腕に抱えたコート。四つ尾を揺らし、来た時のように引き戸を潜り戻れば、きょとりと辺りを見回す。その動きに合わせて、ぴこりと狐の耳が揺れた。 「すっかり、くろも、あけたか、の」 黒い袴には緋色の線が二本、裾に入っている。 「やれ、よき、よるで、あった」 うむ。満足げに頷く。
2014-11-28 22:05:51思わずことの顛末を見守ってしまったフィーアは、魔王の言に頷き。 そして、昼へと場が変わる。 きょとりとひとつ瞬けば、周囲には人影が増えていた。
2014-11-28 22:08:01『不慮の事故』で失神してしまったラクスをお姫様抱っこした状態で、引きつった笑みを浮かべて魔王は皆に声をかける。 「や、やぁ、みんな、オハヨウ☆いい朝ダネ☆いやぁ〜、ラクスくんったら、お寝坊さんだなぁ〜☆あはは☆」 挙動不審である。
2014-11-28 22:08:06「……やれ、ごるごん。『それ』は、どうした」 じとり。気だるげな表情が見やるは、悪魔王の腕に抱かれたラクス。隣にいるであろうラクカへ軽い会釈を向けた後、そちらへ近寄れば。 「…………ほんとうに、ねて、おるのか?」
2014-11-28 22:12:57手を引かれ、扉へと招かれて。 「はい、おはようございます。クォーツ様」 離れ、身形を整えたその姿は、すっかり昼と同じものとなっていた。
2014-11-28 22:17:48ユッテリーネも皆の元に集う。 帽子の耳を揺らしながら一歩一歩と近付いた。 その掌に乗せた赤いセロハンの折り鶴を掲げて言う。 「おはよ」
2014-11-28 22:25:24「皆様方、おはようございます。昨夜は良い夜を過ごされましたでしょうか」 クォーツより一歩遅れて、扉から出てきた少女は、常の通り一礼して。 「……ゴルちゃん様。″また″ラクス様にご迷惑をおかけしたのでございますか?」 みるめが、どんどん、つめたく、なっていく
2014-11-28 22:28:52ツヴァイに声をかけられて、ビクリと肩を震わせると、体だけそちらを向けて不自然に視線をそらしながら 「もちろん!寝ているだけだ!決して、決して!良く喋るゴム毬のようなもので顔面を強打して失神などしておらんぞ!うむ!!」
2014-11-28 22:31:09ドライに冷たい声をかけられれば、さらに肩をビクリと震わせ 「ば、ばばば、馬鹿なことお!我輩はただ、しっしn……もとい、お寝坊のラクスくんを起こさないようにそ〜っと運んでやっただけなのである!!うむ!!」
2014-11-28 22:33:11「ああ、ゆってりーね、おはよう。やれ、それは、つる、か? よぉくできておる」 目元を綻ばせ声を掛ける。続き、連れ添い戻ったクォーツとドライにも視線を向け。 「くぉーつ、どらい、なれらも、おはよう。よきよるを、すごされたようで、なによりだ、の」 ふふ、と笑い口元を隠す。
2014-11-28 22:34:47「──……して、ゴルゴン。なれは……いや、らくすのりゆうはすべて、はいたな……あとで、あやまりやれ」 こめかみをおさえ、ゆるりと息を吐けば辺りを改めて見回す。フィーアの姿もその眼に入れば、そっと目礼をして。 「ゴルゴン、アインはどうした? なれらと、ともにいると、おもっていたが」
2014-11-28 22:34:50宣言通り、ゼクスをベットから叩き落とし本人は悠々と扉を開ける。 白い空間に、いる面子を見渡して。 「おはようさん。」 欠伸を一つ。
2014-11-28 22:43:40ツヴァイの口からアインの名が発されれば、あからさまに不機嫌そうな顔をして 「知らぬ。気がついたら姿が消えていた。……我々はあたりの空間ごと『昼』へ来た故、この辺りのどこかにはおると思うがな」
2014-11-28 22:50:49「あっ、みんなも戻ってきた!」 ユッテリーネと一緒に皆の元にとてとて。その手には青いセロハン紙で出来たやや不格好な折り鶴。 「ユッテリーネおねえちゃんに教えてもらったの。」と自慢げに、無邪気に瞳を輝かせる。
2014-11-28 22:50:52不機嫌な表情を見れば、ぱちりとまばたきをして、くてりと首を傾ける。動きに合わせ、耳もぴこりと揺れた。 「……ふむ。──われらは、ふあんていで、ふかくていな、そんざい。かりそめを、もらえど、それは、かわらぬ、ゆえ。アインは、いちばん、ふあんていで、あったし……」
2014-11-28 22:57:03ぐうるりと辺りを見回す。尾を揺らす。昨日の手入れの効果か、ふわふわは損なわれていない様子。 「なれら、なをもつ、だれかしらが、よびかければ、もどれるのでは、なかろうか、の」 そう言葉を締めくくれば、視線を魔王へ向け。 「やれ、なれはいつまでそうして、ラクスをかかえておるつもりだ」
2014-11-28 22:57:05「ふとんにでも、ねかせて、やれ。らくすも、たいせいが、つらかろう」 そういえば、白いその空間にお布団一式を出して。 「──ああ、ぶらうん、おはよう。フュンフも、おはよう……ああ、なれの、つるも、よくできておる」 目元を綻ばせる。慈愛の眼差し。
2014-11-28 22:57:07現れたツヴァイに、目礼をし返し。 「……アインは、『居る』はずなのだが。私の声では、届かなかったらしい。恐らく、だが。ツヴァイ殿の言う通り、名を持つ者からの声であれば。届くかもしれない」 困ったように、眉をひそめた。
2014-11-28 23:03:45「お、う……?」 首をかしげてツヴァイを見る。 いや、気のせいか……? 「あー、アインいないのか?消えた?」 どういう事だ? 不思議そうに周りを見渡す。 確かに、ざっと見た限りでは見当たらないが。 半分幽霊な彼のこと。その辺の死角からひょっこりと現れそうな気がしなくもない。
2014-11-28 23:05:35ユッテリーネ、フェンフと褒められ、ユッテリーネは笑顔の代わりにぴょんぴょんと跳ねた。 「えっへん。ありがとー」 と胸を張り、きょろきょろと周りを見渡す。 「いーち、にー」 折り畳み出し、全て埋まった後はまた開く。 「ひーち、はーち」 それが十一を示す前に、事態を聞いて止まった。
2014-11-28 23:06:26