Partnership:三日目夜

そして    狭間が       崩れゆく。             ──最後の夜へ。
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人間《ディアドラ》 @actSkbz

そういう意図で言ったつもりでは無いのは、十二分に承知している。──しかし、それでも。 「それとも、何か。我が、──妾が、汝との約束を、違うと? そう、言いたいのかえ」 向けられる視線。どうなんだ早く言えと言わんばかりの、剣呑な気迫。 「──妾が、誓い言を、破ると?」 じいいいい。

2014-12-17 15:59:57
人間《ディアドラ》 @actSkbz

ふう、と息を吐いて、少女と少年に、それぞれ。秘め事のように、囁く。 「のう、汝らよ。  ……妾とゴルゴンの間に子が産まれたら……共に、可愛がってくれるかや」 くてり、と首を傾ける。秘密の問い掛け。

2014-12-17 16:02:19
ユッテリーネ @Jutteline18

ゴルゴンとサケルのやりとりを見ている内に涙は止まっていた。 ユッテリーネは輝きに満ち溢れた目で揺らしながら頷く。 「うん!わたしいっぱいかわいがる!」 それから少し照れたようにサケルを見つめて。 「……サケルのこと、あたらしいおかーさんができたみたいでうれしい」

2014-12-17 17:06:29
ユッテリーネ @Jutteline18

ゴルゴンにもその目を向けて。 「ゴルゴンはおとーさんみたい!」 笑顔になってからルェイジーにも向き直る。 「ルェイジー、わたしたちはかぞくにもなれるんだねっ!」 その様はとても嬉しそうだ。

2014-12-17 17:08:22
盈のゴルゴン・ゾーラ12世 @Gorgonzola_12

「おっオレは、別に!!そういう意味で言ったわけでは……っ!!」 慌てて弁明しようとすれば、口調が素に戻っていることにも気づかずに。 「って……」 ユッテリーネへ視線を向けて 「お父さん……?」 言葉を反芻する。人の容貌をしていたなら、耳まで赤くなっていることだろう。

2014-12-17 19:11:59
盈のゴルゴン・ゾーラ12世 @Gorgonzola_12

人間だったころ、『家族』たちからは『兄』と呼ばれていた男は 「お父さん……か」 ……人間の容貌であれば、今ごろ、口元がふにゃふにゃと緩んでいたことであろう。

2014-12-17 19:12:01
【西の供物】ジュリア @Julia_mua_CFF

「うん、ぼくもっ」と、サケルに頭を撫でられながら頷く。 そして、ユッテリーネの嬉しそうな様子、『家族』という言葉。聞き馴染みの無い言葉。 「かぞ、く……これが、家族って言うんだ……サケルおねえちゃんも、まおう様も…ユッテリーネちゃんも、家族」 三人を見回し、照れたように笑う。

2014-12-18 00:01:42
人間《ディアドラ》 @actSkbz

少女の目を見て、声を聞いて。 少年の照れたような笑みを見て。 其れは、柔らかく笑う。嬉しげに口を開く。 「ああ、何ぞ……むず痒い気持ちよ、の」 ちらりと竜を見やれば、可笑しそうに笑って。 「ゴルゴン、汝はその方が良いよ。──ああ、姿形の事でなく、な」

2014-12-18 09:34:54
人間《ディアドラ》 @actSkbz

「──そうさな、家族だ。  血の繋がり等なくとも、家族にはなれる。  それは、妾が子を産んだ後も、絶対に変わらぬ」 微笑む。ユッテリーネの背を優しく叩いていた手は、うさぎのような帽子の上に乗せられ。 「叶うなら、妾を汝らの母にさせておくれ」 「あれも、きっと……良い父と成る筈よ」

2014-12-18 09:34:56
人間《ディアドラ》 @actSkbz

くすくすと笑い声を立てながら、黒曜石の双眸が二人の子供へ向けられる。 「そうで在りたい、そう在ろうと希う気持ちは──何よりも強き“想い(ちから)”となるのよ」 「だから、妾は……汝らと、何れ産まれてくるややこと、『家族』で在りたいと、そう、──強く、想う」

2014-12-18 09:35:02
ユッテリーネ @Jutteline18

「わたしにとって元のおとーさんおかーさんはやっぱりおとーさんおかーさんだけど」 ユッテリーネは嬉しそうに笑う。 「ゴルゴンもサケルも代わりにできない、新しいおとーさんおかーさん!」 それからルェイジーと向き直って。 「でもおねーちゃんいもーとって感じじゃないの」 照れたように。

2014-12-18 14:08:49
ユッテリーネ @Jutteline18

つられてくすっと笑ってからサケルの言葉に目を輝かせる。 「『強い想い』……わたし、おもいを大事にする!」 そう言ってまた笑う様にはもう迷いも淋しさも存在していなかった。

2014-12-18 14:11:55
【西の供物】ジュリア @Julia_mua_CFF

「うん、じゃあ……」 少し気恥ずかしいのか、まだ照れくさそうな表情のまま、「サケル、お母さん…」「…ゴルゴン、お父さんっ」 「ユッテリーネちゃん!」 「ぼくの、初めての……『家族』っ」 隣で笑う大好きな人に、ルェイジーも笑う。

2014-12-18 18:28:37
【西の供物】ジュリア @Julia_mua_CFF

この三日間で、『寂しい』だけだったぼくは、いっぱいいっぱい色々なものをもらったんだ。 もう、寂しくなんてない。ずっとずっと、一緒だった数百もの『寂しさ』達とは『バイバイ』だ。 ぼくには『名前』がある。『大好きな人』がいる。そして『家族』がいるんだもの。

2014-12-18 21:23:00
【西の供物】ジュリア @Julia_mua_CFF

今からみんなで、ユッテリーネちゃんを助けに行こう。 そして、いらないもの、新たな旅立ちに似合わないものはぜんぶ捨ててしまおう。 捨てた分だけ、ステキなものをいっぱいいっぱい、大好きな人と、家族みんなで、拾っていこう。

2014-12-18 21:24:27
ユッテリーネ @Jutteline18

「ありがとう」 ユッテリーネは三人を順に見やり、そして空を見上げる。 他の皆にも届いたらいいな。 「……、ありがとう」

2014-12-18 21:32:01
人間《ディアドラ》 @actSkbz

「──嗚呼、花よ」 唇を綻ばせる。手の平を掬いに、降る花弁を受け止めて。 「こん」 鳴く。一つ、二つ、三つ、四つ。小さな狐が現れれば、それは溶けるように姿を消した。 「汝らに、幸あらん事を──」

2014-12-18 21:42:11
人間《ディアドラ》 @actSkbz

──嗚呼、鐘の音も聞こえる。 「ささ、ゴルゴンの背に乗りやれ。──我らも行くとしよう。」 笑いかける。子狐は無事、彼或いは彼女らに届いただろうか。この空間と共に消え行く其れは、分身と変わらず。 「さ、愛し子ら。まずは、ユッテリーネを助けよう」 微笑み、背を押す。

2014-12-18 21:42:52
人間《ディアドラ》 @actSkbz

──幸せに、ならねば。 「──“許容(ゆる)さぬ”ぞ」 風が一陣。崩れ行く空間は、花弁を巻き上げ── その姿は溶けるように、在るべき場所へと、導かれるだろうか。

2014-12-18 21:42:56
ユッテリーネ @Jutteline18

鐘の音を聞きながらユッテリーネは折鶴を取り出し、花の上にそっと置いた――

2014-12-18 21:43:54
ユッテリーネ @Jutteline18

サケルと共に黒竜の背に乗り―― ゴルゴンを嬉しそうに撫でて―― 最後にもう一度、ルェイジーに笑いかけた―― ありがとう。

2014-12-18 21:47:59
盈のゴルゴン・ゾーラ12世 @Gorgonzola_12

全員が背に乗り込んだことを確認すれば、ひとつ、大きく羽ばたいて。 崩れゆく地面を蹴り、崩れゆく空を突き抜けて。

2014-12-18 22:00:03
盈のゴルゴン・ゾーラ12世 @Gorgonzola_12

後ろを見やれば、ルェイジーの置いてきた幾つもの無念の魂達が、我らの後に追いすがり。 ーーーー哀れな者達よ。輪廻の理に、帰るが良い。 ぐるりと方向を変えれば、真正面に、それらを捉えて。 僅かの一飲みで、喰らい尽くす。

2014-12-18 22:00:05
盈のゴルゴン・ゾーラ12世 @Gorgonzola_12

漆黒の夜を越えれば、そこには星が、月が、街の明かりが宝石のように煌めいて見えるだろう。 黒竜は、宝石の海を羽ばたいてゆく。 守るべき、『家族』達を乗せて。

2014-12-18 22:00:06

 


 

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