計算の歴史を訪ねて-欧州報告会に向けて-

独立研究者 森田真生氏が12月21日にlakaguにてヨーロッパの旅の報告会を行います。http://peatix.com/event/60864/
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森田 真生 @orionis23

10月に僕は「計算の歴史」を訪ねて、ヨーロッパ3週間の旅に出かけてきました。イタリア、ドイツ、フランス、イギリスと、ヨーロッパ大陸を縦断しながら、計算という行為が辿ってきた歴史と、それを駆動してきた人間の情熱の正体を求めて、数多くの場や研究者のもとを訪ねました。

2014-12-11 12:03:39
森田 真生 @orionis23

「計算」は、一方では人間らしい情趣を欠いた非人間的な行為として敬遠されるとともに、他方では、ある種の超人間的な行為として恐れられてもきました。数学者を「天才」や「変人」と決めつけて安心する風潮にも、「計算」に対するどこか畏怖と軽蔑の混じった複雑な感情が現れています。

2014-12-11 12:04:31
森田 真生 @orionis23

非人間的であると同時に超人間的でもある「計算」に対する畏れと軽蔑の混じった感情は、たとえば『今昔物語集』巻二十四「俊平の入道の弟、算の術を習ひし語」の中にも見事に描かれていますが、計算という行為に対するある種の戸惑いは、それこそ「今昔」を貫く感情なのかもしれません。

2014-12-11 12:05:05
森田 真生 @orionis23

かつては専門的な「計算者(コンピュータ)」の領分であった計算が、いまやスマートフォンなどの形で、文字通り万人に「掌握」されるところとなりました。畏怖と軽蔑の対象として敬遠され続けてきた計算が、もはや私たちの生活の隅々にまで浸透し、日常の欠くべからざる要素になっているのです。

2014-12-11 12:06:37
森田 真生 @orionis23

その過程で、もともとは素朴な四則演算を意味するにすぎなかった計算も、メールの送受信や動画の再生までをも含む、驚異の普遍性を獲得しました。「計算」も、ずいぶん遠くまで来たものです。

2014-12-11 12:07:01
森田 真生 @orionis23

現代人にとって「計算」は、自由に自らを表現するための一つの媒体(メディア)であるとともに、自らの自由な行為を規制する条件でもあります。現代社会をよりよく生きるためには、それを根底で支えるとともに規制している条件であるところの「計算」について、深い理解を持つことがぜひとも必要です。

2014-12-11 12:08:28
森田 真生 @orionis23

素朴な四則演算を「普遍計算」にまで高めてしまった西欧数学の歴史には、それを駆動してきたほとんど宗教的とも言える情熱がありました。その情熱の正体を明らめることは、すなわち「現代」に淵源する何か根源的な衝動を解明することにも繋がるのではないかと思っています。

2014-12-11 12:09:03
森田 真生 @orionis23

そういう思いで、僕は10月にヨーロッパに発ちました。そこで、実にいろいろなことを学び、いろいろな発見をしました。この旅で得た経験と発見について、来週末、神楽坂のsokoを舞台に、できる限り言葉でもって、発表をしたいと考えています。peatix.com/event/60864/

2014-12-11 12:09:23
森田 真生 @orionis23

12月21日(日)神楽坂にて「計算の歴史」を訪ね歩いた欧州3週間の旅の報告会をします。現地で撮った写真も交え、現代社会を支えると同時に規制する条件でもある「計算」の思想的起源について、思いを巡らせてみたいと思います。ぜひご来場ください!peatix.com/event/60864/

2014-12-11 12:10:37
森田 真生 @orionis23

『今昔物語集』巻二十四「俊平の入道の弟、算の術を習ひし語」の話は、和算以前の日本数学史の話題として有名ですが、詳しくは『週刊朝日』連載の第93回目に書きました。ご関心がありましたらぜひご覧ください。おそらく来年の新年スタート号あたりに掲載されると思います。

2014-12-11 12:44:59