彼女のふり　Vol.2

pe-ko @Peko8_m

まさかの彼女と過ごした誕生日から、数日後。どうやら、俺はインフルエンザだったらしく、週明けにようやく仕事復帰。真っ先にお礼を言おうと思って、ちょっと可愛いお菓子とか買ってみたりしてな。そんで、朝、会社に行ったら、彼女インフルエンザで休んでいるらしい。俺、インフル移してもうたかな。

pe-ko @Peko8_m

お見舞いとか行こうかな。きっと、シンドいやろし。そんなことを思いながら、溜まっていた仕事を熟す。ふと、きゃあ♡きゃあ♡言う女性社員の方を見ると目の前には「丸、飯行かへん？」って章ちゃんが立っていて。相変わらずモテるな…とか思ったり「えぇよぉ」時計を見るとお昼の12時を過ぎている。

pe-ko @Peko8_m

「ホンマ？あ、じゃあ、あそこ行こうか」「えぇよ、あ、でも、この時間なら」章ちゃんから、昼メシ一緒にって珍しいな…と何故？と、思いつつ「飯行って決ます」って席を立つ。よく行くご飯屋さんで、日替わり定食を2人で食べながら真剣な顔をして、俺のほうをジッて見てくるから何だか恥ずかしくて、

pe-ko @Peko8_m

「あの子、インフルエンザなんやって？大丈夫かな…」ん？何や章ちゃん？え？「俺もなってたから、わかるんやけど、辛かったわぁ…」「せやろ？やから…さ…うん、見舞いとかさ」ん？ん？え？どうしたん？俺の居ない間に何か2人にあったん？明らかに章ちゃんの様子が何か…おかしい気がするんやけど？

pe-ko @Peko8_m

考えたくないんやけど、もしかして、章ちゃんも、あの子のことが気になるん？「章ちゃん、もしや…あの子のこと好きなん？」「いや、その、好きって言うか気になる…かな？みたいなさ。そんな感じやで」「そ、そうなんや」「…うん」俺の居ない1週間に何があったん？頑張る前にライバル出現ですやん。

pe-ko @Peko8_m

丸の顔を伺いながら「この間…彼女の誕生日に2人で飯に行ってん」「そ、そうなんや」「おん」様子のおかしい丸「それを俺に言う必要あるん？」「んー？何と無くな」「まさかと思うけど飲ませて…お持ち帰りとか…」「もう、三十路やで？それなりに、俺も考えるゎ。そういう子やないやろ」「だよなぁ」

pe-ko @Peko8_m

「何かちゃうやんあの子は」丸もそう思ってるんやないの？と思いながら、また丸の方を見る「そう…？」「今まで付き合った子とは違う感じしてん。せやから、手探り。彼氏とか居らんとは思うけど…さ」「でも、好きな…と言うか気になる奴は居るみたいやで」「なんで、丸が知っとるん？」「えっその…」

pe-ko @Peko8_m

「仲良いん？」って言う章ちゃんからの問いにこの場での正しい答えを探そうとして、どもってたら「まぁ、えぇゎ。わかったから」と言う章ちゃんにフッと笑われた「そろそろ、戻らな昼休み終わってまうな」「せやね…」丸の性格からして、気になってても、俺も気になるとか言われへんの分かってたから、

pe-ko @Peko8_m

あえて、丸にかまをかけてみた。だって、丸がインフルエンザになってから、あの子もインフルエンザになっとるし、そもそも、飲み会の時に俺が楽しそうに彼女と話しとった時の丸の様子。丸が来た時の彼女の反応。まぁ、俺は俺で気楽にやりますゎ。彼女の家の鍵預かってるし。今晩は見舞いに行くかな…。

pe-ko @Peko8_m

「安田さん、インフルエンザなってなければいいけど…」確か、結構デカいプレゼンがあるって言ってたし。大丈夫かな？丸山先輩のお見舞いに行った帰りに、安田さんからのLINEが来た“誕生日おめでとう”時計の針は12:00になったばかり。可愛らしいバナナのスタンプも一緒に送られて来ている。

pe-ko @Peko8_m

そしたら、間髪入れずに“いきなりやけど、今日の仕事終わり…暇？誕生日やんか。先約あるかもやけど、何も予定なかったら、飯行かへん？”とメッセージが入ってきた。今の私が安田さんに興味がない訳はない。気になる相手からの誘いに浮き足立つ。勿論、私の返事は決まっていて。直ぐに“行きます！”

pe-ko @Peko8_m

と返事を送っていた。さっきまで、丸山先輩が心配でお見舞いに行って、丸山先輩の我儘に付き合って、りんご食べさせてあげたり、お粥作ったり、甲斐甲斐しく2時間程看病して、なんかやっぱり気になると言うか、放っておけないと言うか、そんな風に思い直して来てた自分も居たはずなのに、直ぐにまた…

pe-ko @Peko8_m

気になる人からのお誘いに即答で返事して。今まで他の人…見えてなかったからかな…？って思ったりしてるうちに、返事が来て“ホンマに？じゃあ、仕事終わったら、会社入口で”思わずニヤける。よく考えてみたら、お酒が飲めるようになってから、男の人と2人きりで誕生日を祝ってもらうの初めてかも。

pe-ko @Peko8_m

朝起きて、少し熱っぽい気がしたけど、今晩のことを考えたら、無駄にテンション上がってるだけなのかなとか思ったりして。そして、夕飯食べに行って…「この間は俺のことばっかり聞いてもらったから、君の話し聞きたいんやけど」ってニコッて笑われて。お酒とドキドキで熱いような寒いような気がする。

pe-ko @Peko8_m

結局、帰る頃には倒れて「ちょ、待ちぃ…大丈夫か？」ってなって、雰囲気も何もなかったんだよね。本当にさ、私何をやってるんだろう。家まで送って来てもらって…こんなに迷惑掛けたし、嫌われちゃったかな？とか“元気になったら、また飯行こう”ってLINEが着ていて早く元気になりたいと思った。

pe-ko @Peko8_m

とりあえず、仕事終わりに彼女の家の近くまで来てみた。って言っても、近くのコンビニな？LINEで“見舞い行きたいんやけど”って送ったら、既読になっただけ。俺…無視されてる？いきなり行ってもなぁ…って思いながら、雑誌コーナーで立ち読み。そしたら、コンビニに見たことある顔が入ってくる。

pe-ko @Peko8_m

「章ちゃん」「うわっ、びっくりした。あ、そうか。丸の家も近いんやったな」「どうしたん？こんなとこで。章ちゃんの家の辺ちゃうやん？」白々しく聞いてみた「彼女へのお見舞い。なんか食べたいもんある？って聞いたら、ヨーグルトって言うから」あぁ…それで、俺は既読スルー「俺も行ってもえぇ？」

pe-ko @Peko8_m

「いや、大勢で押しかけたらあかんとちゃうの？」確かにそうやと思うけど。ベッドでぐったりと体力なくて寝ているであろう彼女に何かしないか。それが心配で。少なくとも俺は多分、2人きりやったら、我慢出来へんもん「あかんのはわかるんやけど、俺が風邪引いた時に見舞い来てくれてん。せやから…」

pe-ko @Peko8_m

いやいや言うヤスの後ろをついて行く「じゃあ、またな。丸」そう行って彼女の家に鍵を開けて入って行く章ちゃん。ドアを光のような速さで中に入って、閉めて、ガシャンと鍵閉めて「え？何で鍵持ってたん？」もうこの1週間で2人は合鍵交換するような関係になったん？「そんなん、ありえへんやろー！」

pe-ko @Peko8_m

「あ、ありがとうございます」「起きて大丈夫なん？」「3日も寝たらかなり、大丈夫に…移っちゃうかもなので、マスクしてください」でも、フラフラしとる「そう言えば、外騒がしくなかったですか？」「あー…なんか騒いでた奴、居った気がするゎ。それより、まだ熱っぽいやん。早くベッド戻り？な？」

pe-ko @Peko8_m

「ヨッと」身体がフワッと宙に浮く「えっ？玄関からベッドまで、直ぐだし、歩けるから大丈夫です。重いし、降ろして」足をバタつかせる「いーや、フラフラしとるし、触ったらやっぱり熱いんやもん。俺、小さくても力あるからな」うっ…顔の近くでその笑顔は、ヤバい…どうしよう直視できないんだけど。

pe-ko @Peko8_m

「あの安田さんって…」「ん？どした？」「いや、やっぱり何でもないです」誰にでも、こういうこと普通にするんですか？って聞きそうになって、口を閉じる。もしも、私が玄関までフラフラと出てきたら、丸山先輩だったら、ん？丸山先輩だったら？「なぁ、今…誰にでもこういうことすると思ったやろ？」

pe-ko @Peko8_m

そう言われて、ハッとする「そんなことないで…」「いんや、だって、そういう顔しとったもん。はい、ベッド到着」「ありがとぉ…ございます」「俺やって、みんなにみんなこういうことするわけちゃうよ。何を言いたいかわかる？」「えっと…」「まぁ、今日のところはえぇゎ。まだ、君…病人さんやしな」

pe-ko @Peko8_m

「ヨーグルト食べる？」「あ、これ好きなやつ…」「これ、丸が多分、好きだからって言ってて。それで…」「丸山先輩が？」そういえば、これ丸山先輩に持って行ったんだっけ？「丸も心配してたで？早よ治さな。な？」と言って、安田さんに頭を撫でられたドキドキしたけど。やっぱり、何か違う気がする。

pe-ko @Peko8_m

あー、そうか。気がつくと安田さん目の前にしても、丸山先輩のこと考えたり、丸山先輩だったら…って思ったり、安田さんと丸山先輩を比べていたり、これって、やっぱり、私は…丸山先輩が好きなのかも…。ううん、好きなんだ「…あの、安田さん、私…」 pic.twitter.com/7YbwQ6II3m

拡大