古鷹青葉を見守る衣笠さんbot #44

更新四十四回目のまとめです。 サブ島沖海域の決戦、そのクライマックス。
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古鷹青葉を見守る衣笠さんbot改 @dairokusentai

しかし、古鷹ねーさんは動じない!南方棲戦姫が口内に捕らえたのは古鷹ねーさんの首ではなく左肩の黒い連装砲!古鷹ねーさんがアームを操作して連装砲で南方棲戦姫の噛みつきを受け止めたのだ!そして! ドドズン! 0距離砲撃で南方棲戦姫の頭部が吹き飛び、力を失ったその体が沈み始める!

2015-01-08 22:31:04
古鷹青葉を見守る衣笠さんbot改 @dairokusentai

深海棲艦の主力艦隊がタ級二隻編成になってから、南方棲戦姫を撃沈できたのは初めてのこと。輸送ワ級の前後を守るタ級も心なしか呆気にとられているように見えた。その隙を見逃す古鷹ねーさんではない!南方棲戦姫の身体をすり抜け、その背後のワ級に突撃する!慌てて対応しようとするタ級!

2015-01-08 22:39:19
古鷹青葉を見守る衣笠さんbot改 @dairokusentai

進行方向、つまりワ級の右側に位置するタ級にとっては背後になるため、古鷹ねーさんを狙えない!ワ級の左側のタ級が主砲を古鷹ねーさんに向けようとする!その瞬間、私は自分のやるべきことがわかった!古鷹ねーさんはやらせない!私はそのタ級に狙いを定め、猛烈な射撃を開始した!

2015-01-08 22:45:56
古鷹青葉を見守る衣笠さんbot改 @dairokusentai

私が装備しているのは、ドイツの重巡プリンツ・オイゲンから借り受けたSKC34 20.3cm連装砲及びFuMO25 レーダー!砲弾の嵐に見舞われタ級が怯む!その主砲を古鷹ねーさんに向けさせまいと押し返すかのごとく、私は砲撃を続ける!普段の砲撃に比べ遥かに多くの砲弾がタ級に命中する!

2015-01-08 22:54:04
古鷹青葉を見守る衣笠さんbot改 @dairokusentai

なぜこんなことが可能なのか、敵艦は不可解に感じていることだろう。砲撃戦は敵味方共に動いている上、波による揺動、風向き、気温、気圧、果ては地球の自転とありとあらゆる要素が影響するため、高いと言われる私たちでも15%程度の命中率だった。ならば、その要素の一つをつぶしてしまえばいい!

2015-01-08 23:05:04
古鷹青葉を見守る衣笠さんbot改 @dairokusentai

砲撃に影響する要素の中で自らの意志でコントロールできるのは自分の動きのみ。そう、私は転舵して青葉と別れた後、その場に立ち止って砲撃を行っているのだ!タ級は動いているけれど止まっている私には普段より遥かに狙いやすい!ましてや遠距離砲撃にかけては第六戦隊の中で私の右に出る者はいない!

2015-01-08 23:12:13
古鷹青葉を見守る衣笠さんbot改 @dairokusentai

15.5cm砲の徹甲弾で戦艦を廃艦に追いやる場合、砲弾を70発も叩き込まねばならないとされる。それほど戦艦の装甲は厚いのだ。ならばそれだけの砲撃を振る舞ってあげようじゃないの!戦艦だろうと戦姫だろうと知ったことか。私たちの未来を遮るものは全て叩き潰してみせる!要るだけの火を以て!

2015-01-08 23:16:26
古鷹青葉を見守る衣笠さんbot改 @dairokusentai

私の砲撃にさらされ続けるタ級がみるみるうちに損傷し、ゆっくりと沈み始める!けれど、砲撃の手は緩めない!古鷹ねーさんはやらせない、徹底的に叩き潰す!動かない私を狙うもう一隻のタ級の砲撃!初弾が私の前後に落ちる!夾叉されている、間もなく命中弾をもらうだろう。それでもなお撃ち続ける!

2015-01-08 23:24:02
古鷹青葉を見守る衣笠さんbot改 @dairokusentai

私の撃った砲弾が弾薬庫に引火したか、誘爆を起こしてタ級が大破、轟沈する!しかし、それと同時に放たれたもう一隻のタ級の16inch三連装砲の巨弾!それを認めた瞬間私は「これは命中するな」と他人事のように思った。今から機関を動かし回避に移る余裕はない。私はその砲弾に目を据えた。

2015-01-08 23:31:00
古鷹青葉を見守る衣笠さんbot改 @dairokusentai

その時!風のように走り、左から私に迫る者あり!それは私の腰に飛びつくようにぶつかり、両腕で私の背中と膝の裏を持ち上げて私ごと走り抜ける!一瞬遅れてその場に水柱が上がる!タ級の砲弾から私を救ったのは、私と一緒に左に転舵した加古!私が立ち止まったのを認めて弧を描いて駆け戻ったのだ!

2015-01-08 23:41:19
古鷹青葉を見守る衣笠さんbot改 @dairokusentai

「加古!あんたサイコーよ!」 加古の腕の中で笑う。加古は前を向いたまま走り続ける! 「無茶しやがって!あたしが来なかったらどうするつもりだったんだよ!」 「信じてた!」 私は加古の頭に手を回してその頬に唇を寄せた。なぜそんなことをしたのかはわからない。とにかくしたくなったのよ!

2015-01-08 23:48:03
古鷹青葉を見守る衣笠さんbot改 @dairokusentai

一瞬動きを止めた加古に手持ちの連装砲の一つを渡し、その腕から滑り降りる!敵艦隊に目を向けると、今まさに古鷹ねーさんがワ級の眼前に迫るところだった!ワ級のなけなしの砲を動員した一斉砲撃を上に跳んでかわす!そして宙でくるりと一回転!ワ級の丸い胴体の上に着地する!

2015-01-08 23:55:54
古鷹青葉を見守る衣笠さんbot改 @dairokusentai

古鷹ねーさんがワ級の首に左腕を回し、逃げるのを許さない!左肩の連装砲のアームが伸びワ級の頭部に、右腕の連装砲がタ級の人間部分の胴体に背後からそれぞれ密着!輸送ワ級を狙い続けた長い戦いがついに終わりを告げる! ドドドドオオン! 大気を揺らす轟音、目もくらむ閃光、ワ級を飲み込む爆炎!

2015-01-09 00:03:41
古鷹青葉を見守る衣笠さんbot改 @dairokusentai

その時、微かな振動と共に海域のどこかで何かが崩れるような感覚があった。この感じはこれまでにも経験したことがある。深海棲艦の海域を突破し、次の海域が解放された時の感覚だ!思わずガッツポーズをしそうになるけれど、まだ敵は残っている。ワ級を撃沈した古鷹ねーさんを狙うもう一隻のタ級!

2015-01-09 00:09:02
古鷹青葉を見守る衣笠さんbot改 @dairokusentai

守るべきワ級を沈められたタ級が、怒り狂った砲撃を古鷹ねーさんに叩きこもうとする!敵艦隊の中に飛び込んだ古鷹ねーさんは身を翻してタ級んも進行方向と逆にジグザグに走り去ろうとするけれど、あまりにも距離が近すぎる!それを見て、私たち三隻は視線も交わさないままに全く同じ行動を取った!

2015-01-09 00:14:58
古鷹青葉を見守る衣笠さんbot改 @dairokusentai

青葉、加古、私の順で単縦陣を組み、主砲を構えてタ級と同航戦に入る!そして、青葉がタ級に探照灯を照射した!暗闇の中に浮き上がるタ級の姿!三隻で一斉に砲撃を叩きこむ!まばゆい光と周囲に次々に着弾する砲弾にたじろぎながらも、タ級が16inch三連装砲を青葉に向ける!

2015-01-09 00:26:12
古鷹青葉を見守る衣笠さんbot改 @dairokusentai

その瞬間、青葉が探照灯を消した!目標を見失って砲撃を放てないタ級!しかも、その直後に別の探照灯照射を受ける!青葉に代わって探照灯を照射したのは青葉のすぐ後に続く加古!タ級が照準を加古に合わせようとする!さらに加古に代わって私が探照灯を灯す!その間にも砲撃は途切れなく続ける!

2015-01-09 00:32:27
古鷹青葉を見守る衣笠さんbot改 @dairokusentai

合図一つなしに、私たちは代わる代わる探照灯でタ級を照らした。夜戦で探照灯を照射する艦は敵艦からも目立つため、砲撃の的になりやすい。だからこうして次々に照射を担当する艦を入れ替える!私たちは、青葉の指揮のもとなら信号一つなしに連携して戦えるのだ!爆炎を上げてタ級が轟沈する!

2015-01-09 00:36:47
古鷹青葉を見守る衣笠さんbot改 @dairokusentai

隊列の最後尾に古鷹ねーさんが合流しつつある。これで敵艦隊の水上艦はすべて沈めた!ワ級を沈めて次の海域の解放条件はクリアしているのでこれで撤退しても構わない。最後に残った潜水ヨ級を深追いする必要は―― 「古鷹ッ!」 叢雲の警告!私たちに合流しようとしていた古鷹ねーさんに迫る雷跡!

2015-01-09 00:42:23
古鷹青葉を見守る衣笠さんbot改 @dairokusentai

叢雲の警告を受けて古鷹ねーさんが転舵、危ういところで敵潜の魚雷を回避する!叢雲たちは私たちが砲戦を交わしている間も敵潜のスクリュー音を聞き取り、警戒に当たっていたのだ。 「許さない……ッ!そこを動くんじゃないわよッ!?」 魚雷が走って来た方向に向け叢雲が走り出す!

2015-01-09 00:46:59
古鷹青葉を見守る衣笠さんbot改 @dairokusentai

「叢雲!深追いは――」 「見逃したら、撤退中またいつ狙われるかわからないわよ!?ここで沈めてやるッ!」 私の声に耳も貸さず、叢雲が走る!けれど、潜水艦は雷跡で撃って来た方向が露見するため、魚雷を放ったらすぐにその場を離れるのが常道だ。なのに叢雲は魚雷が来た方向にひた走る!

2015-01-09 00:52:51
古鷹青葉を見守る衣笠さんbot改 @dairokusentai

「一度ならず二度までも古鷹をッ!沈みなさいッ!」 歯を剥き出した叢雲が両手に握った無数の爆雷を投射する!主砲や魚雷を置き、三式水中探針儀や爆雷を積めるだけ積んで決戦に臨んだ叢雲。冷静なら、その探知能力でその場所に敵潜がいないことはわかったはず。完全に頭に血が上っている!

2015-01-09 00:58:57
古鷹青葉を見守る衣笠さんbot改 @dairokusentai

海面に着水し、沈んでいく爆雷!それを睨みつけるように見つめ、調定深度に達するのを待つ叢雲!ああ、ああ、だけれど!私は思わず両手で口を覆った。叢雲の真横、死角になった方向から、再びの雷跡!やはり敵潜は位置を移動していたのだ!白い航跡を引いて、四本の魚雷が叢雲に迫る!

2015-01-09 01:05:30