【ヒエキヤマ】8話 決心する時雨

時雨は山城と二人きりという状況を精一杯楽しもうとする。しかし、山城に悩みを見抜かれて...。 こちらのまとめを修正した最終決定版がpixivに上がっています こちらからどうぞ→http://www.pixiv.net/novel/show.php?id=4662184 続きを読む
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桔山 海 @as_keito

扶桑、夕立の二人と別れて、僕と山城は少し歩き、屋外にあるベンチに座り、話し始める。目の前には海、工廠のクレーン、潮の匂い、新規着任した艦娘の訓練の掛け声、遠くに見えているふ頭では長門が釣りをしているみたい。 #8話_決心する時雨

2014-12-13 20:05:44
桔山 海 @as_keito

取り巻きが二人いて一人は退屈そうにそっぽを向き、一人は楽しそうに長門の隣に座り込み、一緒に糸の先を見つめていた。ここはそんな鎮守府の日常が垣間見えるそんな場所。 #8話_決心する時雨

2014-12-13 20:10:55
桔山 海 @as_keito

「山城は提督のことをどう思っているのかな?」 「はぁ...あんたが気にするなんて以外ね、まずこのユビワについてだけど...」 #8話_決心する時雨

2014-12-13 20:15:02
桔山 海 @as_keito

咄嗟に朝食の時の扶桑のように人差し指を口の前で立る仕草をしてしまった。すると山城は意地悪に微笑む。 「ふふ...姉さまと同じことを時雨がやっても生意気くらいにしか思わなかったわ」 #8話_決心する時雨

2014-12-13 20:25:19
桔山 海 @as_keito

「僕ってそんなに魅力無いのかな?」 「そうね...、良く見積もって姉さまの次くらいかしらね」 扶桑の次か...意外と評価は高いってことかな。 「そっか、少し嬉しいかな。...それで、さっきの質問の答えが聞きたいんだけど、いいかな?」 #8話_決心する時雨

2014-12-13 20:30:40
桔山 海 @as_keito

「ああ、提督についてだったかしら?そうね...。このユビワはあくまで感謝の証としてもらったつもり、少なくとも私はね」 ここでほっとしてしまう自分は少し嫌い...。 #8話_決心する時雨

2014-12-13 20:35:53
桔山 海 @as_keito

「最初、他の娘に渡した方がいいですよ、ってユビワをもらうのを断ったの。その後にユビワの意味を聞いて、愛されなくても私のためになりたいっていう強い思いを感じて、もらってもいいかな思ったの」 #8話_決心する時雨

2014-12-13 20:40:58
桔山 海 @as_keito

僕の予想どうり愛の証としてもらったわけでは無いみたい。でも提督はうまくやったみたいだね。山城は語るのがそんなに嫌そうじゃないみたいだ。 #8話_決心する時雨

2014-12-13 20:45:10
桔山 海 @as_keito

「ハッキリ言って姉さまと私を主力として使ってくれているだけであのユビワをもらうに値する感謝を私はしていたのよ...。最後に握手して笑顔で執務室を後にできたのもお互いに後味が良かったと思うわ」 #8話_決心する時雨

2014-12-13 20:50:20
桔山 海 @as_keito

これは提督にも話を聞きに行かないとかな。提督は確かにふられた。でもお互いの本心を知った上で良い関係を維持できているということは、むしろ前よりも強い信頼が生まれているんじゃないかと思う。 #8話_決心する時雨

2014-12-13 20:55:30
桔山 海 @as_keito

僕は、何よりも思いを伝えて山城との関係が変わってしまうことを恐れている。僕も山城に思いを伝えたら恐らく、ふられるだろう。でも、こんな風にいい関係を維持できたら、ふられても先に進めると思う。 #8話_決心する時雨

2014-12-13 21:00:44
桔山 海 @as_keito

「そうだこれは時雨にも聞いて欲しかった、私が執務室の前に来た時、電が先に遠征の報告に来てたみたいで、一番最初の娘に対する配慮っていうのかしら?電の前で私にユビワを渡すことを宣言しちゃってもう全部丸聞こえで私、執務室に入る前からドキドキだったのよ、はあ...」 #8話_決心する時雨

2014-12-13 21:05:03
桔山 海 @as_keito

「ふふ...それは大変だったね」 提督、それは偶然なのかな?それも含めて今度聞いてみよう。 #8話_決心する時雨

2014-12-13 21:10:12
桔山 海 @as_keito

「あとね...電が退室してすぐに私とぶつかって謝罪のすぐあとに... 山城さんは優しい人だから大丈夫だと思うけど今日は特に司令官さんの話をよく聞いて考えてあげて欲しいのです #8話_決心する時雨

2014-12-13 21:15:21
桔山 海 @as_keito

そう言って私にお辞儀をして小走りに走っていって、なんというか...あれが信頼なのかなって思ったわ」  電は少しでも提督のためになるような言葉を山城に投げかけていたんだね。山城も結構印象深そうに話しているし。これもやっぱり影響ありそう #8話_決心する時雨

2014-12-13 21:20:27
桔山 海 @as_keito

「はあ、まったく聞き上手なんだから。何だか姉さまや比叡の時よりたくさん話した気がするわ」  うん...ありがとね、山城」 僕としては必要なことは聞けたと思う。ああ...この後はどうしよう、考えていなかった。そうだ、せっかく二人きりなんだから...。 #8話_決心する時雨

2014-12-13 21:25:40
桔山 海 @as_keito

僕は隣に座る山城との距離を詰めた。 「何よ、くっついてきて?寒いの?」 「うん、ちょっとね。あと昨日あまり寝れなかったから、少し眠くなちゃった」 冬は好き。こうやって「寒さ」を口実に山城の温もりを感じることができるから。 #8話_決心する時雨

2014-12-13 21:30:51
桔山 海 @as_keito

今日みたいに、たまにだけど山城と二人だけの世界に浸ることはできる。でも僕はもっとその世界に浸っていたい。贅沢な悩みだけどそれが好きっていうことなんじゃないかな。でも眠くなってきたのはよくない。せっかくの二人だけの時間を無駄にはしたくなかった。 #8話_決心する時雨

2014-12-13 21:35:06
桔山 海 @as_keito

「はあ...、あんたが人肌恋しくなるときと、寝れない時は決まって何かに悩んでいるんだから。それについては時雨の部屋で聞くわ。で、話したらさっさと寝ること。あんたもうちの主力なんだからしゃんとしなさい」 #8話_決心する時雨

2014-12-13 21:40:11
桔山 海 @as_keito

僕が頷くと山城は立ち上がり一緒に僕の部屋に向かった。道中はそんな距離も無かったので特に会話も無く、僕の部屋に着いた。 座布団を横に並べ僕と山城は壁にもたれながら話始めた。 #8話_決心する時雨

2014-12-13 21:45:24
桔山 海 @as_keito

当然山城のことで悩んでいるなんて言えるわけもなく、夕立が悩んでいるかもしれないということを話した。でも僕も判断材料があんまり無かったから結局、帰ってきたら様子を見ようということになった。 #8話_決心する時雨

2014-12-13 21:50:33
桔山 海 @as_keito

「じゃあ、もう寝ておきなさい」 そう言って山城は立ち上がる。このまま山城を行せたくない。そんな衝動に駆られて僕は山城を呼び止め、こう続けた。 「ぼっ僕が寝るまで側にいてくれないかな」 言ってしまった...はあ...山城があきれた顔で戻ってくる...。 #8話_決心する時雨

2014-12-13 21:55:45
桔山 海 @as_keito

「重傷ね...今までこういうこと無かったの?すぐに元気になるから大丈夫よ。とりあえず、いてあげるから、さっさと寝なさいよね」 そう言って近くにあった掛け布団と枕を渡してくる。 #8話_決心する時雨

2014-12-13 22:01:01
桔山 海 @as_keito

「うん、今まで無かったんだ。だから割と不安で...」 そう、今まで無かったんだ。こんな機会。 でも、どうしよう。 呼び止めたはいいけど。このまま寝たら山城が帰っちゃう...。 #8話_決心する時雨

2014-12-13 22:05:21
桔山 海 @as_keito

僕は考えながら目をつぶり、開いてはすぐ左に山城がまだいるか確認した。そんなことを繰り返していると山城がため息をつきながら立ち上がる。 さすがにわがままを言いすぎたみたいだ。おとなしく寝るよ...。ごめんね、山城...。 #8話_決心する時雨

2014-12-13 22:10:34