【第一部-弐】時雨と山城のクリスマス #見つめる時雨

時雨×山城 鈴谷×熊野
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誰かを見つめる時雨 @rainshowers_bot

今日は僕達の鎮守府でクリスマスパーティが行われるんだって。18:15くらいから始まるみたいだよ。うん、とっても楽しみだ

2013-12-24 18:01:22
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装飾された食堂。テーブルに並べられたディナーの数々。今日は皆でクリスマスパーティーなんだ。 「ハーイ!Merry Christmasネー!!」 こういうイベントの発案はいつも金剛だ。しかも彼女は言い出すだけじゃなくて、段取りを組んで皆が楽しめるように考えてくれる。流石だね

2013-12-24 18:15:09
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配られたシャンパンに口をつける。ふふ、甘いや。 「時雨!料理を取りに行こう!」 夕立がお皿を2つ持ってやってきた。もう早く料理が食べたくてしょうがないって顔をしてるよ。 「うん。何から食べようか」 間宮さんを始め、鳳翔さん、夕張達の気合の入った料理。どれも美味しそうだ

2013-12-24 18:21:27
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「いただきま~す!」 山盛りの肉料理を美味しそうに平らげていく夕立。うーん、肉食だ。 「時雨、これ、とっても美味しいっぽい!」 夕立がフォークに刺した肉を僕に差し出す。食べさせてくれるの? 「ほら、早く口開けて~!」

2013-12-24 18:27:48
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急かされ、言うとおりに口を開けると、お肉を入れられた。 「どう?どう?」 「うん、美味しいよ」 そう言うと夕立が満面の笑顔を浮かべた。ふふ、何だか本当に子犬みたいだ。かわいい

2013-12-24 18:33:43
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「おお~、これも美味しそうじゃん 「もう、お肉ばかりじゃダメでしてよ」 近くに来ていた鈴谷と熊野が目に入る。ふふ、あの2人も楽しそう。熊野は少し呆れ顔だけど。 「お、時雨じゃん。食べてる~?」 まだ始まったばかりのような…あれ? 鈴谷の右手の薬指に、光る物が見える。

2013-12-24 18:42:06
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「鈴谷、どうしたの、その指輪。初めて見るよ」 指摘された鈴谷が、おっ、という顔になる。そしてちょっと照れ臭そうに頬を掻いた。 「へへ、実はこれ……」 視線が熊野へ移動する。熊野の方も頬を赤らめていた。そうか、これって、 「ペアリングだね?」 熊野の指にも同じものがあった

2013-12-24 18:49:05
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「うん、熊野がどうしてもって言うからさ……」 「あら、これにしようって言ってくれたのは鈴谷じゃない。照れなくてもよろしいのに」 「あはは……あ、料理が冷めちゃうね!早く食べよう!」 そう言いながら逃げるように移動する鈴谷。熊野はちょっとご立腹。鈴谷、相変わらずだね……

2013-12-24 18:56:11
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「熊野、とっても似合ってるよ」 そう言うと、熊野は恥ずかしそうに、そして幸せそうな笑った。 「ありがとう。ああ見えて鈴谷も、決めてくれるところは決めてくれるんですのよ?時雨も……いい人が見つかるといいですわね」 その言葉に僕は……笑顔を返した。 「うん。ありがとう、熊野」

2013-12-24 19:03:12
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提督から通信だよ 『時雨のクリスマスパーティー編、前半部分は既に終わっていますが、まだ少しだけ続きます。22:00くらいからの更新を予定しておりますので、よろしければ見ていって下さい。私のクリスマス? え?よく聞こえないわ』

2013-12-24 20:54:47
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だいぶ料理も減ってきた。さっきからお酒を飲んでる人達は……ああ、結構出来上がってるね。 「ずいかく~、食べさせてくれなきゃヤダぁ~」 え、えっと……あれ、翔鶴だよね? いつもお淑やかで控えめな翔鶴が、酔うとあんなになっちゃうなんて……お酒ってこわいなぁ……

2013-12-24 22:00:13
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「扶桑さぁん、ずいかくがイジワルするの~」 「ちょ、翔鶴姉!人聞きの悪いこと言わないでよ!」 今度は扶桑に絡み出した。ああ、これは厄介そうだ……。そういえば山城の姿が見あたらない。どこへ行ったんだろう。

2013-12-24 22:07:32
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「時雨、ちょっといいかしら」 後ろから突然声をかけられた。えっと、 「山城……?」 「驚かせちゃったかしら?ごめんなさいね」 山城がコートを着て立っていた。手袋を付けた手にはハンドバッグも握られている。どこかへ出かけるつもりかな。

2013-12-24 22:15:41
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「提督にお酒の補給を頼まれたわ。全く、たまたま近くにいたからって。不幸だわ、不幸」 どうやら提督にお使いを頼まれたらしい。そして少々ご立腹の様子。 「ちょっと帰りにお酒を持つのを手伝って欲しいのよ。いくら私でも、これだけの人数分は辛いわ……」

2013-12-24 22:22:43
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「……僕だけで大丈夫かい? 夕立も連れてくるけど」 「大丈夫よ。2人で何とかいけるわ。それに、」 山城の視線が動く。その先には… 「あ、夕立、寝てる…ね」 満腹になって満足したのか、夕立が椅子の上ですやすやと寝息を立てていた。はぁ、後で部屋に連れて行ってあげないと…

2013-12-24 22:29:15
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「……じゃあ、コート取ってくるね」 食堂を出て、部屋へと向かう。…改めて考えてみると、この状況って…山城と、二人っきり…なんだよね。そう思うと僕の足が心なしか、どんどん早足になってる気がした。 ああ、何で僕、こんなに胸の鼓動が早くなってるんだろう…

2013-12-24 22:38:18
誰かを見つめる時雨 @rainshowers_bot

部屋のタンスを開け、コートを取り出す。それと念のため財布と、あと……。 「……」 机の引き出しから、ラッピングされた袋を取り出した。昼間に買っておいた、プレゼント。渡す機会なんて、ないと思ってたけれど……。 「いけない、早く戻らないと」

2013-12-24 22:44:43
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「これで十分かしらね。はぁ、重いわ…」 お酒を沢山買い、帰路につく。クリスマスに彩られた町はとても明るかった。その中を山城と2人、並んで歩く。 「はぁ…ごめんなさい、少し休憩しましょう」 「だ、大丈夫?」 ベンチにお酒を置き、山城が座る。僕も隣に腰を下ろした。

2013-12-24 23:01:09
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「ふぅ…」 山城がイルミネーションを眺めている。山城の深紅の瞳がその光に照らされて、宝石みたいに輝いて見えた。 「綺麗…だね」 山城が僕を一瞬見て、そしてまたイルミネーションに視線を戻す。 「ふふ、そうね…綺麗」 山城が優しく笑う。心臓が、強く鼓動を打った。

2013-12-24 23:08:11
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「ねぇ、山城……渡したい物があるんだ」 山城がこちらを向き、首をかしげる。僕はコートのポケットからラッピングされた袋を取り出した。どうしよう、手が、震える。 「その…これ、クリスマス……プレゼント」 「私に?」 「うん、山城に……」

2013-12-24 23:16:15
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山城が丁寧にラッピングを取り、袋を開ける。 「わぁ…」 買ったのは、手袋。山城の重荷にならず、適度に数があっても困らないもの。今あるものが使えれば必要ないかもしれないけれど、でも、何か渡したかった。 「…ありがとう、時雨」

2013-12-24 23:24:32
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山城が、おもむろに今まで着けていた手袋を脱ぎ始める。 「…山城?」 そして…今僕が渡した手袋を、両手に着けた。 「ふふ、ぴったり」 山城が、手袋の両手のひらを僕の方へ向け、はにかんだ笑顔をする。それを見た時、僕の中から何かがこみ上げそうになった。

2013-12-24 23:32:07
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「私もね、あるのよ」 「え?」 山城がハンドバッグからラッピングされた袋を取り出す。 「はい、時雨」 固まる僕の両手にそれを置いた。え…これは、何? 「開けていいよ」 穏やかな声に導かれるままにラッピングを解いていくと、中には…マフラーが入っていた。

2013-12-24 23:38:31
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「時雨の瞳の色とお揃いのマフラーよ。どうかしら?」 マフラーをじっと見つめる。山城が、僕に……。いけない、本当に何かが溢れだしてしまいそうだ。駄目だ。我慢しないと… 「ありがとう、山城…」 ありったけの力を振り絞って、僕は山城にお礼を言った

2013-12-24 23:43:31
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「ちょっと貸してね」 山城がマフラーを手に取り、広げた。そして、 「わっ……!?」 山城は僕に肩を密着させ、マフラーを自分と僕にかかるように巻いた。 「ふふ、温かいわね」 「や、山城…?」 山城の感触が、伝わってくる。え…何で、僕……え?

2013-12-24 23:50:46