ねっこをたべる ~ダイコン、カブ、ワサビ、ニンジン、ゴボウ、レンコン、ショウガ~

アグリサイエンティスト、がんちゃんによる野菜解説シリーズ。 根菜の特集です。
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がんちゃん(💉FFMMFF) @gan_jiro

さて、ニンジンであるが名前の由来となったオタネニンジンは朝鮮人参や高麗人参として有名であるが、こちらはウコギ科の多年草で野菜のニンジンとは別種である。ちなみに、オタネニンジンの根が枝分かれする様子が人の姿のようだというのが人参という和名の由来といわれている。

2014-12-25 22:41:45
がんちゃん(💉FFMMFF) @gan_jiro

野菜のニンジンはセリ科であり、とあるお方が毛嫌いするセロリやセリ、ミツバ、パセリなどがその仲間である。ニンジンの野生種はヨーロッパ、北アフリカ、アジアに広く分布しているが、おおもとは中央アジアのアフガニスタン、ヒンドゥークシュ山麓と考えられている。

2014-12-25 22:42:14
がんちゃん(💉FFMMFF) @gan_jiro

日本のリコピン系ニンジンはこのアフガニスタンニンジンの系譜と考えられており、よりオレンジがかったいわゆる洋ニンジンはトルコあたりでニンジンの亜種の野生種と交雑し、栽培種として成立したと考えられている。

2014-12-25 22:42:33
がんちゃん(💉FFMMFF) @gan_jiro

ヨーロッパでは12~13世紀にアラブから導入され、当初は紫色長人参が主流だったが、17世紀ごろにオランダで改良がおこなわれ、橙黄色種が発達してきた。アメリカに導入されたころにはすでに橙黄色種が主流になってきており、アメリカでは最初からこの種が発達した。

2014-12-25 22:43:01
がんちゃん(💉FFMMFF) @gan_jiro

東洋には元の時代に伝わったとされるが、当初は華北の高原地帯でのみ栽培されていた。わが国では17世紀に公式な記録が見られ、和漢三才図会(1712)には様々な色のニンジンの記載がある。1716年ころには江戸にも導入されたようである。

2014-12-25 22:43:19
がんちゃん(💉FFMMFF) @gan_jiro

16世紀ごろに日本に導入された当初は葉も食用とされていたようだが、明治以降根のみを食用とするようになった。東洋系の金時人参は京人参ともいわれ、煮崩れしにくいため煮物料理によく利用され、和食には欠かせない食材である。ちなみに金時人参の生産量は香川県が日本一である。

2014-12-25 22:44:03
がんちゃん(💉FFMMFF) @gan_jiro

19世紀に入って、フランスやアメリカから多数の品種が導入され、北海道で土着したものが寒地型、長崎に土着したものが暖地型として現在の品種の基礎となった。金時ニンジンに代表される東洋系ニンジンは、栽培の難しさから減少し、今では洋ニンジンが主流になっている。

2014-12-25 22:44:30
がんちゃん(💉FFMMFF) @gan_jiro

キク科であるゴボウ属植物は、アジアからヨーロッパにかけて6種が分布しているが、栽培種として利用されているのはそのうち一種である。わが国には原種は見られず、野生のものは栽培種が逸出して野生化したものと思われる。ただ、縄文時代の遺構から植物遺存体として見つかっているものもあるが。

2014-12-25 22:44:52

ゴボウはいかにも根っこと言う感じ。

がんちゃん(💉FFMMFF) @gan_jiro

ゴボウの食用としての栽培は中国で始まったと考えられ、主に薬草として、まれに食用として利用されていたようである。和名のゴボウが漢字の牛蒡から来ていることからも、中国から栽培種が伝来したものと考えて間違いないだろう。

2014-12-25 22:45:22
がんちゃん(💉FFMMFF) @gan_jiro

わが国での栽培がいつ始まったかははっきりしないが、本草和名や和名抄にキタキスという名前で記載が見られることから、千年以上前に伝播したことは間違いない。いずれにしても、日本に導入後品種がさまざまに分化し、栽培も日本で発達したので、気持ちの上では日本原産と言ってもいいと思う。

2014-12-25 22:45:56

レンコンダイスキー!
こちらも古い野菜の模様。

がんちゃん(💉FFMMFF) @gan_jiro

次に、レンコンも取り上げておこう。「ハス」のうち根茎が肥大するものを食用とするグループである。江戸時代中期までは単に「蓮の根」と呼ばれており、現在でも「はすね」と呼ぶ場合もある。その生態がよく似ているスイレンは別種である。

2014-12-25 22:46:23
がんちゃん(💉FFMMFF) @gan_jiro

レンコンは分類上はヤマモガシ目ハス科ハス属で、ハス科にはハス属しかないが、ハス科以外のヤマモガシ目はヤマモガシ科とスズカケノキ科で木本性植物(樹木)である。東洋産ハスの原産はインドといわれ、中国を経由して日本に伝来したと思われる。中国原産でアジア各地に広がったという説もある。

2014-12-25 22:46:50
がんちゃん(💉FFMMFF) @gan_jiro

わが国でのレンコンの歴史は古く、北海道から九州まで化石が発見されている。また、1500~3000年前の地層から見つかったハスの種子が発芽し、生育して開花に至ったという記録もある。長い間の品種分化で食用と観賞用が生まれ、観賞用は数百種類の品種があるが、食用は数十種類である。

2014-12-25 22:47:30
がんちゃん(💉FFMMFF) @gan_jiro

ハスは仏教伝来より早く日本に伝搬した記録があり、古事記や続日本紀にもハスの記載がある。たびたび中国から肥大の良い系統が持ち込まれ、日本各地に定着して地物や在来種のもとになった。

2014-12-25 22:47:48
がんちゃん(💉FFMMFF) @gan_jiro

栽培が本格化したのは明治に入ってからで、政府によって中国から肥大の良い系統が導入され、在来系統より肥大性に優れていたことなどから日本全国に普及していった。これが現在関東や東海などを中心とした生産地につながっている。

2014-12-25 22:48:13

ショウガ。ショウガも歴史が古い。

がんちゃん(💉FFMMFF) @gan_jiro

最後に、ショウガである。ショウガ目ショウガ科ショウガ属とゲシュタルト崩壊を起こしそうな分類となる。古代から熱帯アジアで栽培されていたが、原産地は明らかになっていない。インドなどと考えられている。

2014-12-25 22:48:32
がんちゃん(💉FFMMFF) @gan_jiro

日本への伝来ははっきりしないが、正倉院中の文書に生薑の文字が見られ、和名抄にも薑を「はじかみ」と読むとの記載がある。古事記にも記載がある。わが国の文献ではこのあたりが最も古いが、中国の魏志にも登場し、日本にもショウガがあるが利用されていないとあるようだ。

2014-12-25 22:49:09
がんちゃん(💉FFMMFF) @gan_jiro

焼き魚などの付け合わせによく使われる「はじかみ」はショウガを遮光して軟化栽培し、収穫前から光に当てて赤くなったものを利用する。これを湯通しし、甘酢に漬けて食用に供するのである。

2014-12-25 22:49:35
がんちゃん(💉FFMMFF) @gan_jiro

というわけで、根菜類についてはとりあえずこの辺で。次はアブラナ科の葉物野菜かいも類か・・・。

2014-12-25 22:50:47