【原発事故による精神的影響をどう捉えるか?④】

宗教学者 島薗進氏のツイートをまとめました。 関連まとめの第4弾です。
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島薗進 @Shimazono

0【原発事故による精神的影響をどう捉えるか?④】特集「福島第一原発事故にともなう放射線健康不安と精神的影響の実態および地域住民への支援」(『学術の動向』11月号)の紹介①②から『心と社会』44巻4号の関連論文へ移行③ togetter.com/li/754165  ④はその続き。

2014-12-21 15:23:32

【原発事故による精神的影響をどう捉えるか?③】

まとめ 【原発事故による精神的影響をどう捉えるか?③】 宗教学者 島薗進氏のツイートをまとめました。 この件に関する連続ツイートの第3弾になります。 8054 pv 327 2 users 193

島薗進 @Shimazono

1【原発事故による精神的影響をどう捉えるか?④】拙稿「「心のケア」の専門家と社会」(『心と社会』44巻4号、2013年12月) shimazono.spinavi.net/?p=573  は③で togetter.com/li/754165 紹介したが④ではそれに対する精神科医の論を紹介する

2014-12-21 15:23:54

島薗進氏ブログ
島薗進・宗教学とその周辺
「心のケア」の専門家と社会
『心と社会』(日本精神衛生会)44巻4号(154号)、2013年12月、pp.5-8
http://shimazono.spinavi.net/?p=573

島薗進 @Shimazono

2【原発事故による精神的影響をどう捉えるか?④】精神科医の江畑敬介氏は東京都世田谷区の江畑クリニックで精神科臨床実践を行う医師・医学者。「島薗進氏の巻頭言「『心のケア』の専門家と社会」に応えて―精神科医の立場から」(『心と社会』45巻3号、2014年9月)は意義深い論考。

2014-12-21 15:24:20
島薗進 @Shimazono

3【原発事故による精神的影響をどう捉えるか?④】江畑氏は拙稿「「心のケア」の専門家と社会」をこう要約する「現代社会においては、いろいろな場面で「心のケア」の必要性が強調され、「心の専門家」が大いに期待されるようになった。しかし「心のケア」とはどのような領域を含む概念であるのか」

2014-12-21 15:24:40
島薗進 @Shimazono

4【原発事故による精神的影響をどう捉えるか?④】「また「心のケア」を実践する「心の専門家」とは誰かが曖昧なままに、これらの言葉が使われている。したがって、「心のケア」の専門家とされる人々が、その「専門」とはどのような位置をもち、どのような意義をもつものなのかを市民とともに考え」

2014-12-21 15:24:54
島薗進 @Shimazono

5【原発事故による精神的影響をどう捉えるか?④】「対話し、自覚するようなシステムを高めていくべきところに来ている」。以上が拙稿の要約(福島原発後の問題については破かれている)。これについて江畑氏はこう論評する。「この問題提起は誠に適切であり、かつ時宜を得たものである。」

2014-12-21 15:25:10
島薗進 @Shimazono

6【原発事故による精神的影響をどう捉えるか?④】「私も精神科医として、「心のケア」が強調される時代にあって、その役割を確認する必要があることを常日頃から考えていたところである」。続いて江畑氏は診療所のふだんの受診者の中には、精神障害を患っているとは考えられない人がいるという。

2014-12-21 15:25:24
島薗進 @Shimazono

7【原発事故による精神的影響をどう捉えるか?④】「彼らの訴えは、恋愛問題であったり、職場の上司や同僚との不和であったり、近所付き合いの不和であったりする。それらは、彼らの人生に起きた苦悩である。しかしそれらの苦悩が高じて日常生活に支障を来たすほどの不安や不眠を生じている」

2014-12-21 15:25:38
島薗進 @Shimazono

8【原発事故による精神的影響をどう捉えるか?④】「不安や不眠を生じているほどではない場合に、精神科医としてその相談に応じた方が良いのかどうか戸惑うことがある。この戸惑いは、何処から生じるのであろうか。」続いて江畑氏は精神科医が行う診療手順とは何かを振り返る?

2014-12-21 15:25:53
島薗進 @Shimazono

9【原発事故による精神的影響をどう捉えるか?④】「精神科医はそれらの葛藤や苦悩が不眠や不安・焦燥感などとして心の働きすなわち精神活動の機能障害を引き起こしていないかを確認する。さらにそれらの葛藤や苦悩が精神活動に障害があるが故にその結果として起きたものではないかを確認する」

2014-12-21 15:26:08
島薗進 @Shimazono

10【原発事故による精神的影響をどう捉えるか?④】「その後に、精神活動の障害がいかなる原因に基づくものであるかを診断して治療方針を決めている。治療手段としては、精神活動の障害に対する薬物療法であったり、療養指導であったり、精神療法であったり、認知行動療法であったりする。」

2014-12-21 15:26:24
島薗進 @Shimazono

11【原発事故による精神的影響をどう捉えるか?④】「それは、誰の人生にも起こる葛藤や苦悩への対応とは異なったものである」続いて江畑氏は「ケアを必要としている心とはどのような状態なのであろうか」という問いを立て、「心の健康とは」何かについてまずWHO憲章(1946年)が参照される。

2014-12-21 15:26:43
島薗進 @Shimazono

12【原発…精神的影響…④】そこでは病気がないことに加えてwell-beingが提示される。それは精神的健康・心の健康において何を指すのか?憲章では説明がないがWHOは2007年”What is mental health”という問いに応答してwell-beingをこう述べてる。

2014-12-21 15:26:59
島薗進 @Shimazono

13【原発事故…精神的影響をどう捉えるか?④】「その状態では人は自らの能力を自覚し、生活していく上での普通のストレスに対処できて、また生産的で充実した仕事をすることができて、さらに地域社会に貢献することができることである」「要約すれば、心の健康=無病+well-beingである」

2014-12-21 15:27:16
島薗進 @Shimazono

14【原発事故…④】「無病(absebce of disease)とはwell-beingとは別の概念であることは明らかである。実際に、病気を持っていてもwell-beingである人は存在する。また逆に、病気を持たない人であってもwell-beingではない人も存在している」

2014-12-21 15:27:32
島薗進 @Shimazono

15【原発事故による精神的影響をどう捉えるか?④】「well-beingであることは、病気を持たないことの純粋型でもない」「以下では「無病」と「well-being」の両概念について検討する」。江畑氏は「心のケア」について精神科医が関与すべき領域を限定していくが、その内容は→続き

2014-12-21 15:27:50
島薗進 @Shimazono

放射能被害に対する心のケアとは?「現代社会は「心の専門家」が大いに期待され、たくさんの役割を託される傾向があるらしい」「その中には精神医学や臨床心理学の対象となるのが当然と考えられる領域がある」 togetter.com/li/754165

2014-12-21 15:43:49
島薗進 @Shimazono

放射能被害に対する心のケアとは? 精神医学の場合は、統合失調症やうつ病などで病む人々の治療やケアが目指される」「これはあまり違和感がない。だが、それを越えて精神科医がケアすべき領域が広がっており、その限界がか見えにくくなってきている。togetter.com/li/754165

2014-12-21 15:44:51
島薗進 @Shimazono

放射能被害に対する心のケアとは? かつて宗教に委ねられていた領域が、今では精神医学や心理学に委ねられている。そしてそれは政治的な意志と密接に結びついている場合がある。宗教も政治的な支配を補完する機能を果たす側面があると見なされてきた。 togetter.com/li/754165

2014-12-21 15:46:41
島薗進 @Shimazono

放射能被害に対する心のケアとは?「放射能の健康影響については、生物医学側からの「心のケア」への強い要請がなされている。福島原発事故による放射能の健康影響はたいへん小さいはずで、それよりも放射能を怖れることによる悪影響が懸念されるので」 togetter.com/li/754165

2014-12-21 15:47:37
島薗進 @Shimazono

放射能被害に対する心のケアとは?「それに対処すべきだと医学者や放射線健康影響学の専門家が主張し続けている。政府はその主張にそって「心のケア」に大量の予算が投入されている。しかし、その妥当性は大いに疑われてしかるべきだ」 togetter.com/li/754165

2014-12-21 15:47:51
島薗進 @Shimazono

放射能被害に対する心のケアとは?「宗教もだが、精神医学や心理学が批判されるのも、認められるべき「心の自由」に介入して、それを脅かすということ。精神科医や心理学者各自は政治的な意図からは自由であると確信していることが多いと思うが」 togetter.com/li/754165

2014-12-21 15:48:55
島薗進 @Shimazono

「私の見るところ、「放射能を怖れることによる悪影響」というのはほとんど学術的な検証の対象とされてはいない。だが、「放射線の健康影響」に対する防護措置をとらなくてもよいとする立場と表裏一体になって主張されている」togetter.com/li/754165

2014-12-21 15:51:57