デビルサマナー 葛葉あきつ丸vs亡霊戦艦 #5

ウルトラ怪獣のツインテールはエビの味がするらしいと聞いた提督が夕飯になっても帰ってこない
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劉度 @arther456

「何ですか、あれ……!?」その様子を、大鯨と海兵隊は呆然と見ていた。「Demon……?」兵士の一人が呟く。その通りであった。あきつ丸が操るのは、悪魔。彼女は陸軍艦娘であると同時に、国家の霊的守護を担う、悪魔召喚師<デビルサマナー>なのである! 21

2015-01-13 21:36:23
劉度 @arther456

「Go!Go!Go!」放心状態の海兵隊たちの尻を、怒声がぶっ叩いた。「何をボサッとしてやがる!タマ落としたか!」海兵隊隊長がM4カービンを撃ちながら前進していた。「The Few, The Proud!アメリカの精鋭の俺達が、悪魔ごときに後れを取っていいと思ってるのか!?」 22

2015-01-13 21:39:48
劉度 @arther456

「サ……Sir!」「Ahead! Go ahead!」隊員たちが機関室に次々と突入、ヨミクグツを撃ち倒していく。あきつ丸の突入で既に浮き足立っていた敵陣は瞬く間に崩壊。ほとんどの敵兵は討ち倒され、残党も別の部屋へと逃げていった。「クリア!」「制圧完了、であります」 23

2015-01-13 21:43:03
劉度 @arther456

「よし、隊を2つに分ける!テイラー!部下を連れて先行、船尾までの脱出ルートを切り開いてこい!残りはここで敵の追撃を食い止める!」「Sir!提案があります、sir!」「文句あるのかクソッタレ!」「敵兵は生意気にもM2を使っているであります!自分たちもこれを使いたくあります!」 24

2015-01-13 21:46:20
劉度 @arther456

敵兵の機銃座に設置されていたのは、旧海軍がブローニングM2重機関銃をコピーして作った13mm機銃だ。多少改造されているものの、海兵隊がよく知るM2重機関銃と、基本的な操作方法は変わらない。「よしっ、そいつは好きにしていいぞ!」「流石!隊長は話が分かる!」 25

2015-01-13 21:49:34
劉度 @arther456

嬉々としてM2を中心とした防御陣地の作成にとりかかる海兵隊たち。その横で、あきつ丸は天井を見つめていた。「おい!アンタも行ってくれ!殿はオレたちくマリンコの役目だ!」「いえ、自分には、他に行くべき所が出来たであります」「何……?」 26

2015-01-13 21:53:07
劉度 @arther456

あきつ丸には分かる。頭上に常人では感じ取れない、禍々しい気がわだかまっていることが。この上にあるのは艦橋、戦艦の中枢である。大和を異形の怪物に変貌せしめた元凶がそこにいるのは明らかであった。「申し訳ない。大鯨殿と、武蔵殿のことは任せるであります」 27

2015-01-13 21:56:18
劉度 @arther456

「おう。そっちこそ死ぬんじゃねえぞ!」「Enemy coming!」「Fire!」敵の追撃部隊がボイラー室に現れ、海兵隊がそこに猛火を浴びせかけた。どれだけ保つかはわからない。「行くぞ、あきつ丸!」ゴウトが促す。あきつ丸は海兵隊に小さく敬礼すると、艦橋への階段を登り始めた。 28

2015-01-13 21:59:30
劉度 @arther456

その頃、蔵王艦上では。「不知火さんたち、出撃準備ができたのです」「よし!本艦はこれより大和に接近、艦内に増援部隊を送り込む!」暴走を続ける大和へ増援を送り込む準備が進んでいた。同乗する艦娘の内、上陸戦に強い者達を大和船内に送り、あきつ丸たちを助けるのだ。 30

2015-01-13 22:02:47
劉度 @arther456

『提督!こちら後部甲板!』だが、そこに通信が入る。「どうした?」『魚の……魚のバケモノが……うわぁぁぁっ!?』慌ただしい銃声、そして通信が途切れる。「何だ一体。戦える奴は武器を持って後部甲板に集合しろ!矢矧、不知火たちの管制を頼む」「分かったわ。気をつけて!」 31

2015-01-13 22:06:13
劉度 @arther456

懐から拳銃を取り出し、他の兵士たちと合流してから提督は甲板に出た。「何だこれ!?」通信のあった後部甲板は、青色で埋め尽くされていた。人間ほどの大きさの魚に、手を生やしたような異形の怪物の群れだ。提督は、かつてあきつ丸と共に彼女らを退治したことがあった。 32

2015-01-13 22:09:27
劉度 @arther456

「アズミ!?」名前を読んだのがいけなかった。「新しい人間じゃあああ!」「殺せえええ!」こちらに気付いたアズミの群れが、提督たちに向けて飛びかかる!「いかん、撃――」パァン!兵士たちが銃を構えるのに先んじて、銃声が鳴り響いた。6匹のアズミがその場に倒れ伏す。 33

2015-01-13 22:12:39
劉度 @arther456

「いよっし!」提督の45口径リボルバーから硝煙が上がっていた。銃弾に刻まれた梵字と45口径弾そのものが持つ信仰を合わせた呪術的パワーは、アズミ程度の下級悪魔なら一撃で葬れる。基本的に冴えない提督であるが、銃の効く相手ならばそう簡単にやられはしない。 34

2015-01-13 22:15:52
劉度 @arther456

「カカカ……」甲板上に不気味な笑い声が響き渡る。「誰だ!?」「艦長はん自らが出てくるとは、ずいぶん人手不足らしいのう」アズミの群れの一角が、ぬらりと持ち上がる。ぬめぬめした細長い胴に、人間の手足が生えた巨大なウナギの化物が、後部甲板に陣取っていた。 35

2015-01-13 22:19:09
劉度 @arther456

「何者だ!」「うちはトゥナや!」「マグロ!?」「なんでや!どう見たってウナギやろ!」「いや、だって今ツナって……」「トゥナや、トゥナ!耳腐っとるんかい!」「ああ、固有名詞か。てっきり知性マグロ変異体かと……」「あんなんと一緒にすんなや!……ってそういう話やない」 36

2015-01-13 22:22:26
劉度 @arther456

ペースを崩されかけたトゥナだが、咳払いして気を取り直す。「ウチのサマナーの頼みでな。アンタらをあの船に近づけるわけにはいかんねん。恨みはないがここで沈んでもらうで」「幾らで雇われた?倍額出すよ?」「汚い金持ちかいアンタは!悪魔の義理堅さナメたらアカンで!」 37

2015-01-13 22:25:41
劉度 @arther456

「あっそう。なら仕方ないか」悪魔は得てして人間よりも契約というものを重視する。提督もあきつ丸から聞いていたので、別に驚くことではない。一応聞いてみただけだ。「皆!今日の夕飯はウナギの蒲焼きだぞ!」「ハァ!?」逆に驚いたのはトゥナと警備兵である。 38

2015-01-13 22:28:57
劉度 @arther456

「え、あれ食べるんですか!?」「だってウナギでしょ?超高級品じゃん!あれだけ大きければ皆で食べても余るぐらいだし」そう語る提督の目は、キラキラと輝いている。本気だ。「いや、でも喋ってますよ?」「死んだら同じだよ」「ウチ悪魔やで?」「死んだら同じだよ!」 39

2015-01-13 22:32:17
劉度 @arther456

「アカン、アレはマジやわ……お前たち、あの狂人をとっとと……」部下のアズミたちにトゥナが命令を下そうとしたその時、ガゴンと重い音と共に後部甲板の一角が開き始めた。「……ほおう?」トゥナにはそれが何だかすぐに分かった。下からエレベーターがせり上がってきている。 40

2015-01-13 22:35:31
劉度 @arther456

「間が悪いなあ。こんな時に艦娘を出撃させるなんて!」トゥナのウナギ顔がニヤリと笑った。「アンタたち!まずはこの下の小娘どもを血祭りに上げちまいな!」「シャアアーッ!」アズミの群れが我先にとエレベーターへと飛び込んでいく! 41

2015-01-13 22:38:49
劉度 @arther456

「もう助からんで……うん?」提督に向き直ったトゥナは首を傾げた。提督が両手を合わせている。「何の真似や」「ご愁傷さまです」「え?」「アババババーッ!?」エレベーターシャフトから、おぞましい絶叫が聞こえてきた。「とぉぉぉぉん!」更に、奇妙な雄叫びも。 42

2015-01-13 22:42:09
劉度 @arther456

「え?」続いて、噴水めいて鮮血が吹き上がる。その中には血だけでなく、アズミのパーツまで混じっていた。ゴア噴水が甲板上に降り注ぐ中、エレベーターが上がり切る。「何事かと思えば、マグロの亜種ですか?」乗っているのは、血塗れのナイフを携えた駆逐艦不知火。 43

2015-01-13 22:45:32
劉度 @arther456

「悪魔のくせに血は赤色なのですね」素手でアズミを細切れにする、神戸水鳥拳伝承者・重巡熊野。「……マグロ、ご期待ください」そして、ネギトログラインダー機構を備えた金属バットを手にした羽黒。33地区の対マグロ、対白兵の専門家たちが万全の状態で現れた。 44

2015-01-13 22:48:50
劉度 @arther456

「なんやアレ……」たった3人の威圧感に、トゥナたちが気圧される。数ではこちらが有利なのに、相手は捕食者の目でトゥナたちを見渡している。「ビ、ビビんな!かかれ、かかれぇ!」一瞬ひるみかけたトゥナだったが、数に任せて押し潰すことを決意した。命令を受け、アズミたちが襲いかかる。 45

2015-01-13 22:52:04