ロンゲスト・デイ・オブ・アマクダリ10100745:ショック・トゥ・ザ・システム #6

日本語版公式ファンサイト「ネオサイタマ電脳IRC空間」 http://d.hatena.ne.jp/NinjaHeads/ 書籍版公式サイト http://ninjaslayer.jp/ ニンジャスレイヤー「はじめての皆さんへ」 http://togetter.com/li/73867
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ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

旧世紀めいた画質。てんからくWW2、アポロ計画、あるいは謎めいた映像のモンタージュな。てんからくだるあまくノイズめいた文字列干渉。メガトリイ社の紋章とBGM。黒ブチ眼鏡の男が、てんから諦観に満ちた顔で何かを読み上げる。背後の壁には数十個の世界時計と巨大なスーパーUNIX。 22

2014-12-01 00:32:22
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

監視カメラ映像。てんからくだるあま年号は199912312359。連鎖爆発するUNIX。てんから死に行く科学者たち。報道映像。噴火するフジサン。崩落する山頂の大トリイアンテナ。世界規模の混乱。磁気嵐。男が再び。先程よりも痩せ衰え「メガトリイ月面基地生存者残り3名。孤立。孤独」23

2014-12-01 00:39:02
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

ナンシーは大宇宙の虚空の中にひとり、命綱もなく放り出されたかのような恐怖を味わった。映像が凄まじい速度で巻き戻る。「我々はベストを尽くします」自信に満ち溢れた男の顔。「月面基地と人口衛星リレイ網で、メガトリイは新たなインターネット秩序を定義します。そして法の守護者となります」24

2014-12-01 00:48:01
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

再びジャンプ。「繰り返します、スーパーUNIXが想定外の事態を弾き出しました。我々がグレゴリオ暦2000年の夜明けを迎える事はない。1999年12月31日。日付切り替えと共に全世界のUNIXが連鎖的誤動作を起こしオーバーフロー可能性。世界秩序の崩壊」「我々は切断し」「否」 25

2014-12-01 00:58:03
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

激しいノイズ。磁気嵐。「月面ジェネレータ崩壊!」「何故インターネットは未だ動いている!」「……我々は孤立無援だ」男の後ろではスーパーUNIXが黙々と演算を続け、色とりどりの丸ランプを明滅させ、パンチドテープを吐き出す。ペケロッパカルトの伝説にある真の母なるUNIXの神めいて。26

2014-12-01 01:06:15
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

『アブナイ』ナンシーの視界全面に、ニンジャスレイヤーからの警告がレッドアラートめいて明滅した。ナンシーは強引にデータの吸い出しを中断した。『アルゴス=サン、焼け』マスターマインドのIRCが飛ぶのが感じ取れた。ナンシーは書物を放り捨て、走った。ジャンプするために、地平の端へと。27

2014-12-01 01:13:20
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

彼女はここが何処かを直感的に悟っていた。コトダマを残すために、フジキドの端末へと返信する。「アマクダリの機密サーバは月にある!そして……」彼方に地球が見えた。彼女はジャンプしようとした。だが月よりも巨大なアルゴスが腕を組み、宇宙空間に浮かび、彼女を後方から見下ろしていた。 28

2014-12-01 01:20:07
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「メガトリイ社の遺産、月面機密サーバ、それそのものが、アルゴス……!」ナンシーは渾身のタイピング速度で、切断ジャンプを試みる。だがアルゴスは逃がさない。アルゴスの目から衛星軌道レーザーめいた光柱が放たれ、それは地球に向かって亜光速ジャンプするナンシーの論理肉体を包み込んだ。 29

2014-12-01 01:32:11
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「メガトリイ社の遺産、月面機密サーバ、それそのものが、アルゴス……!」ナンシーは渾身のタイピング速度で、切断ジャンプを試みる。だがアルゴスは逃がさない。アルゴスの目から衛星軌道レーザーめいた光柱が放たれ、それは地球に向かって亜光速ジャンプするナンシーの論理肉体を包み込んだ。 29

2014-12-01 22:16:57
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

DOOOM!DOOOM!DOOOOOOM!完全包囲されたナンシー艦へ、立て続けに艦砲射撃とミサイル弾が命中する。無人空母の黒い装甲を砲弾が突き破り、コールタールめいた冷たい海水が内部に流入する。ひときわ大きな水柱。貫通。暗黒の海の中へ、沈んでゆく。なおも攻撃は止まぬ。 31

2014-12-01 22:24:44
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

遥か後方に沈み行くナンシー艦を背負いながら、死神は鬼気迫るカラテで敵を圧倒し始める。ピストルカラテの動きに順応し始めているのだ。ナンシーを援護せねば!「イイイヤアアアーッ!」連続カラテストレートを繰り出す拳は裂け、血が滲む!「ヌウーッ!」防戦一方に追い込まれるハーヴェスター!32

2014-12-01 22:32:29
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

そしてついに、ニンジャスレイヤーのジゴクめいた中段トラースキックがハーヴェスターの脇腹を捉えた!「イヤーッ!」「グワーッ!」痛烈!ショック吸収ベストに守られた肋骨がミシミシと軋む!キリモミ回転しながら弾き飛ばされるハーヴェスター!滑走路上の戦闘機に背中から激突!「カハーッ!」33

2014-12-01 22:37:58
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

だがザンシンを決める暇も無し!戦闘可能状態へと復帰したマスターマインドがブースター突撃を繰り出して介入!ZZZOOOOM!「イヤーッ!」死神はこれをジャンプ回避しつつ、アーマー破壊され剥き出しになった敵の頭部へと、チョップを振り下ろした!「イヤーッ!」敵はこれをカラテ防御! 34

2014-12-01 22:47:37
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

マスターマインドとチョップ鍔迫り合い状態に入り、ニンジャスレイヤーは赤い瞳で敵を睨みつける。「忍」「殺」メンポから蒸気が吹き出す。鍔迫り合いのままマスターマインドが押し込む。「もはや無駄な努力だ!諦めたまえ!あの女ハッカーは死んだ!アルゴス=サンに脳を焼き切られてな!」 35

2014-12-01 22:52:37
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「…ヌウウウーッ!」フジキドは全身のカラテを己のチョップ腕へ、そして足腰へと集中させる。「忍」「殺」メンポからはジゴクめいた蒸気!おお、見よ……この絶望的戦況の中でも彼は諦めぬ!そしてジャッキめいて徐々に押し返す!パワードスーツのカラテを、押し返す!「イイイヤアアアーッ!」 36

2014-12-01 23:02:21
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「バカな!」体勢を崩すマスターマインド!鍔迫り合いを制した死神の正拳突きが、官房長官の顔面へと叩き込まれる!「イヤーッ!」「グワーッ!」「イヤーッ!」「グワーッ!」左右の連打!だがそこへスピン跳躍射撃しながらハーヴェスターが加勢!反動空中キック!「イヤーッ!」「グワーッ!」 37

2014-12-01 23:07:48
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

BLAMN!続けざまの銃撃で、ニンジャスレイヤーの防御が崩れた!その刹那、マスターマインドが時宜を得たブースター・カラテを叩き込む!「イヤーッ!」「グワーッ!」腕を弾き胸部に命中!「イヤーッ!」間髪入れず、ハーヴェスターの反動ピストルカラテが死神の顔面に命中!「グワーッ!」 38

2014-12-01 23:15:55
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「これが組織の力だ!これが連携の力だ!」鼻を砕かれ顔面血塗れのシキタリ官房長官は、まさに鬼の形相!渾身の力を籠め、カラテストレートを繰り出す!「イイイヤアアーッ!」「グワーッ!」SMAAAAASH!弾き飛ばされるニンジャスレイヤー!嗚呼!その「忍」「殺」メンポが……砕けた! 39

2014-12-01 23:21:53
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

ニンジャスレイヤーは空中で半ば白目を剥き、キリモミ状態で弾き飛ばされた。凄まじいカラテ衝撃により、頭巾までもがズタズタに断裂。「妻子を失い復讐に狂った反政府凶悪テロリスト」フジキド・ケンジの血塗れの素顔が露となる。そして……アブナイ。このままウケミを取れねば、激突死可能性! 40

2014-12-01 23:37:11
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

だがいま彼を助ける者は無し。いや、ただ独り。内なる禍々しきニンジャソウル。あの夜のようにまた、フジキド・ケンジに語りかける。そして「イヤーッ!」激突直前、ニンジャスレイヤーは両目をカッと見開き、獣めいた柔軟性で身を捻って壁を蹴り、激突回避!両目から赤く細い残光!その髪は白い!41

2014-12-01 23:49:48
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「フジキド……サン……!」ナンシー・リーはLANケーブルを引っ張られるような、不吉な胸騒ぎとともに目覚めた。彼女は霧深い海域にひとり、砕かれた船の装甲板に上半身を乗せ、漂っていた。全身が鉛のように重い。そして冷たい。時間感覚は麻痺していた。まだ脳の奥がチリチリとしている。 43

2014-12-02 00:06:15