【真荒】あなたのいる場所9

弱虫ペダル二次創作 腐向け 真波×荒北
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ひな@復旧中 @newgibbousmoon

【真荒】あなたのいる場所9 「ねえ、銅橋、銅橋、唐揚げってレンジでチンしたら硬くなっちゃうかなぁ?」 「あったりまえだろ。……なんで唐揚げ?」 「差し入れに来ましたっていって、部屋に行く予定だから!!」 「……夕飯食ったばっかだろ」 「だいじょーぶ、唐揚げとベプシは別腹!!」

2014-12-18 23:21:41
ひな@復旧中 @newgibbousmoon

@newgibbousmoon 「唐揚げとベプシ?え?えええええええええーーーーーーっ」 「銅橋、うるさい。何だよ、いきなり」 唐揚げとベプシ……そこから推察される三年の先輩に銅橋は心当たりがある。 というか、他の人間を思い浮かべることができない。 「……おまえの好きな人って」

2014-12-18 23:23:40
ひな@復旧中 @newgibbousmoon

@newgibbousmoon 「わかっちゃった?え、なんで?」 真波は驚いて目をぱちぱちとしばたく。 別に隠すつもりはない。でも、何だかこんな風にわかってしまうのは随分と照れくさいものだった。 「なんでって……唐揚げとベプシっていやあ、あらき……」 「わああああっ、ダメっ!」

2014-12-18 23:26:00
ひな@復旧中 @newgibbousmoon

@newgibbousmoon あわてて銅橋の口を押さえる。 勢いあまり、つい鼻まで押さえてしまって、銅橋が真っ赤な顔になり青くなったところであわてて手を離した。 「てっめ、窒息させる気か!!」 「ごめん、ごめん。でも、銅橋がいけないんだよ。気軽に口にしようとするから!!」

2014-12-18 23:28:08
ひな@復旧中 @newgibbousmoon

@newgibbousmoon 大事な名前だから、気軽に呼んじゃだめだから!と真波は理不尽なことを言う。 「それはてめえの事情であって、オレの事情じゃねえんだけど!オレにはただの先輩だから!!」 「何言ってんの、ただの先輩でしかないんなら余計に気軽に呼ばないでくれるかな」

2014-12-18 23:31:07
ひな@復旧中 @newgibbousmoon

@newgibbousmoon にこにこと顔は笑っているが目は笑っていない。 (めんどくせーヤツ) 真波は、どうやら本気で荒北のことを想っているらしい、と銅橋は判断する。 表情は真剣だし、行動もいつもに輪をかけてひどい。 (けど、こいつの好きって、どういう好きなんだろう?)

2014-12-18 23:33:51
ひな@復旧中 @newgibbousmoon

@newgibbousmoon 何といっても、歩く電波、あるいは、宇宙人な真波山岳である。 銅橋が思う『好き』とは違うような気がする。 「とりあえず、レンジでチンは30秒な。ラップは軽くふわっとすんだけで」 「わかった」 「今度っから唐揚げ差し入れるときは冷食にしとけ」

2014-12-18 23:37:20
ひな@復旧中 @newgibbousmoon

@newgibbousmoon レンチンするだけのが、油っぽくないから。と付け加える。 「おまえ学校来る時、小田百の前通るだろ。小田百の冷食の唐揚げ結構、イケっから」 小田原百貨店は学校から一番近い地元スーパーだ。 「へえ。ありがと、銅橋。変なとこ詳しいね」

2014-12-18 23:41:55
ひな@復旧中 @newgibbousmoon

@newgibbousmoon 「るせ。寮生はみんなあそこにすげー世話になってんだよ」 寮の食事だけでは足りない育ち盛りの男子高校生の集団だ。毎回、コンビにばかりではすぐに干上がってしまう。 土日が冷凍食品30%オフとか、玉子の特売は火曜日とか基本情報はきっちり押さえていた。

2014-12-18 23:44:26
ひな@復旧中 @newgibbousmoon

@newgibbousmoon 「ふーん。とりあえず、行ってくるね」 「おう。がんばれよ」 「うん」 応援らしき言葉を吐いた銅橋に、真波がこくと真面目な顔でうなづいて出て行った。 (……って言ったけど、荒北センパイにとりあってもらえないで戻ってくる未来しか予想できねーんだけど)

2014-12-18 23:47:26
ひな@復旧中 @newgibbousmoon

@newgibbousmoon ***** (レンジで30秒。レンジで30秒。でも冷めちゃうかもだから40秒にしとこうかな……でも、かたくなるとイヤだし……) 悩んだあげく間をとって35秒にする。 あつあつを食べてもらうために、チンとなった瞬間に唐揚げの箱をとりだしダッシュした

2014-12-18 23:51:31
ひな@復旧中 @newgibbousmoon

@newgibbousmoon 「おや、真波ではないか、真波?」 「ごめん、東堂さん、いま、忙しいから!!」 またね、と言い置いて東堂の横を走りぬける。 (何だろう。すごくワクワクしてる!!) 目の前には坂も山もないというのに。 その勢いのまま、荒北の部屋の前に辿りつく。

2014-12-18 23:54:23
ひな@復旧中 @newgibbousmoon

@newgibbousmoon そして、まったく躊躇いもなくドアをノックした。 「あー、開いてるぜ?」 「おっじゃましまーす」 「はぁ?真波~?」 「差し入れにきましたー」 はい、唐揚げとベプシ!真波の差し出したそれを、反射的に荒北は受け取った。 「お、おう。あんがとね」

2014-12-18 23:57:38
ひな@復旧中 @newgibbousmoon

@newgibbousmoon (やった!第一関門突破!) まずは差し入れをうけとってもらうことが今日の第一の目的だった。 一度受け取ってもらえれば、このあと、何度も差し入れする口実になる。 「……っつーか、何で?」 「もう、荒北さんに会える日にちってそんなにないから」

2014-12-19 00:00:12
ひな@復旧中 @newgibbousmoon

@newgibbousmoon 「だから差し入れかよ。わっかんねーな、おまえの発想」 荒北はくっと笑みをこぼす。 「ちがいますよ!」 「……?」 「差し入れは、えっと、口実です」 「何の?」 (あ、やっぱ荒北さんってすごい真ん中突いて来るなぁ) 「とりあえず、食べてください」

2014-12-19 00:05:13
ひな@復旧中 @newgibbousmoon

@newgibbousmoon 唐揚げ、あったかいうちじゃないとマズいでしょ!と言うと、荒北は素直に手をのばした。 「おめーも食え」 「はーい」 ほんのりぬくい唐揚げは、なかなかおいしい。 (でも、たぶん、これは荒北さんがいるからだ) 真波は唐揚げがそれほど好きなわけではない。

2014-12-19 00:10:51
ひな@復旧中 @newgibbousmoon

@newgibbousmoon でも、こんな風に二人で食べると何よりもおいしく感じるから不思議だった。 「ほら」 荒北は、どこからか出した紙コップにベプシをそそいでくれる。 「いただきまーす」 「おまえがもってきたのだけどな」 口の中でしゃわしゃわと泡がはじける。

2014-12-19 00:12:47
ひな@復旧中 @newgibbousmoon

@newgibbousmoon 揚げ物のあとの炭酸は、口の中がさっぱりして良いかもしれない。 五個あった唐揚げを、荒北が三個、真波が二個食べて、それから、荒北がペットボトルのベプシを全部飲みきった。 しばしの沈黙。 「……で、何かあったのか?」 覗き込むように目線を合わせてくる

2014-12-19 00:14:51
ひな@復旧中 @newgibbousmoon

@newgibbousmoon 「何かっていうか……あのね、荒北さん」 「おう」 真波を案じてかやや心配げをみせる。 (すごい、荒北さんがオレだけを見てる) ドクドクと鼓動がいつもの倍以上の速さで高鳴っていた。 全身がぎゅっと締め付けられる。 (オレ、すげー生きてる!)

2014-12-19 00:19:55
ひな@復旧中 @newgibbousmoon

@newgibbousmoon たぶん、今なら空も飛べてしまうかもしれない。 そんな最高の気分だった。 だから、その気分のまま、真波は告げた。 「オレ、荒北さんが、好きです」 荒北は、何を言われたかわからないというような表情でぽかんと真波を見ていた。

2014-12-19 00:23:04