【お玉さんの読書マラソン】名探偵図鑑完読作戦 第3部

お玉さんの読書マラソン企画「名探偵図鑑完読作戦」第3部です。今回はサム・スペードから十津川警部、古畑任三郎(映像スルー)、ペリイ・メイスン、三毛猫ホームズ、新宿鮫、ジェイムズ・ボンド、神津恭介が登場。新宿鮫の全冊レビュや007映画ランキング、神津篇の番外編「高木彬光まつり」など読み所たっぷりです。
3
前へ 1 ・・ 25 26 次へ
お玉と毒をくらわば皿まで @ottama709

わたしの熱い高木彬光ステマ活動 「アキカツ」 はじまります♫ フフッヒ♫

2015-02-18 01:24:43
お玉と毒をくらわば皿まで @ottama709

さて、「名探偵図鑑完読作戦」番外編! 大スター高木彬光まつりのトリを飾るのは『誘拐』 客観的に判断してもかなりの傑作だと思いますし、個人的なところで言うと一番好きな高木彬光作品! 百谷泉一郎弁護士(& 妻の明子さん)が繰り広げる誘拐犯人との知能の戦い!

2015-02-18 01:25:27
お玉と毒をくらわば皿まで @ottama709

何度か言ったけどもう一度。 高木彬光作品の犯罪者たちは、基本、誰も彼も頭が良く、犯罪の過程でミスをしたり綻びを作ったりすることはほとんどなかったりします。 なので名探偵側は想像を主とした推理でその特定を行うわけですが、犯人が判明しても物証のないケースがやたら多かったりします

2015-02-18 01:26:12
お玉と毒をくらわば皿まで @ottama709

犯罪に綻びがあったとしても「そんなの分からないよ」レベルの作品が多くて……(今回僕が読んだ中では『霧の罠』や『炎の女』がそれにあたったりします) そして、『誘拐』においても最後の最後まで明確な物証は出なかったりします。 (ネタバレちっくだが、内容を知ってる人はニヤリとしてくれ)

2015-02-18 01:26:49
お玉と毒をくらわば皿まで @ottama709

で、神津さんとかなら想像による推理で犯人を特定した後、即、偽恐喝で容疑者に揺さぶりを掛けたりするのですが……、 この『誘拐』が素晴らしいのは、「とある行動」を捜査の主軸において、想像による推理をなるたけ封印しているところなんよね。未知の犯人と戦っている感が、あまりに強い!

2015-02-18 01:27:20
お玉と毒をくらわば皿まで @ottama709

この「とある行動」は、まさに『白昼の死角』という大傑作をモノにした高木彬光の「らしさが」出まくりな、大胆不敵な内容になっているのよ♫ ミステリとして卑怯なあの手法がこんなに楽しい作品は、後にも先にもこの『誘拐』だけだろう。 百谷泉一郎にアイディアを話す明子さんが怖すぎるけど……

2015-02-18 01:29:25
お玉と毒をくらわば皿まで @ottama709

で、犯人側の用意周到さも楽しい。実際の公判内容を下敷きにした誘拐事件の傍聴に当てられている前半部分。執筆当時はスキャンダラスな側面の楽しみもあっただろう。が、今、冷静に読むと、ここで「誘拐するけど捕まりたくないよ」な印象を見せつつ、「とある思い込み」への思考誘導を誘ってるんよね

2015-02-18 01:29:55
お玉と毒をくらわば皿まで @ottama709

戦史を研究し犯人が誘拐という犯罪を戦争に重ねあわせているのも大好き。 「負けないための戦争を思いっきり頭を捻り想定してしたため、いつの間にか最終目的を見失っている」という皮肉ってばよ。(ネタバレちっくだけど、これも内容を知っている人だけニヤリとしてくれ)

2015-02-18 01:30:37
お玉と毒をくらわば皿まで @ottama709

『誘拐』は高木彬光全身全霊の作品だ。 おそらく実際の裁判を傍聴しに行って、→その内容から「あっ、俺ならこういう風にやるのになぁ〜」という考えが沸き、→同時に犯人へのカウンターとなる作中で百谷夫妻が執り行うあの作戦を思いついた。 こんな流れで着想を得たのではないのかな?

2015-02-18 01:31:06
お玉と毒をくらわば皿まで @ottama709

さぁ、作品の大枠の解説はこんな感じだ。 これ以上は完全にネタバレの領域だからね。かなりネタバレしてるんだけどね、オレにとってはボやかしているレベルだぜ。(一つ下書きを消しました) あと細部の小ネタ拾いとかもねあまりに細部になりすぎるのでね。いやぁ、痔のエピソードとか好きよ。

2015-02-18 01:39:23
お玉と毒をくらわば皿まで @ottama709

さてさて、今回の大スター高木彬光まつりと称して高木彬光作品をいっぱい読んだり、読み返したりしたのです。 そこで思ったのが、それぞれの名探偵がその時代性というものをキチンと背負っていた、ということ。

2015-02-18 01:41:09
お玉と毒をくらわば皿まで @ottama709

神津恭介は、戦前及び終戦直後に主として書かれていた、謎解きを面白さの中心に置いた本格探偵小説のスタイルをきっちり引き続き、マニアックなまでにその構造を突き詰め、ひたすらややこしく、現代の本格大好きっ子が読んでも感心できるトリックたちに相対し活躍していた。

2015-02-18 01:42:13
お玉と毒をくらわば皿まで @ottama709

百谷泉一郎は、神津ものにあった怪奇性を封印し、社会派的作品で取り上げられる時代の問題、その問題をキチンと抽出し提起されている作品群と言える。 『破戒裁判』と『誘拐』のあまりの完成度の高く、他の作品たちが社会問題を文学的課題として置き換えれずボヤけてしまってるのが残念でもあるが

2015-02-18 01:44:14
お玉と毒をくらわば皿まで @ottama709

近松作品は、趣向ミステリの楽しみに満ちている。すでに推理小説界の大家となっている高木彬光の遊びゴコロで満ち溢れている。 主人公は定年間際のおっさんだし、百谷作品と地続きの社会性を帯びているようなイメージもあるけど、推理の観点で作品を切り取ると、意外と若くて軽やかだ。

2015-02-18 01:45:58
お玉と毒をくらわば皿まで @ottama709

霧島作品は、推理小説の大家としてのトップランナーであるということの高木彬光の矜持が感じられる。 「xxxxには負けないぞ」という気負いと攻撃性がヒシヒシと伝わってくる。後半の短編群、『灰の女』『幻の悪魔』での趣向ミステリへのブレがザンネンだ、……xxxxには勝てなかったのかな?

2015-02-18 01:47:23
お玉と毒をくらわば皿まで @ottama709

墨野作品は、一旦は封印した怪奇性への復古宣言の意味合いかな? 謎解きを面白さを中心においた本格探偵小説「おばけやしき」への揺り戻しがいずれあるのでは? 占い師的な予感を感じるんだよね。 東京→七福神→仮面、の流れとか病気を前にした作家としての執念が見られて、すごく好きだ

2015-02-18 01:50:31
お玉と毒をくらわば皿まで @ottama709

大前田作品は……、うーん、よく分からないや? 捕物帳とかの大衆娯楽小説の系統なのかしら? 高木彬光時代小説も読めていないし、やっぱよく分からない。推理小説の「推理」以外、筋運びの部分に楽しみを見出すことへ模索してた、といったところなのかな?

2015-02-18 01:51:14
お玉と毒をくらわば皿まで @ottama709

で、 戦後昭和の推理小説界の国民作家、といえばやっぱ松本清張となってしまうわけなのよ。 推理小説という手法を使用して「戦後の昭和」をその作品の中に封じ込めていたわけで、ホンマ、みんな読んでたし、これからも読まれ続けるんじゃないかなぁ、と思うわけ

2015-02-18 01:53:28
お玉と毒をくらわば皿まで @ottama709

じゃあ、高木彬光はと言うと、 「戦後昭和の推理小説」をその作品群に封じ込め、必死に体現し続けていた作家さん というのが僕の認識。 高木彬光を読むことで、戦後昭和40年、その間の推理小説の流れや変質を読み解くことが出来るんじゃないのかな? と思っている。

2015-02-18 01:55:37
お玉と毒をくらわば皿まで @ottama709

変節しているように見えても実は根っこは子どもっぽいのも高木彬光の魅力だよね。 「全編法廷シーンでやる」 「『眼の壁』はアカン」 「オレが下山事件を解く(解けなかったけど)」 「鉱山!」 「乱歩さん『火刑法廷』は傑作ですよ」 もうリスペクトしかないよ〜( ´ ▽ ` )ノ

2015-02-18 01:58:34
お玉と毒をくらわば皿まで @ottama709

というわけで、本日のアキカツ格言! 【高木彬光は楽しい♫】 もうこれしかないでしょ( ´ ▽ ` )ノ

2015-02-18 01:59:23
お玉と毒をくらわば皿まで @ottama709

そして、大スター高木彬光まつりはおしまいです。 いやぁ、霧島三郎を全作読み返したいし、近松の短編もマラソンしたいし、大前田が不勉強すぎるのでそれも克服したい、というのもあるんですよね。 あと論創社さん、早く少年少女コレクションを……。 これからもアキカツは熱いよ。

2015-02-18 02:00:16
お玉と毒をくらわば皿まで @ottama709

と、というわけで、明日から「名探偵図鑑完読作戦」に戻ります。 次回は、みんな大好き「チャーリー・チャン」( ´ ▽ ` )ノ ……みんな大好きなのか? ではでは pic.twitter.com/jKUXWwm4Xk

2015-02-18 02:01:03
拡大
前へ 1 ・・ 25 26 次へ