2014年12月1日

古鷹青葉を見守る衣笠さんbot #36

更新三十六回目のまとめです。 サブ島沖海域への出撃、決着。
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古鷹青葉を見守る衣笠さんbot改 @dairokusentai

あれから時々「重巡洋艦衣笠」の最後の記憶を夢に見る。艦橋に急降下爆撃の直撃を食らい沈没間近な中、見上げた青い空に浮かんでいた二つの白い雲。まるで古鷹ねーさんと加古が私を迎えに来たかのように思えて、悲しいと同時に少し可笑しくもあった。二人にとって私はまだそんな子供なのかと――

2014-11-30 22:15:07
古鷹青葉を見守る衣笠さんbot改 @dairokusentai

急に意識が覚醒し、海面上で横たわっていた私は飛び起きた。目の前が暗くなり、足元がおぼつかなくなる。力なく海面にへたり込んでしまうけれど、足回りの艤装にダメージはなく、浮力は確保できている。ただの立ちくらみだと自分に喝を入れようとすると、視界の右半分が赤く染まった。出血している。

2014-11-30 22:21:02
古鷹青葉を見守る衣笠さんbot改 @dairokusentai

右目をこすって血を拭おうとするとがしゃりと音を立てて右手に握っていた連装砲が崩れ落ちた。南方棲戦姫の砲弾が避けられないと分かった瞬間、私は無意識に右手の連装砲で頭をかばっていたようだ。崩れ落ちた連装砲から妖精さんが次々に私の体の艤装に避難してくる。その時、視界の端で何かが動いた。

2014-11-30 22:27:15
古鷹青葉を見守る衣笠さんbot改 @dairokusentai

目を凝らしてみると、それは倒れ伏した私の方に駆け戻ろうと転舵している古鷹ねーさんの姿だった。青葉、加古、私、古鷹ねーさんの順で単縦陣を組んでいた艦隊は、私が被弾して落伍した間に随分先に進んでしまっていた。大破した私を放ってはおけない。古鷹ねーさんはそう判断したのだろう。

2014-11-30 22:31:42
古鷹青葉を見守る衣笠さんbot改 @dairokusentai

けれど、今は私に構っている暇はないはず。青葉たちのはるか前方に、夜の方向へ逃げるワ級、南方棲戦姫、タ級の姿も見えた。敵艦隊を追撃し、夜戦で海底に叩きこむ!それが今私たちがやるべきことのはず。 「私は大丈夫!行って!古鷹ねーさん!」 私は声を振り絞って古鷹ねーさんに叫んだ。

2014-11-30 22:38:42
古鷹青葉を見守る衣笠さんbot改 @dairokusentai

海面に大きく弧を描いて回頭していた古鷹ねーさんが反応した。回頭をやめ、舵を面舵に戻す。それを見て、同じく私のもとに戻ろうとしていたらしい加古も元の航路に戻った。まったく過保護なねーさんたちなんだから! 「加古も追撃して!敵を逃しちゃだめ!」 「おう!」 加古が右手を上げて応じる!

2014-11-30 22:44:56
古鷹青葉を見守る衣笠さんbot改 @dairokusentai

青葉、加古、古鷹ねーさんが砲撃を再開し、敵艦隊を夜の方向へ追い込んでいく。嬉しかったのは、青葉が一度も振り返らなかったことだ。味方が被弾したのを見て、また青葉が戦えなくなってしまったら、というのが私の一番の懸念だった。けれど、青葉は振り返らなかった。やるべきことを見失わなかった!

2014-11-30 22:49:08
古鷹青葉を見守る衣笠さんbot改 @dairokusentai

私もいつまでも座り込んではいられない。大破して火力は大きく失われているけれど、追撃戦に火力は一門でも多く欲しいし、敵地に置き去りにされるのもごめんだ。足に力を込めてどうにか立ち上がる。よし、体は動く。出血は頭だけ、この程度すぐに止まる。けれど、走りだそうとした足から力が抜ける。

2014-11-30 22:56:16
古鷹青葉を見守る衣笠さんbot改 @dairokusentai

思わず再び海面に倒れこみそうな私の体を、誰かが支えた。私の右肩の下に体を入れて支えてくれたのは、叢雲だった。その鋭い眼光が私を叱咤する。 「しっかりしなさい、衣笠!青葉が戦っているのに、あんたがここで寝ているわけにはいかないでしょ!」 「わかってるわよ!」 叢雲に力強く頷き返す!

2014-11-30 23:00:51
古鷹青葉を見守る衣笠さんbot改 @dairokusentai

「衣笠さん、大丈夫ですか!?」 左腕を引っ張ってくれたのは吹雪だ。 「当たり前よ!それより、潜水艦は!?」 「沈めたわ。背中の心配はいらないわよ!」 叢雲の答えを聞いて再び私は頷いた。小さな駆逐艦二人に元気づけられ、足に力が戻る。もう大丈夫と叢雲の肩を離れ、自らの足で走り出す!

2014-11-30 23:08:15
古鷹青葉を見守る衣笠さんbot改 @dairokusentai

足回りに損傷がないのは幸いだった。敵艦隊は夜の帳が降りている海域に達して暗闇の中に紛れ込もうとしているけれど、之字運動をとって青葉たちの砲撃を回避しているため、その進みは決して速くない。真っ直ぐ追いかければすぐに追いつける。 「行くわよ!」 航走ではなく海面を駆けて追撃に移る!

2014-11-30 23:14:35
古鷹青葉を見守る衣笠さんbot改 @dairokusentai

青葉たちに合流した時、すでに敵艦隊との距離はかなり近づいていた。けれど、南方棲戦姫がその大きな艤装で覆い隠しているため、単縦陣をとる敵艦隊の先頭にいるワ級に砲撃が届かない。このままではらちがあかない。一番火力の低い私が囮になってでもと考えていると、青葉が無線で指示を飛ばしてきた。

2014-11-30 23:19:42
古鷹青葉を見守る衣笠さんbot改 @dairokusentai

その指示を聞いた吹雪と叢雲が、私たちの艦隊の左右にそれぞれ飛び出し、魚雷発射管を構える! 「放てッ!」 バシュバシュバシュ! 青葉の指示と同時に吹雪と叢雲が残った魚雷を一直線に射出する!魚雷は私たちの左右を挟み込むような形で次々に追い抜いていき、敵艦隊に迫る!

2014-11-30 23:27:04
古鷹青葉を見守る衣笠さんbot改 @dairokusentai

敵艦隊の最後尾にいたタ級が魚雷の雷跡を認めて狼狽えたように見えた。けれど、それも一瞬のことだった。なぜなら、吹雪と叢雲が放った魚雷は私たちの艦隊と同じく敵艦隊の両脇をも平行に駆け抜けていく針路をとっていたからだ。つまり、敵艦隊は回避行動を取らず直進していれば被雷することはない。

2014-11-30 23:31:58
古鷹青葉を見守る衣笠さんbot改 @dairokusentai

吹雪と叢雲が雷撃をミスしたのか?断じて否!二人の雷撃は青葉の注文通りだった。青葉の狙いはこの後にあった! 「照明弾、放てッ!」 ドウンドドウン! 照明弾の眩い光が敵艦隊の影を夜の海に浮かび上がらせる。同時に、私たちの目論見も敵艦隊の目に映ったことだろう。けれど気づいてももう遅い!

2014-11-30 23:39:21
古鷹青葉を見守る衣笠さんbot改 @dairokusentai

古鷹ねーさんがタ級の背に向かって猛然と砲撃を開始する!さっきまで之字運動を取って砲弾を回避しようとしていたタ級が、なすすべもなく砲弾をその身に受け艤装から火を噴き上げて艦隊から落伍する!何故タ級は回避しようとしなかったのか?それは砲撃と同時に魚雷がその左右を駆け抜けていたからだ!

2014-11-30 23:44:24
古鷹青葉を見守る衣笠さんbot改 @dairokusentai

吹雪と叢雲の放った魚雷は、敵艦に命中させるためのものではなかった。敵艦の左右を挟み込み、味方の砲撃を回避する余地を無くさせる為のものだったのだ!被雷を恐れて砲撃を食らい轟沈したタ級を見て、南方棲戦姫が慌てて体をひねって反撃しようとする。けれどその大きな艤装の懐に加古がもぐりこむ!

2014-11-30 23:49:03
古鷹青葉を見守る衣笠さんbot改 @dairokusentai

南方棲戦姫が気付いた時にはもう遅い!加古の砲撃が南方棲戦姫の左足の艤装を打ち砕く!バランスを失って航路を外れる南方棲戦姫に、次々と魚雷が殺到する! ズドドドオオオン! 轟音と共に天まで届かんばかりの高い水柱が何本も上がり、南方棲戦姫が轟沈!これで敵艦隊旗艦のワ級は丸裸だ!

2014-11-30 23:55:43
古鷹青葉を見守る衣笠さんbot改 @dairokusentai

吹雪と叢雲が放った魚雷のうち命中しなかったものはすでにワ級を追い抜いてしまっているから、ワ級には回避行動の制限はない。けれど、そんなことは青葉にとって何の問題にもならない! 「行きなさい、青葉!」 バシュバシュバシュ! ワ級の斜め後方に位置した青葉が、私の声と同時に雷撃を放つ!

2014-12-01 00:01:21
古鷹青葉を見守る衣笠さんbot改 @dairokusentai

左斜め後方から真っ直ぐ迫る魚雷を回避しようと、ワ級が左に転舵しようとする。けれど、その目の前の海面に青葉が連続して砲弾を撃ち込み、その足を止める!青葉の砲雷撃混合カットイン攻撃だ!目の前を水柱でふさがれ立ちすくんだワ級に、青葉の魚雷が叩きこまれる! ドドドドオオオオオンン……!

2014-12-01 00:08:43
古鷹青葉を見守る衣笠さんbot改 @dairokusentai

大破して艤装はボロボロだけれど、鎮守府へ帰投する途上の私の気分は上々だった。現在発見されている海域の中でも屈指の難易度と噂され、その上過去に古鷹ねーさんが沈んだ海域とよく似ているとあって、今回のサブ島沖海域への出撃には大きなプレッシャーを感じていた。けれど蓋を開けてみればどうだ。

2014-12-01 00:16:51
古鷹青葉を見守る衣笠さんbot改 @dairokusentai

南方棲戦姫も、戦艦タ級も、潜水艦も物の数ではなかった。提督が現状望み得る最高レベルの装備を用意してくれたことに加え、私たち自身も神通さんたちの訓練のおかげで十分以上の力をつけている。油断から私が大破してしまったけれど、次回以降の出撃ではもうこんなことはないはずだ。

2014-12-01 00:21:29
古鷹青葉を見守る衣笠さんbot改 @dairokusentai

「衣笠、怪我は大丈夫?帰投したらすぐ修復してもらおうね」 私の後ろから古鷹ねーさんが心配そうな声をかけてくる。私は古鷹ねーさんを振り返って明るい声で言った。 「へーきへーき!ちょっとびっくりしただけよ!それより、戦力になれなくてごめんなさい。次からもうこんなことないから!」

2014-12-01 00:28:33
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