#完全ノープラン艦これ与太話 【ロアリング・デッド・スピリット】 #5～#6

春魔解丼 @vespiking

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#完全ノープラン艦これ与太話 【ロアリング・デッド・スピリット】#5 #KZNPLN

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（これまでのあらすじ：マイヅル工業区画でマイコ・デリバリーを行い生計を立てる衣笠はある日、謎のヘドロ発狂マニアック駆逐艦に襲われ、テング・オメーンと高射装置を身につけた謎の女に命を救われる。彼女を助けた謎の女は防空駆逐艦でも天狗でもない、防空天狗であった） #KZNPLN

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（危険なマイコ・デリバリーから足を洗った衣笠は、培った護身カラテを活かしハッカー・ドージョーでヨージンボを買って出る。実際安全なビズの筈だったが、彼女を待ち受けていたのは突然の『猫』の出現！逃げ惑う門下生！燃えるドージョー！おおブッダよ、寝ているのですか！？） #KZNPLN

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「ウナー」「ニャー」「アイエエエ！」「グワーッ！猫グワーッ！」「アオー」ケオス！猫と悲鳴のメイルシュトロムと化したドージョー！衣笠、潮、漣は背中をぴたりと合わせ、危険な猫を射撃！射撃！「ウナー」「アー」爆発四散！だが次々湧き出す黒い影！「Shit！キリがないわ！」 #KZNPLN

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『猫』とは、我々の知るネコ科のカワイイ生物とは似て非なる論理生命体である。かれらは次元の深淵より出でし世界の歪、コトダマ空間のバグが漏れ出したような存在だ。こと、コトダマ空間の不安定なマイヅル工業区画では、『猫』の大量発生によるカタストロフも珍しくはない。 #KZNPLN

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こうしたシュラバを多数くぐり抜けてきた衣笠であるが、流石にこの大量発生は想定外インシデントだ！ここは空間が比較的安定している区画でもある。油断があったといえば、それまでだ。「イヤーッ！」衣笠は鮮やかなトライアングル・リープを決め、中型猫をトビゲリで殺す！ #KZNPLN

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「こっちよ、みんな！」「アイエーエエエ！」門下生らがドタドタと駆け出す！だが！「ウナー」頭上から猫！猫！さらなる猫！「アイエエエ！」「コワイ！コワイ！」「動作が緩慢です」「ウワーッ！」取り囲む猫！モハヤコレマデか！？「イヤーッ！」「ウナナー」 #KZNPLN

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「これ以上！やめてください！もう！ヤメテ！」潮は半狂乱になり、円形に取り囲む猫の塊を魚雷で殺害！サツバツ！「アイエエエヤアアーーッ！」漣もチョップで殺す！無我夢中のカラテが、活路を生み出した。猫の壁が、ほんの少し、砕けた！「イイイヤアアアーーーッ！」 #KZNPLN

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鎧袖一触！衣笠の重いカラテ攻撃が、壁の亀裂を押し拡げ、続けざまに更なる一撃！観測機による情報のみを頼りに、視覚頼りでは決して到達できぬ超高速の精密連撃動作が、猫の壁に大穴を穿つ！着弾観測連撃だ！「ニャー」「アオー」猫壁崩落！その先には、出口！好機！「センセーイ！」 #KZNPLN

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三連続バックフリップで迫る猫を蹴散らし、漣は穿たれた大穴へ向かう道を創り出す！「ハヤメクル！センセイ！今のうちに！」「漣＝サン！ありがとう！」朝潮は漣のサポートをうけ、門下生を先導！出口へ向け、弾丸めいて駆け出した！「みんな！走って！はや」ＺＤＯＯＯＭ！ #KZNPLN

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「ア、アイエエエ……？」朝潮に続いていた門下生らが、はたと立ち止まった。部屋の出口は真上にぽかりと穴が空き、その寸前で膝をつく朝潮。その頭部が、あるべき場所にない。では、何処に？「……オオオ、オオオオ……」朝潮の頭部は、戦艦じみた艤装に覆われた大腕に掴まれていた。 #KZNPLN

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ドンッ！破裂音と共に、大腕を包む巨砲が斉射された。フルフェイスメンポの殺戮者を本能的に襲撃しようとした『猫』の一団と、不幸にも近くにいた駆逐艦数隻と、朝潮の首から下がまとめて消し飛び、出口付近のケオスが水を打ったように沈静化した。殺戮者はメンポの下で、唸る。 #KZNPLN

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「ア、アイエ、アイエエエエ……」衣笠はへなへなと崩れ落ちた。ジゴクめいたメンポ。艤装まみれの大腕。今しがた朝潮の加わった、多数の艦娘の首を吊るすベルト。左脚を覆う闇の衣。「ギ、ギギギ……ドーモ、アスタロト、です……」殺戮者はギシギシと関節を鳴らし、オジギした。 #KZNPLN

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「血を……血を寄越せ……オオオオオ！」軽巡ツ級、アスタロトの咆哮は空気を震わし、数隻の駆逐艦を心停止に至らしめた。「アーッ！アーッ！センセイ！みんな！アーッ！」漣は叫びながら砲を乱射し、その全てが弾かれた後に、大腕によって自身の船体も跳ね飛ばされる。「グワーッ！」 #KZNPLN

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「漣ちゃん！アーッ！アーッ！」潮は漣へ駆け寄る。「ウ、ウウ……ウウーッ！」漣は水雷戦隊でも練度の高い駆逐艦である。衝撃を殺すウケミの心得もある。ダメージはさほど大きくない。無念の呻き声であった。「センセイ……センセイ……ウウーッ！」 #KZNPLN

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「ヤメローッ！ヤメローッ！」潮もまた泣き叫び、砲を放った。弾かれる。だが、それでよい。「ウワーッ！ウワーッ！」「アイエエエーッ！」静寂を破り、門下生が逃げ惑う。「イヤーッ！イヤーッ！」潮は砲を撃ち続けた。少しでも注意を引き付けたかった。だが。「オオオオ……！」 #KZNPLN

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腰を落とし、深く構えたアスタロトの拳は、あらゆる砲弾を弾き、そのカラテを崩さない。潮に向き直りすらせず、アスタロトは出口を凝視した。獲物たる駆逐艦の密集した、ただ一点を。「アーッ！ヤメテ！ヤメテ！アーッ！アーッ！」 #KZNPLN

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衣笠はただ呆然と、眼前のカタストロフを傍観していた。失禁が足裏を濡らし、そこでようやく我に返る。自分は、何をやっている。何を！何をしているのだ！そうしている間にも、アスタロトの剛腕は引き絞られ、巨大弩じみて爆発に備える！「……オオオオオ！」「ザッケンナコラーッ！」 #KZNPLN

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衣笠はヤバレカバレに己を奮起し、突撃した！アスタロトの胴を掴み、全身で敵のカラテを薙ぎ倒さんと力を込めた！「イヤーッ！イヤーッ！」「……弱敵」ドンッ！カラテが解き放たれ、衣笠はビリヤード玉めいて壁をバウンドし、床へ投げ出された。吐き気のする頭痛が襲う。 #KZNPLN

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呼吸すらままならぬ衣笠の瞳に、腰に吊られた朝潮の、無念の瞳が映り込んだ。インガオホー。そう問いかけられた気がした。ほんの少しだ。ほんの少しの出来心が、一瞬だけあった。それが、このザマか？何たる理不尽！何たる非道！ドージョーも朝潮も、ここまでされる謂れはない！ #KZNPLN

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衣笠は怒りに震えた。何故だ。平和で安全で、割高のリターンで、それのどこが悪いのだ。最後は実際、反省もした。心も入れ替えた。だのに！そう願うことすら、このキョートは赦さないのか！？何たる、何たる酷薄！そんなにも、高潔であれとブッタは云うのか！舵が効かぬ。動けぬ。 #KZNPLN

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アスタロトは拳を振り上げる。ヒトも艦も、最期に縋るものは、いつだって同じだ。だが、衣笠はブッダに祈ろうとはしなかった。逆恨みかも知れぬが、この暗黒を見て、手すら差し延べぬ者よりも。衣笠はより身近で、より力強い存在を祈り、叫んだ！「助けて！防空天狗＝サン！」 #KZNPLN

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ＣＲＡＡＡＳＨ！窓枠がさらに粉砕された。おお、何たる偶然か、或いは必然か！恐るべき霊的兵器の呼び声が、冷酷なるハンターを呼び寄せたのか！？はたまたモータルの叫びが、天へと届いたのか！？いずれにせよ、彼女は現れた！2基のスーパーデシマル砲ドロイドを従えて！ #KZNPLN

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高角砲が、機銃が、アスタロトの腕を撃つ！「グワーッ！？」バランスを崩したアスタロトの前に、雄々しきテング・オメーンと高射装置を備えた女が、鋼鉄の防空ジャケットを煌めかせ、立ち塞がる！決断的に！「神々の使者！防空天狗参上！」 #KZNPLN