ニンジャスレイヤー二次創作【ラン・コワード・ラン】

これまでのあらすじ:アンダーガイオン第五階層。そこに、一人のニンジャがしみったれた生活をしていた。彼の名はリフレックス。スシ・バーにタダ飯を食いに行くのが日課のニンジャである。
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鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

ドーモ、シカナです。これよりニンジャスレイヤー二次創作の投下を行います。TL圧迫が懸念されるため必要な方は #4215tk をミュート重点。このタグは実況タグとしても使えるハイ・テックなタグです。なお本編の更新が始まり次第、更新は停止するのでごあんしんだ。ではやる◇ワオワオー◇

2015-01-16 18:34:49
鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

無遠慮に自分の顔を照らすLEDに顔をしかめ、男は頭上を仰ぐ。空色が覆い尽くしている。ペンキで塗りたくられた、イミテーションの青空。今の時刻では、ネオン看板も鳴りを潜めている。夕刻になれば、また猥雑な光が街を覆うのだろう。1 #4215tk

2015-01-16 18:39:08
鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

アンダーガイオン第五階層。男は止めていた歩みを再開し、行きつけの寂れたスシ・バーへと上がりこむ。「邪魔するぜ」「いらっしゃ…アイエッ」人の良い笑みを浮かべていた老店主が、男の顔を見て小さな悲鳴をあげた。「ド、ドーモ。リフレックス=サン」2 #4215tk

2015-01-16 18:42:07
鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

「はい、ドーモ」リフレックスと呼ばれた男は、無遠慮にカウンター席の一つに座り込む。そして油断ならぬ眼光で店主を睨む。店主は竦みあがった。リフレックスの眼光だけではない。彼から放たれるカラテ・アトモスフィアにだ。リフレックスはニンジャなのだ!3 #4215tk

2015-01-16 18:45:31
鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

「マグロあるか、マグロ」「きょ、今日は品切れで…」「なんだと?」リフレックスの目が細められる。店主は思わず失禁しそうになった。「オイ。俺がいつもマグロを頼んでるのを忘れたのか、爺さん」「滅相もありません!」悲鳴混じりの声。4 #4215tk

2015-01-16 18:48:05
鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

「じ、事情があるんです!仕入れに行ってる娘が、体調を崩して」「アァ?」リフレックスは立ち上がり、老店主の首根を掴む!「アイエエエ!」「オイ爺さん、嘘を言ったらひどいぜ。今のセリフ、もう一度俺の目を見て言ってみろ」「む、娘が病気で!本当です、信じてくださいよ!」5 #4215tk

2015-01-16 18:51:19
鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

じろりと老店主の目を覗き込んでいたリフレックスは…やおら彼を解放し、カウンター席に座り込む。「わかった。じゃあサバだ」「エッ」「サバ!聞いてんのか!」「アッハイ!ヨロコンデー!」老店主は慌ててスシの準備を始める。幸い、台所を汚すことはなかった。6 #4215tk

2015-01-16 18:54:12
鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

「ヘイお待ち」「ドーモ」老店主からサバ・スシを受け取ったリフレックスは、もそもそとそれを咀嚼する。「…ウマイ。次はタマゴだ」「ヨロコンデー」戦々恐々としながらも、老店主はタマゴ・スシを握り始める。こっそりとニンジャの様子を伺いながら。7 #4215tk

2015-01-16 18:57:14
鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

この店にリフレックスが通うようになったのはいつ頃だろうか?とにかく店でヨタモノが暴れていた時に乗り込んできたこのニンジャは、あっという間にヨタモノたちを叩き出した。それからというもの、こうしてスシをタダ食いにやってくるのだ。8 #4215tk

2015-01-16 19:00:18
鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

最初こそ恐ろしかったものの、老店主もようやくこのニンジャに慣れ始めていた。(別に大食いするわけでもなし、味に難癖つけるでもなし)「ヘイお待ち」「ドーモ」リフレックスにタマゴ・スシを手渡し、思う。(むしろスシの修行とでも思えば大丈夫だ)9 #4215tk

2015-01-16 19:03:05
鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

「うん、ウマイ」タマゴ・スシをもそもそと食べながら、リフレックスが呟く。老店主はホッと息をつく。同時に、どこか嬉しくもあった。「ところで爺さん」「アイエッ?なんでしょう」そこに不意に言葉を挟まれ、彼は少し狼狽した。リフレックスは気にした様子もない。10 #4215tk

2015-01-16 19:06:04
鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

「この店、跡を継ぐ奴とかいるのかい」「エー、そうですねえ。探してはいるんですが…私が死んだら、娘になるかもですねえ」「そうか」リフレックスはタマゴ・スシを食べ終える。「あんたくらい上手になるといいな。エンガワ頼む」「ヨロコンデー」11 #4215tk

2015-01-16 19:09:09
鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

…「アリガトゴザイマシター」老店主の声を背に受けながら、リフレックスはスシ・バーを後にした。当然料金は未払いだ。明日もまた来よう。歩きながらそう考えていた彼は、ふと足を止め、背後を振り返る。視線を感じたのだ。そこには寂れたスシ・バーがあるのみ。人影はない。12 #4215tk

2015-01-16 19:12:10
鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

「気のせいか…?」彼は首を傾げながらも、帰路へとつく。…故に彼は見ることがない!スシ・バー屋上から身を起こす、二つの影を!そしてナムサン!そのどちらもがニンジャなのだ!片方は焦茶装束の大柄ニンジャ!もう片方は黒鉄色装束の小柄ニンジャ!13 #4215tk

2015-01-16 19:15:08
鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

「気付かれたか?」焦茶ニンジャが低い声で呟く。黒鉄ニンジャが答える。「いや、まだだ。それにしても鋭い野郎だぜ」「追跡にも細心の注意を払わねば」「まったく。案外やるニンジャかもしれねえな」二人は囁き合うと、すぐに姿を消したのだった。14 #4215tk

2015-01-16 19:18:20
鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

タコ・ゲート近くにある安アパートの一階。そこにリフレックスの住まいがある。しっかりと戸締りをしたリフレックスは、ほとんど何もない狭い部屋の中で大の字になって寝転がった。ニンジャでなかった頃、カネを得るためにあらかたのものを売ってしまったのだ。16 #4215tk

2015-01-16 19:21:28
鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

彼がニンジャになったのはそう昔のことではない。カネに困って飢えかけていたところを、ZBRをやってハイになった隣室の住人に殺されかけたのがきっかけだ。とりあえずニンジャになって始めてしたのは、その隣人を叩きのめして下層行きエレベータに放り込むことだった。17 #4215tk

2015-01-16 19:24:06
鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

その後、近所をぶらついているうちにスシ・バーに恩を売ることができた。これで食糧には困らない。ミヤゲのスシ・パックは、キッチンに放ってある。今日の晩飯だ。スシ・バーにタダ飯をたかる以外に彼が何をしているか?…簡潔に言うと、何もしていない。18 #4215tk

2015-01-16 19:27:35
鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

無論のこと、リフレックスもニンジャである。ヨタモノはおろか、ヤクザにだって勝てることはわかっている。しかし彼はそれでも人を殺すのを躊躇う。優しいから…ではない。怖いからだ。もし自分が殺しかけた人間がニンジャになったらどうする?19 #4215tk

2015-01-16 19:30:08
鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

本来なら馬鹿げた妄想として一蹴されるべきその考えを、リフレックスは捨てることができなかった。自分とて死にかけからニンジャになって蘇ったのだ。他の人間がそうならないとどうして言える?だからとてニンジャの身で働きに出かけるのも憚られる!20 #4215tk

2015-01-16 19:32:23
鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

(とりあえず、メシは食える。これでいいじゃねえか)リフレックスは誰にともなく言い訳した。(過ぎた幸せを追おうとすると不幸になる。昔のエライ人もそう言ってるだろ、たぶん)そうして寝返りを打とうとして、彼は不意に立ち上がり、玄関を見た。外に誰かいる。気配がする。21 #4215tk

2015-01-16 19:34:09