色紙芝居 ~紙男のツイノベまとめ~

わたくし紙男(@paperman104)が発信しているツイッターノベル(#twnovel)のまとめです。作品数は19年8月現在で2000以上。ちょっと不思議なストーリーのものが多いです。日々のちょっとした合間にどうぞお楽しみください(#^^#)
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紙男 @paperman104

#twnovel 殺人鬼が殺し屋に殺された。死の間際、殺人鬼は殺し屋に尋ねた。「俺とお前は何が違う」「殺される覚悟があるかどうかだ」数日後、殺し屋の元に殺人鬼が化けて出た。殺人鬼の霊は言う。「殺される覚悟はもうできているか」「無論だ。お前も当然できているな」殺し屋は殺人鬼の霊を除霊した。

2020-09-18 15:41:27
紙男 @paperman104

#twnovel 紙が世界をお造りになられた。紙はまず、無限に長い一本の線を引かれた。これにより天と地が創造された。次に地にもう一本線をお引きなり、それは海になった。さらに天に太陽と月をお書きになり、世界に時間が創造された。そして最後に「光りよあれ」と唱えられ、世界に色と影ができた。

2020-09-17 16:03:12
紙男 @paperman104

#twnovel 夢を作るのが仕事です。楽しい夢も怖い夢も不思議な夢も、きっと誰かの役に立つと信じて作ります。夢を見るのが仕事です。たとえどんな内容でも、悪夢のような現実と比べたら遥かに楽しいです。夢を食べるのが仕事です。恐ろしい悪夢も辛い現実も私が食べちゃえばいくらかマシになるので。

2020-09-16 16:13:15
紙男 @paperman104

#twnovel 私は鏡の精。長い間、汚れと埃にまみれていた私を綺麗に磨いてくださり、本当にありがとうございます。そのお礼として、私の3つの願いを叶えてください。――え、なぜ私があなたの願いを叶えるのですか。よく考えてみてください。私は鏡の精ですよ。鏡に映っているのはいったい誰ですか?

2020-09-14 15:54:35
紙男 @paperman104

#twnovel 目の前から“幸せ”が歩いてきた。けれど“幸せ”は私の前を通りすぎて、他人のものになってしまった。そしていつまで待っていても私の元にやってこなかった。私は“幸せ”を捕まえようと手を伸ばしたが、“幸せ”はスルリと私の手の中をすり抜けてしまった。結局、私は手にすることができなかった。

2020-09-12 16:56:50
紙男 @paperman104

#twnovel こちらがご注文の品です。「こんなに?多過ぎではありませんか?」遅効性のものですので。一食に一個、それを一週間程度ご使用ください。「あなたもズル賢い商売をなさるのね」お代金は所定の口座にお振込みください。「わかっているわ。――ではご機嫌よう、白雪姫」ご機嫌よう、シンデレラ。

2020-09-11 15:55:07
紙男 @paperman104

#twnovel 私はその日、録り溜めていたドラマを見ながら、酒のつまみの落花生を食べていた。すると突然、近くで赤ん坊の泣き声が聞こえてきた。見れば、落花生の殻の中に二人の赤ちゃんがいるではないか!この二人は私が育てるのだと直感でわかった。桃から生まれた私を祖父母が育ててくれたように。

2020-09-10 16:19:52
紙男 @paperman104

#twnovel 彼女が頭にタコを被っていた。最先端の流行なのかと思いきや生きたタコだった。「Kも被ろ。幸せな気持ちになれるよ」かく言う彼女は、確かに多幸感に満ちた表情をしていた。だがタコの目が怪しく光っていたので遠慮した。道行く人の中にもタコを被る者がいた。皆、病的なほどに幸せそうだ。

2020-09-09 15:58:22
紙男 @paperman104

#twnovel 最近、時間の経過が恐ろしく早い気がする。瞬きをしている間に、私の予想以上に進んでいるのだ。唯一、先日骨董市で買った腕時計だけが、私の感覚と合っていた。 最近、妻がマイペースすぎて困る。ちょうど骨董市に行った頃からだ。文字盤に亀が描かれたあの腕時計がそうさせているのか?

2020-09-07 16:05:16
紙男 @paperman104

#twnovel 「ちょっと通ります」女子高生が目の前を通過した。「ちょっと通るよ」黒猫が目の前を通過した。「ちょっと通りますね」大福に脚が生えたような生物が目の前を通過した。「ちょっと通るぜ」怪盗があっという間に目の前を通過した。「ちょっと通ります」雨雲がゆっくりと頭上を通過した。

2020-09-06 16:05:15
紙男 @paperman104

#twnovel ポリポリ。ポリポリ。一組の男女が棒状の焼き菓子を両端から食べ進めている。ただし、それは一般的な棒状菓子の約百倍、14mの長さがある。ポリポリポリ!ポリポリポリ!男女はやがて菓子を食べ終えた。男が食べたのは6.4m、対して女は7.6m。よってこの夫婦の主導権は嫁が握ることになった。

2020-09-04 16:05:21
紙男 @paperman104

#twnovel Mさんは赤い風船を持っている。対する僕は青い風船を持っている。Mさんの風船は宙にプカプカ浮いている。僕の風船は地面をゴロゴロ転がっている。Mさんの風船は幸せそうなMさんが膨らませたから軽くて柔らかい。僕の風船は不幸な僕が膨らませたから重くて固い。恨めしいくらいに羨ましい。

2020-09-03 16:56:51
紙男 @paperman104

#twnovel 家を出る時、母は私に“月見箱”を持たせてくれた。「向こうじゃ月は見えないから」と。初めこそ私は、毎晩泣きながら箱の中の月を眺めていた。でも最近は久しく開けていない。仕事を通じて、狭い世界ばかり見ていては駄目だと気づかされたからだ。カーテンを開ける。青く美しい地球が見えた。

2020-09-02 15:55:58
紙男 @paperman104

#twnovel 星の綺麗な夜は空から美少女が降ってくる。彼女たちを保護する度、僕の胸は最高にときめく。でも同時にイケメンも降ってくる。可哀想だから彼らも保護するが、全員美少女たちと出会った瞬間にいい雰囲気になって、程なく二人で去っていく。僕のフィアンセや親友はいつになったら現れるのか。

2020-09-01 16:30:26
紙男 @paperman104

#twnovel 「君、今日は何月何日だい?」8月31日ですけど。「そうか…ありがとう」おじさんは悲しそうな顔をして去っていった。僕は去年もおととしもあのおじさんに同じ質問をされた。噂では、あの人は夏休みの宿題を終わらせなかったせいで、延々と8月31日を生きているらしい。宿題って怖いな。

2020-08-31 15:45:40
紙男 @paperman104

#twnovel その昔“目の民”と呼ばれる部族がいた。彼らの特徴は二つ。一日三十時間寝ることと額に第三の目を持つことだ。その目で未来を見ていたとか睡眠中周囲を警戒していたとか様々な説がある。謎が多い部族だが絶滅した理由は判明している。寝相が悪すぎて高いベッドから落下し、首を折ったのだ。

2020-08-30 15:58:52
紙男 @paperman104

#twnovel Aは呼び鈴を押した。たちどころに走り出す。住人が出てきた頃にはそこには誰もいない。住人が苛立つ様子をAは物陰から見て笑った。 Bは呼び鈴を押した。たちどころに走り出す。が、途端に地面がパカッと開き、落下した。間もなく住人がやって来て、悔しがるBをニヤニヤと見下ろした。

2020-08-27 15:52:34
紙男 @paperman104

#twnovel 少年の前に突如怪物が現れた。真っ赤な球体が数珠つなぎになっており、そのひとつひとつに目玉がついている。だが不思議と少年は恐怖心を抱かなかった。『イノチ…カガヤク…ジユウニ…カガヤク…』怪物の言葉を聞き、少年はアザだらけの手を伸ばした。間もなく怪物の球がひとつ増えた。

2020-08-26 16:19:17
紙男 @paperman104

#twnovel 私の部屋からは、海の上空に浮かぶ巨大イチゴの姿がよく見える。その上に行けば真実の愛を見つけられると、もっぱらの噂だ。「君はそういうの信じなさそうだね」あなたはそう言って笑った。確かに信じなていない。元より真実の愛なんていらない。偽りの愛だっていい。私は所詮愛人だから。

2020-08-25 15:58:39
紙男 @paperman104

#twnovel 近所にできたかき氷屋は連日の長蛇の列。友人の話では、店員がみな驚くほど美人らしい。今日はその彼と店に行くはずだったのだが、彼は数日前から行方不明になっている。最近、周囲で似たような事件が頻発している。物騒な世の中だと思いつつも、美人な店員を眺めながらかき氷に舌鼓を打つ。

2020-08-24 16:17:36
紙男 @paperman104

#twnovel 線香花火を手にするスーツ姿の人々。みな真剣に花火を見つめている。火花は小さいが雫は大きいもの、七色の火花を散らすもの、間もなく雫が落ちたもの…千差万別だ。やがて全員の花火が終わった。面接官の合図で就活生たちは退出した。後日彼らのもとに“選考花火”による選考結果が届く。

2020-08-23 16:03:34
紙男 @paperman104

#twnovel 帰宅すると母がソファで寝ていた。そして白髪を一本見つけてしまった。「白髪は抜くと増えるのよ」母の言葉が頭を過る。すると無性に真偽を確かめたくなってきた。コッソリと母に近づき、素早く白髪を抜いた。結果的に白髪は増えなかった。「「こらK、宿題しなさい」」代わりに母が増えた。

2020-08-21 16:00:12
紙男 @paperman104

#twnovel 私の町は雨ではなく虹が降る。虹なので降っても濡れることはないが、浴びたものは漏れなく虹色に染まる。すなわち町は一面の“虹景色”となるのだ。虹景色が見られるのは雲が晴れるまでのわずかな時間だけ。その幻想的な光景に魅せられて移住する写真家は数知れず、私の両親も例外ではない。

2020-08-20 16:06:27
紙男 @paperman104

#twnovel 世間には星の数ほどの育児法や子育て本があります。ですがそれらは専ら役に立ちません。何故なら親も子も環境も千差万別だからです。しかし本書は違います。その理由は、全内容が私の育児の失敗談だからです。ここに告白します。私は我が子を憎むあまり、桃の中に閉じ込め川に捨てました。

2020-08-17 15:50:59
紙男 @paperman104

#twnovel 少女Kはとても貧乏でしたが、とても表情が豊かだった。そんなKに商人が怪しい話を持ちかけてきた。「貴女の感情を私にお売り頂けませんか。お金に糸目はつけません」彼女は全ての感情を売り、大枚を手にした。生活は劇的に豊かになり、彼女は幸せに暮らしたが、その生活は常に無表情だった。

2020-08-16 16:25:13
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