ～」 「んんっ」 あたしに前髪に櫛を通されて、エルサは反射的に目を瞑る。後ろではゲルダがあたしと同じ編込みを両サイドで作ってた。 （あ、お揃い。結構可愛いことしてくれるわね♪）

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ゲルダの手許を見て内心で嬉しくなりながら、あたしもエルサちゃんの前髪を整える。引き出しから弱めのヘアワックスを取り出す。子供の髪は柔らかいから、ほんの少しだけ手に取って、指先でエルサちゃんの前髪を掻き上げて根本にちょんちょんとワックスを付けて馴染ませるように指で弄った。

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「アナ、それなぁに？」 匂いが気に喰わないのか、前髪を上げられるのが嫌なのか。たぶん両方かなって思う。エルサちゃんは若干不服そうな顔をしていた。 「ヘアワックスって言って、髪の毛に付けて形を整えるものよ」 「のりー？」 「え？糊？あー、うん。そんな感じ……なのかな？」

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いや、でも違う気がする。うん。たぶん違う。うん。そんなことを話していたらいつの間にかゲルダの仕事は終わっていた。綺麗に整った三つ編みが出来上がってて、淡い金色のコロネみたいで美味しそうだった。 「ちょっと前髪長いから本当は切ってあげたいんだけど。今日はワックスで我慢してね」

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あたしも前髪を整え終えて……よし、完成。 「はい、できたましたよ～」 くるりと椅子を回して、エルサを抱っこする向きを変えて鏡を見せる。エルサはきょとんとしていて耳をパタパタ。鏡の中の自分と睨めっこをしてから、あたしを見上げて来た。 「これでいいの？」 「うん。可愛い♪」

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あたしのお腹の前で尻尾がちょっぴり揺れる。満更でもないみたい。 エルサを下ろして時刻を確認すると丁度良いくらいだったけど、あたしはゲルダにちょっとした仕返しを思い付いて、エルサを見た。 「ね、エルサ。カッコいいゲルダも見たくない？」

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あ、ゲルダが「なにいってんのお前？」って顔してる。こわいなー。でもこっちにはエルサちゃんっていう天使が味方にいるんだからね！ 「ゲルダ、アナとおなじ？」 「そっ。ゲルダはもっとカッコいいわよ～」 「そーなの？」 小首を傾げて上目遣いでゲルダを見上げるエルサちゃん。

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ゲルダが「ぅ」って小さく唸ってる。そんな苦悶の表情始めて見たわ。 「ゲルダ、カッコイイの？」 キラキラおめめ。ほらほらどう？ゲルダも勝てないでしょ、これ？ ゲルダがメンチを切って来るけど、あたしはにっこりと笑って受け流す。はい、エルサちゃん。もうひと押しどうぞ！ 「ゲルダ？」

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はい、決まった！見事にノックアウトだわ、これ。 ゲルダは顔の片面を手で覆うと、溜息を吐いた。 「わかりました。では、5分だけ頂けますでしょうか？」 「えぇ、もっちろん！」 悪戯成功のしてやったりな顔をしたら、「あとで覚えてろよ、このガキ」っていう風に笑った。あ、コレまずいかも。

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（あ、あはは……明日早朝トレーニングとかやらされそう……しかもゲルダの付添付きで。なんだったらスパーリングとかも。やばい。ボコボコにされるわ……） あたしは取り敢えず考えないようにして、エルサの手を引いて下の階へと向かった。 エルサが耳がピルピル震えてる。

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手に、小さな手から弱く力が篭るのを感じた。不安そうに揺れる瞳に笑いかけて、エントランスで待機。エルサはあたしの影に隠れるようにして、ズボンの布にきゅっと縋り付いてくる。 お父さんとお母さんが帰ってくるまであと……たぶん５分弱。外から車の音が聞こえてライトの反射が見えた。 ＊＊＊

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＊＊＊ 小山のような大きな影は深い森の中から山の裾野を見下ろしていた。鋭い瞳は静かに月の光を反射し、眼下を眺めていた。縦に長い瞳孔がぎょろりと動いて、街の方から走って来る黒い車を見付けた。テールランプが赤い尾を描いて夜闇の中に棚引いている。

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大きな影はびっしりと生え揃った牙の合間から低い唸り声を一つ、静かに漏らす。ギロリと光る瞳。その色は月が雲に隠れて真っ黒な闇が訪れる。雲が流れてまた月が覗いた時には、もうその影の姿はなかった。 ＊＊＊

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＊＊＊ 車の駆動音が微かに響く。エルサちゃんのお耳がピルピル震える。あたしのズボンの裾をぎゅっと掴む手にほんの少しだけ力が入る。触れられている足がちょっぴり寒いような気がしたけれど……いや、うん。たぶん気のせいよ、気のせい。あ、雪が薄らちらっと舞ってるのも気のせいだから。