二人のクリスマス

やましぐれSS こちらのまとめを修正した最終決定版がpixivに上がっています こちらからどうぞ→http://www.pixiv.net/novel/show.php?id=4708779
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桔山 海 @as_keito

今日はクリスマスイヴ。私、山城は時雨に連れられ、街中を歩いています。何でも、クリスマスイルミネーションが綺麗だから一緒に見に行こうとのこと。 私はハッキリ言って飾りが綺麗だからと言って、見に行きたいと思うほどでは無かったし、雪も降っていた。それに風も強かった。 #二人のクリスマス

2014-12-25 20:05:07
桔山 海 @as_keito

それでも、行こうと思ったのは時雨が行きたいと言っているから。 時雨は私の前で白いマフラーを首に巻かずに手に持って歩いています。しかし、急に歩みが遅くなり始め、そして止まりました。 「山城、手を繋いでくれないかな」 #二人のクリスマス

2014-12-25 20:15:24
桔山 海 @as_keito

私は黙って左手を差し出す。大体の予想はつく。時雨は孤独に対して敏感だから私を手で感じ、視界に収めて、安心が欲しかったのだと私は思う。人ごみに囲まれる街中で孤独感を感じるなんて普通の人間ならそんなことはないかもしれない。でも、私たちは違う。 #二人のクリスマス

2014-12-25 20:20:35
桔山 海 @as_keito

私たち艦娘は人に見えない。街中では見えない私たちに向かって構わず人々は歩いてくる。当然ぶつかる。ぶつかるといっても、すり抜けるだけ。だから、孤独を感じても不思議ではないと思う。 #二人のクリスマス

2014-12-25 20:25:43
桔山 海 @as_keito

でも、私たちが見える人が稀に存在して、その人が提督としての使命を負う。そういった人材を捜索するため鎮守府では提督捜索部隊が編成される。やることは、街中に来て艦載機を飛ばす、それだけ。なので実質休暇という扱いで今日はそれも兼ねています。 #二人のクリスマス

2014-12-25 20:30:54
桔山 海 @as_keito

私も空母ほどじゃないけど、多少の航空戦力を持っているのでさっき、離艦させたところ。私のは水上機だから着艦はできないから近くの噴水広場に着水しているのを後で回収に行く予定。 #二人のクリスマス

2014-12-25 20:35:05
桔山 海 @as_keito

「やっぱり街中は馴れないや」 投げやりにそう言う時雨の表情は意外と明るい。 「あんた絶対一人で来ちゃだめだからね」 これだけは口を酸っぱくして言っておかなくては...。しかし、時雨ったら私の手を握って、すっかり気分は元通りどころかそれ以上。 #二人のクリスマス

2014-12-25 20:40:16
桔山 海 @as_keito

「ねえ、ちょっとこれ巻いてみてくれる?」 私の赤を基調としたタータンチェックのマフラーを取って時雨に渡しました。絶対に似合わないそうと思いながらも、見てみるとやはり予想通り。 「ぷっ、あんたホント赤、似合わないわね、ちょっとその白いのかしてみなさいよ」 #二人のクリスマス

2014-12-25 20:45:31
桔山 海 @as_keito

私は顔まで赤くなっている時雨から白いマフラーを剥ぎ取りました。私のを巻けて嬉しいのかしら?ホント小さいくせにいつも達観して冷静な雰囲気のあんたは私に対しての嬉しいには正直なんだから...。まったく嬉しい限りだわ。 #二人のクリスマス

2014-12-25 20:50:40
桔山 海 @as_keito

「私はどうかしら」 「うーん、よくも悪くも普通って感じかな」 まあ、白だからそうよね。でもコイツの変に媚びない態度、割と好き。 #二人のクリスマス

2014-12-25 20:55:52
桔山 海 @as_keito

「やっぱりこっちの方が似合うよ」 と言って、私の赤いマフラーを渡してくる。同時に強風が吹き私のマフラーは 少し離れたところに飛ばされます。 私は飛んでいったマフラーの方へ走ろうとすると、マフラーを拾い上げる少年の姿を見て足を止めました。 #二人のクリスマス

2014-12-25 21:01:09
桔山 海 @as_keito

そして、私と時雨のところまで、マフラーを持ってきて手渡しました。私と時雨は驚いてお互いに顔を見合わせます。ハッと我に返り私はお礼を言いました。すると少年は私をじっと見つめています。気になった私は声をかけてみました。 #二人のクリスマス

2014-12-25 21:05:35
桔山 海 @as_keito

「何か、私の顔についてる?」 「ご、ごめんなさい」 少年は急いで走り去っていきます。 時雨は私に目配せをして私も思い出したように、残してあった瑞雲を飛ばし少年を追わせます。 #二人のクリスマス

2014-12-25 21:10:45
桔山 海 @as_keito

「たぶん、それが気になったんじゃないかな?」 時雨は私の頭の右にある艦橋飾りを指さす。 「たぶん、違うような気がするわ。私の目をじっと見つめていたような感じだったから...って何ニヤニヤしてるのよ?」 #二人のクリスマス

2014-12-25 21:15:57
桔山 海 @as_keito

「さすが、僕の山城だね。少年の初恋は苦い思い出になってしまったね」 「何が僕のよ。調子乗ってんじゃないわよ」 私は軽く、時雨の額を指で弾いた。時雨は額をさすり、少しうつむきながら、さっきの少年について話し始めた。 #二人のクリスマス

2014-12-25 21:20:04
桔山 海 @as_keito

「それにしても本当に遭遇するなんて...彼もいつか提督と言われるようになるのかな」 「そうね、彼の頃には戦況もよくなっているといいけど...」 時雨は急に辺りを見回し私の手を握り直してまた歩き始める。 「僕ね、子供っていいなって思うんだ」 #二人のクリスマス

2014-12-25 21:25:11
桔山 海 @as_keito

「そう?子供なんてうるさいだけよ。きっと」 「うん、山城はそうかもね。でも愛の結晶が子供として形になるっていいなって思わない?」 #二人のクリスマス

2014-12-25 21:30:20
桔山 海 @as_keito

「まあ、その点だけは同意できるわ。でも、女同士じゃ人間でも愛の結晶は形にならないから、その点はあきらめたほうが気が楽よ。でも私たちは...うんう、なんでもないわ」 #二人のクリスマス

2014-12-25 21:35:29
桔山 海 @as_keito

急に恥ずかしくなって私はごまかした。だって沈まなければ私たちはずっと一緒に居られるなんて私のセリフじゃない。 「まあ、僕らはその点、寿命がないから沈まなきゃずっと一緒に居れるからね、ふふ」 #二人のクリスマス

2014-12-25 21:40:38
桔山 海 @as_keito

そう、あんたのセリフだから言いたくなかったの。まったく、得意げな顔しちゃって。私が言おうとしたの絶対、わかってるでしょ。はぁ...。 #二人のクリスマス

2014-12-25 21:45:51
桔山 海 @as_keito

「山城、見えてきたよ」 来るまでは特別見たいという感じでは無かったけど、なんだかんだ実物を見ると綺麗、そう思う程度には豪華な飾りつけだった。周りにもやはり多くの人だかり。 「なんだか、女同士で来てる人全然いないね」 #二人のクリスマス

2014-12-25 21:51:00
桔山 海 @as_keito

「何、気になるの?私はあんたを好きになった。あんたは私を好きになった、それでいいじゃない。それに金剛みたいに提督を好きになる艦娘だっているんだから私たちもなるべくしてなってるのよ」 #二人のクリスマス

2014-12-25 21:55:12
桔山 海 @as_keito

「なんだかいつも聞きたかったことが聞けたような気がするんだけど、今日はそういう気分なのかな?」 「ええ、そうよ。今日だけだからね」 #二人のクリスマス

2014-12-25 22:00:28
桔山 海 @as_keito

これが、私のクリスマスプレゼント。普段時雨には思いをぼかしてきた。だから、いつかちゃんと伝えてあげよう、そう思っていた。そして目をきらきらさせて私を見つめる時雨。 「山城はどうして僕を選んでくれたのかな?僕としては玉砕覚悟で告白したんだけど」 #二人のクリスマス

2014-12-25 22:05:51
桔山 海 @as_keito

「姉さまも当然大事だけど、あんたも同じくらい大事だったのよ。それに姉さまが背中を押してくれたの...私以外にも心を許していいのよって」 姉さまを置いて私が恋にかまけてよいものか不安だった。 #二人のクリスマス

2014-12-25 22:10:04