中川准教授の ICRP の 記載を ふまえた 100mSv を 中心に 論じることの 問題点は、放射線への 感受性が 大きい 年少者、妊婦 (胎児) への 影響を まったく 見ないように していることでもある。
2014-12-28 15:02:16しかし ICRP が 広島・長崎の 全年齢層の 被ばく者データを もとにして、100mSv 以下では がん全体の 発症に 関して 有意差が ないことに 言及しても、100mSv 以下で 有意差が 出てくる 条件は いくつも ある。
2014-12-28 15:04:451つめは、広島・長崎よりも 数多くの 被ばく者数を 観察することである。 本稿で 示したように、診断放射線や 自然放射線の 研究で 現に なされている。
2014-12-28 15:06:20また、メタ分析と 呼ばれる 系統的な 定量的レビュー分析でも 可能である。 しかし 有意差の 有無のみで 論じられると、メタ分析は ほとんど 不可能になる。
2014-12-28 15:08:18近藤洋逸・好並英司『論理学入門』岩波全書 (1979年) 144ページ 論理学には 他の 学問には 見られない 特色が ある。例えば 自然科学では 自然が 対象であり、それを 研究する 思考とは 全く 別ものである。
2014-12-28 15:12:55ところが 論理学では 研究対象と 研究する はたらきとが 同じ 思考である。 推理 (推論) について 推理 (推論) するのが 論理学であると いっていい。 そこで 論理学に 特有の 疑問が 起こってくる。
2014-12-28 15:15:17推理形式の 妥当性を 示すのに 用いる 手段も 推理形式であると すると、循環論法を しているのではないかという 疑問である。 この 疑問への 回答は 論理と メタ論理との 区別である。
2014-12-28 15:17:42研究対象である 思考のなかに あらわれる 推理を 形式化した 推理形式は 論理に 属するものであり、それについて 思考し 推理するのは メタ論理に 属するから 両者の レベルには 相違があり、循環論法は 起こらないと いうのである。
2014-12-28 15:19:57「p ⊃ q, p ∴ q」という 肯定式が 妥当か 否かを 考察するとしよう。 この 肯定式は 無論、論理に 属するが、その 式が 妥当か 否かを 判断する 推理、例えば 真理値の 方法は メタ論理に 属する。
2014-12-28 15:26:56肯定式 そのものは、p, q が 命題変項であるから、きわめて 抽象的普遍的な 形式であり、p, q に どのような 命題を 代入しても、そこから 生ずる 具体的な 無数の 推理に 共通な 普遍的形式を あらわしている。
2014-12-28 15:30:05ところで その 形式について 論理的に 考察するときは、つまり メタ論理に 立つときは、p や q が 無数の 命題を 代表しうるということは 無視して、具体的な 記号として p や q に 注目し、これに 真理値という 一定の 値、すなわち 0 や 1 を 代入するとき、
2014-12-28 15:33:42結論にある 記号を 0 にし、前提にある 式を 1 にすることが できないことを 示す 特殊で 具体的で、すこぶる 信頼できる 方法を 用いるのである。
2014-12-28 15:42:06論理と メタ論理との 区別によって 論理学的考察の 循環を 避けることができるが、両者の 区別は、前者が 思考の 命題形式や 推理形式を 普遍的なものとして 思考の 中で 使用しているのに 対し、後者は それらを 具体的な 記号の 構成体と 見て、それについて、
2014-12-28 15:45:26信頼できる 具体的な 推理を 用いるところにあり、これによって 抽象的な 命題形式の 恒真や 推理形式の 妥当性を 示しているのである。
2014-12-28 15:48:082つめは、放射線への 感受性が 大きい 集団に 限って 分析することである。 すなわち、年少者や 胎児 (母親の 胎内にて 被ばくして 出生してから がんを 発生する) に 関する 分析を おこなうことである。
2014-12-28 15:51:353つめは、放射線への 感受性の 高い 臓器の がんに 限って 分析することである。 すなわち 白血病 (骨髄)、乳腺、脳腫瘍、甲状腺などが その 例である。
2014-12-28 15:57:40中川准教授の 支離滅裂とも 言える 混乱した 議論は、本人も 理解していないというのが 主な 理由だろうが、科学的検証の 否定に 発展している。
2014-12-28 15:59:10結果的に、日本の 医学者の 科学への 理解の なさと、相手や 場面によって 言葉を 使い分ける 態度が、既存の 放射線防護体制から 現実を 切り離し、福島県内の 放射能汚染の 現状に 合わせることの 正当化に 結びついている。
2014-12-28 16:01:48[A]「100mSv を 超えると 直線的に がん死亡リスクは 上昇しますが、100mSv 以下で、がんが 増えるかどうかは 過去の データからは なんとも 言えません。それでも、安全のため、100mSv 以下でも、直線的に がんが 増えると 仮定しているのが 今の 考え方です」
2014-12-28 23:27:33社会的前提については、環境問題を めぐり 不確実性が 残る 場合には 予防的措置を とることが 日本社会・行政で 共有された 前提で あるにもかかわらず「それでも」という 接続詞を 用いることで、あたかも 特別な 判断であるかのような 印象を 与えることが 問題です。
2014-12-28 20:12:16