「千の想いを」~番外編・天城がいた頃/夏の日(#3)~
- mamiya_AFS
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着替えを手早く終え建物を出ると、日差しに眩暈を覚えた。海が目の前なだけあって風があるから暑さはマシなものの、一日で一番暑い時間帯なので来るものは来る。
2014-07-06 15:20:25高雄に連絡を入れるべきか考えたものの、連絡を取る術が見当たらないのでひとまず食堂を目指す。昼食をとったところで怒られる事もあるまい。 基本的に真面目ではあるが、どうしてか食欲が絡むと色々とぬるくなるのが赤城という艦娘であった。
2014-07-06 15:26:35@tiyodadayo ふふっ、とりあえず、お昼を済ませてから探せば良いかな? 午後に特に言われていることもないですし、もしかしたら、まだ食堂にいるかもしれませんし…♪
2014-07-06 15:27:58軽く鼻唄でも飛び出しそうなにやけ顔で炎天下の中を歩く。 朝に旗艦から訊かれた事や、姉に関わる事も既に忘れていそうではある。 と。 大きな音が響いた。 それが火薬が炸裂して何かを破壊する時の『爆発音』である事を、彼女はまだ知っていなかった。
2014-07-06 15:31:52聴き慣れてはいないものの、小さく足元が振動している事と併せても、異変だとは流石に気付く。 自分が軍事施設にいる事をようやく思い出す。だからと言って爆発が頻繁に起こる筈もないが。
2014-07-06 15:34:46最低限度の訓練は終え、射撃は実物を使った事のあるものの、危険性を考え爆裂に関わる事柄は文字でしか彼女はまだ知らない。 普通の艦娘であれば今のだけでも音の出所を特定できるのだろうが、施設内の脳内地図すらできていない赤城は呆然と立ち尽くす事しかできない。
2014-07-06 15:38:40つい昨日姉と共にテーブルを囲んだ臙脂色の少女が駆けていく。その先で背筋が整った女性が手を振って呼んでいる。最上。名前を思い出し、背を見る。急いでいる為か、赤城に気付いた様子はない。
2014-07-06 15:42:43つい昨日姉と共にテーブルを囲んだ臙脂色の少女が駆けていく。その先で背筋が整った女性が手を振って呼んでいる。最上。名前を思い出し、背を見る。急いでいる為か、赤城に気付いた様子はない。
2014-07-06 15:42:43@AAC_MOGAMI @tiyodadayo 多分な。事故であればいいのだが…そういうわけでもなさそうだ。 最上は消火活動を手伝ってあげてくれ。私は怪我人がいないか見てくる。
2014-07-06 15:48:06てきぱきと無駄の無い会話を挟み、2人が駆けていきすぐに見えなくなる。 彼女らが消えた方向を見れば建物の向こうで黒い煙が昇っていた。 テロ。 つい最近まで普通に日本で暮らしていた赤城の頭に単語が浮かぶ。ここも日本の一部ではあるのだが。
2014-07-06 15:51:21昨夜に提督の部屋が襲撃された件を思い出す。詳しい事は聞かされていないものの、これと何か関係があるのだろうか。 深海棲艦と戦う者達の為の施設だというのに、ここに来て2日目であり何がどうなっているのか赤城に理解しようもない。
2014-07-06 15:55:27おろおろと立ち尽くす赤城の視界の中で、騒ぎを聞き付けたのか多くの人が姿を見せ始める。自発的なのか呼ばれたのか、艦娘達も何人か駆け抜けていく。
2014-07-06 16:01:59土地勘すら無い自分が言っても邪魔になるだけだろうと判断し、一度は向かいかけた足を止める。 立ち上る黒煙は量が増えているようにも思えた。火災が発生しているのだろう。 …? 現場へ向かっているのだろう人の流れに逆らって歩く人物の姿に気を取られる。 目を見張った。 姉である。
2014-07-06 16:08:37後ろ姿ではあるが間違い無かった。涼しそうなタンクトップとショートパンツ姿な天城がすいすいと、もはや人だかりレベルの混乱の隙間を縫って歩いていく。赤城がいる方とは違う方向へ向かっており、すぐに建物の陰に入ってしまい見えなくなる。
2014-07-06 16:12:30