【真荒】あなたのいる場所10

弱虫ペダル二次創作 腐向け 真波×荒北
1
ひな@復旧中 @newgibbousmoon

【真荒】あなたのいる場所10 驚きに目を見開いた荒北の表情は、どこか幼げな印象を受けるほどすべてがそぎ落とされていた。 (素の表情だ……) 真波の告白はよほど荒北の虚をついたのだろう。 (たぶん、荒北さんはオレがこんなこと言うなんて思ったこともなかったんだろうな)

2014-12-25 21:45:28
ひな@復旧中 @newgibbousmoon

@newgibbousmoon 真波は、荒北のその表情を見れたことで充分に満足した。 いつもどこか皮肉げな顔しかしていない荒北だったから、そんな表情を見たことがある人間はきっと珍しいだろう。 「あー、念の為に聞くんだけど、その好きってのはどういう好きなわけェ?」

2014-12-25 21:48:34
ひな@復旧中 @newgibbousmoon

@newgibbousmoon 「どういう好きって、好きに種類なんかあります?」 「あんだろ?あー、おまえの場合だと坂が好きだとか、山が好きだとか、昼寝大好きとか……」 「そういうのとは全然違いますよ!えーと、LIKEかLOVEかって言ってるんなら、それはLOVEです」

2014-12-25 21:50:21
ひな@復旧中 @newgibbousmoon

@newgibbousmoon 真波は自信満々に言い放つ。 「……マジで?」 「マジです」 こくんとうなづいた。 「あー、そう。LOVEね、LOVE……おまえが?」 「なんですか、その疑いの眼差し!!」 「いや、おまえにそういう人間らしい感情があるとは……」

2014-12-25 21:54:34
ひな@復旧中 @newgibbousmoon

@newgibbousmoon 「え?荒北さん、オレを何だと思ってるの?」 「不思議ちゃんだろ」 「あー、よくそういいますよね、荒北さん」 「オレは、おめーのことが一番よくわからねーもん」 荒北は軽く首をすくめる。 「でも、荒北さん、オレを敬遠とかしないですよね」

2014-12-25 21:56:36
ひな@復旧中 @newgibbousmoon

@newgibbousmoon 「はぁ?わかんねえからって敬遠とかすんの?」 「んー、クラスメイトには、おまえってわけわかんねーって無視されることとかありますし……まあ、どうでもいいんだけど」 「あー、なるほどね。おまえ、人間関係とか気遣いとかダメそうだよな」 「全然ダメです」

2014-12-25 22:02:02
ひな@復旧中 @newgibbousmoon

@newgibbousmoon 「そこ、胸張るとこじゃないからぁ」 荒北は呆れているような、あるいは、どこか不憫がっているような表情で言う。 「……よくわかんないんですもん」 「わかんないままにしとくと、気持ち悪くねぇ?」 「んー、どうでもいいから気にならないです」

2014-12-25 22:04:12
ひな@復旧中 @newgibbousmoon

@newgibbousmoon 「ああ、それがおまえだよね。うん。わかってた気がする」 おまえの場合、どっちもどっちだよなぁと呟いた。それから、荒北はがしがしと頭をかいて、そして真波に向き直って言った。 「……ありがとねェ。おまえがオレの何に反応したかは全然わからねーんだけど」

2014-12-25 22:08:56
ひな@復旧中 @newgibbousmoon

@newgibbousmoon 「えへへへ……」 (すごい、最終段階クリアだ) 荒北の回答に、真波はふにゃりと笑った。 自分の気持ちを受け取ってもらうこと。それが、今日の最大の目標だった。 それが最初の告白でかなってしまって、今の真波のテンションはだだあがりにあがっていた。

2014-12-25 22:11:46
ひな@復旧中 @newgibbousmoon

@newgibbousmoon (あ、わかった) 真波の心の中でずっと渦巻いていたもやもやするものの正体に真波は気づいた。 (なんだ、オレ、すごい欲張りなんだ) 好きだと伝えれば満足だと思っていたのに、それだけではなかった。 「ねえ、荒北さん!」 「なんだよ」

2014-12-25 22:17:49
ひな@復旧中 @newgibbousmoon

@newgibbousmoon 「オレの恋人になってください」 「……おい」 「だって、好きなだけじゃ足りないって今わかっちゃったんだ」 「……あのね、オレ、受験生だから」 「じゃあ、受験終ってからでいいから」 「なあ、そこでオレに断る選択肢はねえの?」 「断ってもいいけど」

2014-12-25 22:19:48
ひな@復旧中 @newgibbousmoon

@newgibbousmoon けど?と荒北がくりかえす。 「オレ、絶対諦めないし!」 真波ははっきりきっぱり宣言した。 「それ、他の奴の言葉だから」 「……でも、受験の邪魔はしたくないから、受験終るまでは待つから!」 「あー、よろしく」 荒北は、マジでわからん、と頭を押さえる

2014-12-25 22:23:19
ひな@復旧中 @newgibbousmoon

@newgibbousmoon 常識人なところがある荒北には真波というのは理解の外の存在なのだろう。 (でも、いいんだ) 少なくとも、まったく望みがないわけではない。 それがわかっただけでも大収穫だ。 (だって、何とも思ってなかったら、その場で断るもんね)

2014-12-25 22:25:18
ひな@復旧中 @newgibbousmoon

@newgibbousmoon 「じゃあ、それまで予約ってことでお願いしま~す」 「予約?予約って何ぃ?」 荒北は心底困った顔をしている。 (あ、この顔も好きだな) 「予約、忘れないでくださいね」 「あー、わーった。とりあえず、受験終るまではもうこの話はナシ。いいな」

2014-12-25 22:28:34
ひな@復旧中 @newgibbousmoon

@newgibbousmoon 「はーい」 真波は良い子の返事をする。 (あのね、荒北さん。望みあるってわかったから、俺、もう絶対に諦めないからね) 荒北の周囲にいる人間の顔をいくつか思いうかべる。 潜在的なライバルは多かったが、真波は誰にも負けるつもりはなかった。

2014-12-25 22:31:35