【アナ雪】アナとチビ九尾エルサ(2-4)【パロ】

万屋和風愉菓子店@絶滅種のポンデ @yorozuya753

エルサちゃんは「おとなってわかんない」って不思議そうにしながら、パンをぱくっと食む。ちょっと硬いパンだからそんな風にぱくつくと大変だよって思ったけど、時既におスシ。あ、じゃなくて、遅し。 エルサはなかなか噛み切れないパンを両手で持って引っ張る。顎は逆方向に引っ張る。

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そうして数秒後に突然引き千切れるパン。その反動で椅子の背凭れに後頭部をぶつけたエルサちゃんは、パンを咥えたまま涙目で小さく唸って。あたしの顔面はでれっとゆるっと崩壊した。 「ぷっ、ふふ……える、さ……」 ぶつけた後頭部を優しく擦ってあげると「ぅ～」って仔犬みたいな声で唸るエルサ。

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「ふ、ふふ……エルサちゃん、ふふっ、大丈夫？」 お母さんも笑ってる。ママンは咥えたままのパンを外してあげて、それを小さく千切ってスープに浸してエルサちゃんの口に運んであげた（ちなみに対面にいるお父さんは口許を隠して背を丸めて俯いて肩を震わせてる）。

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お母さんは自分の手からぱくっと食べてくれたのが嬉しいみたいで、幻なのは解かってるけど周りにお花を散らして、せっせとエルサちゃんに餌付けしてる。今日はアップルじゃなくてオレンジジュースにしてみたんだけど、それを勧めてあげるとストローでちゅぅっと吸った。

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果汁３％とかいうオレンジジュースだから、酸味よりも苦みよりも甘味が強い。ってか甘いジュースだけど、こっちにして貰って正解。エルサちゃんは「これおいしいー」ってはにかんで機嫌を直してくれた。もう可愛いんだから。

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そんな感じで平和で笑顔溢れるディナータイムはゲルダお手製のバニラアイスをデザートで締めとなった。もうこのバニラアイスをエルサちゃんがスゴく気に入っちゃったみたいで、キラキラおめめでゲルダを見上げながら「ゲルダはかっこいいし、おりょうりもじょうずですごいね！」って笑顔を向けてね。

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それにゲルダ先生は満面の笑みで「ありがとうございます」って返したんだけど（そんなゲルダの優しい顔を見たお母さんが「あんな笑顔久しぶりに見たわ」って嬉しそうに呟いてた）。取り敢えずあたしとお母さんは今度ゲルダ先生に美味しいアイスの作り方を教えて貰おうって密かに決めたわよね。

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お腹いっぱい幸せいっぱいになった食後は、紅茶でまったり飲んで食休みするのが我が家ルール。アールグレイをストレートで香りを嗜みながら談笑を楽しむ。あ、エルサちゃんのはミルクとお砂糖たっぷりのミルクティーね。 「今更だけど、どうしてスーツなんだい？」

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「久しぶりに両親に逢うんだからちゃんとしろってゲルダが」 お父さんの問いに素直に答えて「ぶっちゃけ早く脱ぎたい」って正直に伝えると、お父さんは紅茶を飲みながら苦笑を零した。 「ははっ。そうかそうか。じゃあゲルダまでスーツなのはアナに巻き込まれたからかな？」

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その言葉にゲルダも苦笑しながら「そんな所です」と返したから、あたしはエルサちゃんの方を向いて「だってカッコいいゲルダ見たかったんだもんねー？」って会話に割り込むと「パパもスーツなんだけが……」ってちょっぴりそわっとするお父さん。え、お父さんどうしたの？

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（ちょっ、ダディー。スーツ＝カッコイイじゃないと思うけど？　ちょっ、チラチラってエルサちゃん見ないでくれる？） 見かねたあたしは「あたしのパパってどう思う？　カッコいい？」ってエルサちゃんに聞くと、紅茶をふぅーふぅーしていたエルサちゃんは「ぅ？」と小首を傾げてからパパを見て、

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「うん。カッコいい」 ってはにかんだ。あ、うん。忘れてないけど、改めて思い知ったわ。この子天使だったわね。うん。 エルサちゃんの言葉を聞いたらお父さんは表情をあからさまに明るくして「ありがとう、可愛い仔狐のお嬢さん」とかって満面の笑み。

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そんな父親にあたしは「我が父ながら可愛いトコあるじゃない。さすがあたしのお父さんだわ」ってなんとなく乾いた笑いを胸の中で零しちゃった……っていうのは内緒にしとくわね。 「わ、私もスーツ着てこようかしら？」 って、隣でお母さんがそわそわし始めた。なんかもうあたしの家族って可愛いわ。

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「ママしゃんもカッコいいの？」 さ行がたまにちゃんと言えないエルサちゃんにニヤニヤしながら「どうだろね？」って言うあたしに、エルサを挟んだ向こうにいるお母さんが「あの、えと」ってちょっとだけどもりながら、 「……カッコいい私は嫌かしら？」 って、不安そうな顔をする。

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エルサは「ううん」って首を横に振ると、顔をちょっぴり伏せて手をもじもじ。何を恥ずかしがってるのかなって思いながら次の言葉を待ってたら、

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「あのね、その……アナってきれいでかわいいなっておもってたから……だからママさんもきれいでかわいいんだろうなって、その……そうしたらほんとにそうでね、ぇと、あの……だからアナかっこいいから、ぅ、えと、しょの……ママしゃんもきっとかっこいいんじゃないかなって……」

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ほっぺを薄紅色に染めながら訥々と紡ぐエルサ。その言葉の破壊力は……もう察して！お願いだから察しって！！ あたしは熱くなった顔を覆って机に突っ伏す。お母さんはほっぺをぽっと染めて両頬を両手で包んでた。カイが冗談交じりに「奥様が口説かれてますよ？」ってお父さんに言ってる声が聞こえた。

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「ありがとう。嬉しいわ」 お母さんがそっとエルサの頭を撫でる。ふにゃって笑うお母さんの顔を見て、あたしの方が恥ずかしくなってきた。もー、なんなのよ！　あたしとあたしのママンのハートを同時にトキメかすとか何物なの！？　天然タラシなの！？　天使なのに！？　じゃあ仕方ないですね！！？

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「アナ、どうしたの？」 「なんでもないわよ。うん。大丈夫……エルサちゃんが可愛過ぎて悶えてるだけだから……」 「ぅ？」 エルサちゃんの両手を伸ばして抱っこして、そのお耳とお耳の間に顔を埋める。ふわサラの髪の顔を埋めてグリグリすると「なぁに？」とか「あにゃぁ？」って言って来て、

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（うあぁ～！　もう萌え過ぎて死んじゃうぅぅ！！） ここら辺の地方新聞に『アナ・S・アレンデール突然死！？　死因は「キュン死」』って書かれちゃうわ！　メチャクチャ恥ずかしいわ、それ！　でもそれでも良いって思えちゃうんだから恐い！　エルサちゃんって本当に恐ろしい子よね！

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って思いながら顔をグリグリしてたらお耳がパタパタしてほっぺを挟まれた。フニフニの感触が両頬をぽふぽふしてきて、気持ち良過ぎて嬉し過ぎて脳味噌がパァーンしそう！　いや、もうしてる！　あたしはデレデレMAXでエルサちゃんをぎゅぅーってハグする。

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隣から「アナずるいわ！　ママもママも！」って声がしてるけど、今は聞こえないフリ（あたしのお母さんだけど、そんな可愛い一面があるなんて知らなかったわ）。ついでにお父さんが苦笑してる気配も、カイが呆れているように笑ってる気配も感じたけど、全部知らないフリをしておいた。

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で、この状況で唯一冷静沈着なゲルダが「アナ様」と声を掛けて来た。デレデレな顔で返事をすると「お風呂の準備が整いましたよ」っていう報告。その言葉にあたしはきっとぱぁーって顔を明るくしてたに違いない。はしゃぎながら「お風呂できたって！」ってエルサに言うときょとんとして小首を傾げた。

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「おふろ？」 「そ！　一緒に入ろう～ねー？」 「ねぇ、ママは？」 「え゛」 「アナ、どうしてそんな嫌そうな顔するの？　お母さん悲しいわ……」 「あ、いや、その……」 「アナ、その……パパもダメかい？」 「えぇ！？」 親子＋エルサちゃんで皆でお風呂……とか、すごく楽しそう。でも、

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だけど、なんだろう……あたしの中の何かが叫んでる。 （あたし、まだエルサちゃんと二人でお風呂入った事ないのに？！） って、あたしのゴーストが叫んでる。おかしいわ。なんなのこれ？　独占欲ってやつ？　え、あたしってこんな詰まんない独占欲とか持ってない人間の筈だったんだけど。