ニンジャスレイヤー二次創作【ジャスト・レップウ・ブロウイング】

鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

＼ #4215tk エンタテイメント ／

鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

◇◇◇◇◇◇◇◇ #4215tk

鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

BLAM！…ネオサイタマ、カミオンナ・ストリート。年の瀬の夜に、一発の銃声が鳴り響いた。1 #4215tk

鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

暗視サイバネアイをお持ちでない読者は目を凝らしていただきたい。メインストリートから外れた場所にある寂れたドージョーに、一人の老人が倒れているところを見ることができるだろう。彼の名はノキタ・カンクロウ。このドージョーの師範であり、撃たれた本人だ。2 #4215tk

鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

撃たれた？今、撃たれたと記述されたか？然り。不幸なことに彼のドージョーはハック・アンド・スラッシュの対象となってしまったのだ。新年を迎えるため、近場の住人たちはこぞってメインストリートで騒いでいる。その留守を狙った狡猾な犯行である。3 #4215tk

鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

老齢のノキタには、騒ぎに加わる体力がない。よって自宅も兼ねているドージョーで、遠くに聞こえるエジャナイザの大合唱を聞きながら年越しをしようと考えていたのだ。五人組のハック・アンド・スラッシュチームが踏み込んできたのは、そんな折のことだった。4 #4215tk

鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

老いたりとはいえ、ノキタもイアイドー・ドージョーの師範たる人間。すぐさまカタナを取り、斬りかかってきたスラッシャーの一人を返り討ちにした。しかし彼の想像以上に強盗団は強力だった。なにしろ、スモトリまで加わっていたのだから！5 #4215tk

鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

ノキタは襲い掛かってきたスモトリに立ち向かった。その脂肪によってカタナを封じられたところを、もう一人のスラッシャーに撃たれた。それで終わりだ。響いた銃声も、年越しの騒ぎに紛れ誰かの耳に入ることはない。ネオサイタマではチャメシ・インシデントにすぎない。6 #4215tk

鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

（イアイドー／道半ばで死ぬ／無念なり）ノキタは心中でハイクを詠んだ。スラッシャー一人にスモトリ一人。この歳でよく動けたものだ。（しかし、死とはこうもあっさりやってくるものかよ）彼は自嘲した。そして、そのまま意識を闇の中に沈めようとした。7 #4215tk

鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

その時だ。彼の頬を、風が撫でたのは。8 #4215tk

鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

【ジャスト・レップウ・ブロウイング】9 #4215tk

鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

（（（なんだ？）））ノキタは思わず顔を上げた。目に入った風景は、見慣れたドージョーではなく、どこかの山中のように見えた。彼の前に、いつの間にか人影が立っていた。影はエメラルド色のオーラに包まれていた。その顔を、ノキタは見ることができなかった。10 #4215tk

鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

呆然とするノキタを、影が引き起こした。何故か、彼は立つことができた。そんな体力などないと思っていたのに。影がおもむろに手を合わせ、オジギを繰り出した。（（（ドーモ、はじめまして。カゼ・ニンジャクランです）））ノキタははっきりとその声を聞いた。11 #4215tk

鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

（（（ニンジャ？）））頭に響いたその声に、ノキタは驚く。ニンジャだと？この影が？ニンジャらしき影が、ゆっくりと頭を上げた。（（（今から、俺はお前だ）））（（（…なんだと？）））（（（オハヨ！）））声とともに、激しい影がノキタに吹きかかる！12 #4215tk

鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

（（（グワーッ！？）））まとわりつくようなエメラルド色の風に、ノキタは顔を覆った。風は依然として激しく吹き続ける！ノキタはこれを振り払おうと、気合とともに腕を振るった！「イヤーッ！」13 #4215tk

鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

…「アバーッ！？」悲鳴とともに、ノキタは覚醒した。いつの間にか、周囲は見慣れたドージョーへと戻っていた。彼はいつの間にか己の足で立っていた。そして眼前で、武装していたハッカーが血を吐いて倒れた。その胸に、ぽっかりと大きな穴が空いていた。14 #4215tk

鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

（これは）ノキタは目を見開いた。いつのまにか、右の拳を前に突き出していた。その延長線上に、ハッカーの体があった。（俺がやったのか？）「どうした！」「何事だ！？」ハッカーの悲鳴を聞きつけたか、二人のスラッシャーが戻って来る！15 #4215tk

鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

ノキタを見たスラッシャーの片割れが、ナイフを構え突進！ノキタには、それがスローモーションめいて見えた。彼は落ちていたカタナをとった。スラッシャーに踏み込む！「イヤーッ！」「アバーッ！？」一閃！スラッシャーは腰から切断され死亡！16 #4215tk

鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

「これは！」ノキタは驚愕する。自分にこんな力があるはずもない。何が起こった。先ほどの光景がフラッシュバックする。ニンジャ。まさか。「ウオオーッ！」雄叫び！残った最後のスラッシャーが銃を構える！BLAMBLAMBLAM！17 #4215tk

鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

飛び来る銃弾すら、ゆっくりだった。ノキタは最小限の動きでこれを回避した。そして左の拳で正拳突き！「イヤーッ！」拳から衝撃波が放たれるのを、彼ははっきりと感じ取った。「グワーッ！？」スラッシャーの悲鳴！右肩からケジメ！18 #4215tk

鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

「ハァーッ！ハァーッ！なんだよお前！？なんなんだ！？」混乱したスラッシャーが喚きながら後ずさる。もはや戦えまい。ノキタは知った。己がどうなったかを。「ニンジャだ」彼は静かに告げた。「ニンジャ！？ニンジャナンデ！？」スラッシャーが恐怖で絶叫！19 #4215tk

鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

（何故だろうな）ノキタは心中で呟く。わかるはずもない。代わりに彼は思い出していた。己に力を与えたのであろう、あの激しい風のことを。ノキタは不意にアイサツを繰り出した。「ドーモ、はじめまして。レップウです」これが今の自分の名だ。不思議とそう思えた。20 #4215tk

鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

「アイエエエエエ！？」スラッシャーが背を向け、逃げ出そうとする。レップウは追った。あっさりと追いついた。彼はカタナを振るった。「イヤーッ！」「グワーッ！？」スラッシャーが胴体切断！上半身がくるくると宙を舞う！「イヤーッ！」レップウの追撃！21 #4215tk

鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

「アバーッ！？」ナムアミダブツ！レップウの一撃はスラッシャーの首を切断！三断殺！静かにカタナの血を拭う彼は、周囲を見回した。いくつもの屍体が転がる、ゴアめいた風景。自分がやったのだ。レップウは己の手を見た。エメラルド色のオーラが、微かに見えた。22 #4215tk

鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

「イヤーッ！」レップウは拳を握り、頭上へ振るう！衝撃波が飛ぶ！KRAAAASH！天井が破砕！「イヤーッ！」彼は一飛びで天井に空いた穴から外へと出る！彼ははっきりと感じていた。老いたはずの体に、力が…否、カラテが漲っている事実を。23 #4215tk