「真の保守」をテーマにした本、３冊

有坂 一夫 @kazuoarisaka

0を「確かに多くはありません」と表現するのは、まぁ、嘘だとまでは言えないのかもしれませんが、「原発事故が直接的な原因で亡くなった人」の人数を知らない人が「確かに多くはありません」と教えられると、「じゃあ何人かはいたのだろう」と間違った方向に誘導してしまう恐れがあります。

有坂 一夫 @kazuoarisaka

私は「確かに多くはありません」と言われたら「少ない数」だと思い「無い」とは思いません。

有坂 一夫 @kazuoarisaka

0と1を比べたら0の方が「多くない」のかもしれませんが、少なくとも私は0を「確かに多くはありません」とは表現しません。中島岳志先生の文章には、読者をミスリードするレトリックがちりばめられていると思わざるをえません。

有坂 一夫 @kazuoarisaka

そして「その利便性とリスクを天秤にかけて利用する英知とバランス感覚」が重要だと書いたのに原発事故のリスクだけを記し、その利便性については書いていません。それどころか「電気に支配された近代文明（106P） 」と書く始末です。

有坂 一夫 @kazuoarisaka

そして一番いけないのが、「利便性とリスクを天秤にかけて利用する英知とバランス感覚が重要」と書いておきながら「原発事故が直接的な原因で亡くなった人」がまったく存在しない現実を「事故の規模を死者数に還元して論じようとする（104P）」

有坂 一夫 @kazuoarisaka

「功利主義的立場（107P）」としてしまっているところです。

有坂 一夫 @kazuoarisaka

利便性とリスクを天秤にかけるのならば、その天秤は何らかの基準を持っていなければなりません。

有坂 一夫 @kazuoarisaka

中島岳志先生は、原発事故が直接的な原因で「亡くなった人の数」を基準にされたら都合が悪いので「死者数を是非の指標とするような功利主義的立場こそ、保守派が徹底的に打破すべきものです。（107P）」と書いているのではないかと疑いたくなります。

有坂 一夫 @kazuoarisaka

佐高信先生は『未完の敗者　田中角栄』で印象操作をしています。

有坂 一夫 @kazuoarisaka

「ある意味で、社民党は田中に先を越されたのである。田中角栄こそが社会民主主義者だった（38P）」と書き「人情政治家（96P）」として大絶賛します。田中角栄の人情家エピソードをこれでもかと羅列します。

有坂 一夫 @kazuoarisaka

その中にスルッと「田中角栄はカネの渡し方にも情があった」というようなエピソードを混ぜ込み、田中角栄の金権腐敗政治を擁護します。

有坂 一夫 @kazuoarisaka

敵役には、佐高信先生が蛇蝎の如く嫌っている安倍首相に連なる清和会の福田赳夫が登場します。佐高信先生は福田赳夫を具体例を持って批判できません。保利茂の言葉を引用して、「田中に老婆心あり（54P）」「福田に老婆心なし（55P）」と書くのが関の山です。

有坂 一夫 @kazuoarisaka

164Pで「吉田茂、佐藤栄作の系譜にあらず」という解釈をおこなって、「岸や佐藤の悪さに比べれば、田中の悪さなど、かわいいものではないか。（224P）」と金権腐敗を擁護していますが、具体的な「岸や佐藤の悪さ」は書かれていません。

有坂 一夫 @kazuoarisaka

「安倍晋三を筆頭とする政治家への情けなさから私はこの本を書き始めた（241P）」と書いているように、安倍政権を批判するために田中角栄の金権腐敗政治を無理やり擁護しているのです。

有坂 一夫 @kazuoarisaka

ちなみに、株式会社金曜日の書籍の最終ページの「『週刊金曜日』の発刊に寄せて（抜粋）」では、佐高信先生の師である久野収先生によって冒頭から「支配政党の金権腐敗」と金権腐敗政治が批判されています。

有坂 一夫 @kazuoarisaka

佐高信先生にとっては、旧福田派は「ニセ札（『保守の知恵』10P）」であり、旧田中派で認めた者だけが「知恵のある保守」なのです。

有坂 一夫 @kazuoarisaka

97Pと98Pでは誰でもわかるような印象操作をしています。

有坂 一夫 @kazuoarisaka

「一九四九年、中華人民共和国が誕生した。以後、自民党は二つの流れに分かれる。」と書き、旧福田派を「イデオロギーを優先して、アカの国とは付き合うな、と主張するグループ」としています。

有坂 一夫 @kazuoarisaka

そして、旧田中派を「いくらアカの国でも、隣の大きい国とつきあわないわけにはいかないではないかという暮らし優先グループ」とし、「後者のグループの代表的政治家が田中角栄だった。」と設定します。

有坂 一夫 @kazuoarisaka

その直後の文章はなぜか一九三六年春に飛びます。不思議です。そこで関東軍参謀の田中隆吉を登場させ「僕は中国人を豚だと思っている」と言わせます。

有坂 一夫 @kazuoarisaka

その次の段落で「もちろん田中角栄は「中国人を豚だと思って」はいなかった。」という文章が続きます。田中角栄と対比するのなら、その人物は作中でヒールを演じさせられている福田赳夫だと思いますが、なぜか田中隆吉の差別的な発言が引用されているのです。

有坂 一夫 @kazuoarisaka

旧田中派や宏池会のような、佐高信先生がハト派だと判断するグループを善なるものとし、清和会のような、佐高信先生がタカ派だと判断するグループを何とか悪者にしようという努力の跡がうかがえます。いくらなんでも無理があると思います。

有坂 一夫 @kazuoarisaka

そして佐高信先生は、田中角栄の日中国交正常化を高く評価します。

有坂 一夫 @kazuoarisaka

佐高信先生は「当時、反共イデオロギー優先のタカ派からのそれに対する反発はすさまじく、田中も大平も暗殺を覚悟したほどだった。（98P）」と田中角栄をヒロイックに描写しますが、福田赳夫の日中平和友好条約締結はどこにも書かれていません。

有坂 一夫 @kazuoarisaka

不勉強な佐高信先生が、福田赳夫の日中平和友好条約締結を知らなかったのでしょうか？　違います。