松井和翠(@WasuiMatui2014)氏による【私的ミステリ短編オールタイム・ベスト200】(第二夜)
第二夜のはじまり
カウントダウン開始
100位~81位
100位 「蜃気楼島の情熱」横溝正史 『人面瘡』所収 ・トリックは海外某巨匠からの拝借だが、演出の巧みさで不満感を抱かせない。無情なラストシーンが忘れ難い佳作。
2015-01-12 21:07:4099位 「叫べ、沈黙よ」フレドリック・ブラウン 『まっ白な嘘』所収 ・「聞く人の誰もいない森の奥で木が倒れたら、それは無音であるか」という問から、不穏な結末へ。ブラウンの短編代表作の声高し。
2015-01-12 21:10:0598位 「親愛なるエス君へ」連城三紀彦 『連城三紀彦レジェンド』所収 ・連城作品中最も奇矯なアイディアを誇る怪作。実は、海外の短編に2例ほど類似例がある(無論作品評価には何の影響もないが)。
2015-01-12 21:12:5997位 「サボテンの花」宮部みゆき 『我らが隣人の犯罪』所収 ・多言無用、“日常の謎”の代表選手。いくつか気になる点もあるが、作品の根幹を揺るがすものではない。
2015-01-12 21:15:0696位 「天狗起し」都筑道夫 『血みどろ砂絵/くらやみ砂絵』所収 ・『なめくじ長屋捕物さわぎ』の代表作品。アクロバットな解決は、さながら天狗の宙返りを見るよう。
2015-01-12 21:17:2895位 「夜、あおむけにされて」フリオ・コルタサル 『悪魔の涎・追い求める男 他八篇』所収 ・精巧なトロンプ・ルイュを視るような、ラテンアメリカ文学の大きな収穫の一つ。
2015-01-12 21:20:1394位 「お初さんの逮夜」戸板康二 『目黒の狂女』所収 ・泣ける話。だが、ただの人情譚に堕さないのは、作者の教養があってこそか。
2015-01-12 21:21:2093位 「エッジウェア通り」グレアム・グリーン 『二十一の短篇』所収 ・ラストの語り手の叫びを聴くために、トリックが必要とされている。
2015-01-12 21:23:2792位 「エンマ・ツンツ」ホルヘ・ルイへ・ボルヘス 『不死の人』所収 ・「アベリーノ・アレドンド」と対になる短編。ただ、女性の描き方がやや旧式かな。
2015-01-12 21:24:5991位 「こうもり」麻耶雄嵩 『貴族探偵』所収 ・二度読まないと解らない、微妙な、それでいて画期的な詐術が施されている。
2015-01-12 21:26:0390位 「鶯を呼ぶ少年」日下圭介 『鶯を呼ぶ少年』所収 ・協会賞受賞作だと言うのになぜか不遇な名編。ノスタルジックな書きぶりとどんでん返しの嵐。
2015-01-12 21:27:2289位 「掘り出された童話」泡坂妻夫 『亜愛一郎の狼狽』所収 ・「二銭銅貨」と並ぶ国産暗号ミステリの完成系。余韻を残すラストの処理も巧い。
2015-01-12 21:28:5288位 「椛山訪雪図」泡坂妻夫 『煙の殺意』所収 ・さまざまなイメージが収束していくラストにため息。私も別腸さんのように生きたい…。
2015-01-12 21:31:0087位 「坑鬼」大阪圭吉 『とむらい機関車』所収 ・この時代の作品で〇〇〇〇〇〇〇〇法を完璧に使いこなしている点は驚嘆に値する。
2015-01-12 21:32:1486位 「妖婦の宿」高木彬光 『神津恭介、密室に挑む』所収 ・とってつけたような動機周辺に勿体なさが残るも、繰り出される数々のアイディアとその結びつきは文句のつけようがない。
2015-01-12 21:34:5685位 「心理試験」江戸川乱歩 『心理試験 他六篇』所収 ・国産倒除ミステリの嚆矢。“心理試験”のみならず明智の詰めも見事。
2015-01-12 21:36:2684位 「夜明けのフロスト」R・D・ウィングフィールド 『夜明けのフロスト』所収 ・長編ほどの密度は望むべくもないが、それでもフロストの醍醐味は十分に味わえる。意外なことに、本格としてもしっかり。
2015-01-12 21:38:1183位 「死とコンパス」ホルヘ・ルイへ・ボルヘス 『伝奇集』所収 ・ボルヘスの短編の中でも、特に推理小説味が濃厚な作品。顛倒した事件の真相に唖然茫然。
2015-01-12 21:40:3482位 「王たちの恵み」泡坂妻夫 『ヨギ・ガンジーの妖術』所収 ・ヨギ・ガンジーものの最初の一編。この真相は身につまされるなぁ。
2015-01-12 21:43:53