「スナイパーズ・アイズ・シー・ザ・ワールド・オバー・ザ・ガン・サイト」

新たな鎮守府「佐伯湾泊地」彼の地の練度上昇までの護衛任務として、若葉は佐伯湾に赴いた。
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Ricardo Berenguer @entry_yahhoo

「どうも、ウォッカさん」若葉は探るようにウォッカを見た。緑色の髪。鎮守府共通支給のジャージ。背中の弩。果たして、何者だろうか?「失礼ながら、貴方は提督か?」若葉は率直に尋ねた。「ん?いや、違うよ?」男は人の良い笑みを浮かべ答える。「射撃の教導官さ。この泊地のね」 22

2015-01-22 23:12:28
Ricardo Berenguer @entry_yahhoo

「教導官」若葉は男の言葉を反芻する。鎮守府は軍事組織だ。当然、教導官も存在はしている。だが、艦娘の教導に常人の教導官とは。若葉は聞いたことが無かったが、同時に納得もできていた。先程の圧倒的技前は、そうと捉えたほうが辻褄が合う。(とんでもない傑物を有しているな、佐伯湾泊地) 23

2015-01-22 23:16:29
Ricardo Berenguer @entry_yahhoo

「君は、この泊地の艦娘かい?」ウォッカが尋ねる。「いや、鹿屋だ」「そうなのかい?」「新設鎮守府の護衛任務だ。数日後発つ予定だ」「成程」若葉は陸に上がり、取り留めもない会話を交わす。やがて、若葉はウォッカに尋ねた。「一つ聞きたい」「何かな?」「どうやって、あれ程の技量を?」 24

2015-01-22 23:21:35
Ricardo Berenguer @entry_yahhoo

「どうやって、か」ウォッカは考え込んだ。若葉には興味があった。あれ程の達人は如何にしてその強さを得たのかと。「そうだな」暫く悩んだ後、ウォッカは答えを出した。「まず、重弩が好きだったこと」ウォッカは背負った弩に軽く触れる。「そして、只管に撃ち続けたことかな」 25

2015-01-22 23:25:50
Ricardo Berenguer @entry_yahhoo

「撃ち続ける?」「そう」ウォッカは言葉を続ける。「無論、ただ撃ち続けるだけじゃだめだ。一射一射事に学ぶことが重要だ」「学ぶ」「外れたなら何故外れたのか。当たったなら何故当たったのか。当て続けるためには?外さないためには?只管それを繰り返すのさ」 26

2015-01-22 23:27:54
Ricardo Berenguer @entry_yahhoo

「そして、研鑚を繰り返せば、自ずと技術は身に付くのさ」「大変だな」表情にこそ出さなかったが、若葉は改めてウォッカに驚愕し、そして尊敬の念を抱いた。「もしよければ、もっと話を聞かせてくれないか?」「構わないが」ウォッカは怪訝そうに若葉を見た。「もしかして口説いてる?」「エッ」 27

2015-01-22 23:35:00
Ricardo Berenguer @entry_yahhoo

「ダメだ、私には心に決めた麗しき向日葵の君が…」「少なくとも初対面の男性を口説くような趣味は無いから安心しろ」「…杞憂だったね」若葉は呆れた様にウォッカを見た。そして、ふとウォッカの姿が自身の提督に重なった。彼もまた、ただ一人を直向きに愛する男であった。 28

2015-01-22 23:37:29
Ricardo Berenguer @entry_yahhoo

「まぁ、ここで話すのも何だ」気まずそうにウォッカは話を切り替えた。「食堂でも行こう。もういい時間だろうし」「そうだな」若葉は空を仰いだ。太陽の昇り方からして、6時近くだろうか。「ここの鶏肉は旨いからな」そして若葉はウォッカと共に歩き出した。(初霜への土産話が増えたな) 29

2015-01-22 23:44:12
Ricardo Berenguer @entry_yahhoo

こうして若葉は、“神的エイミング”とも称される狙撃手と出会った。彼が己の提督と知り合いであると知るのは、彼女が鹿屋に帰還からの話である。 30

2015-01-22 23:46:13
Ricardo Berenguer @entry_yahhoo

「スナイパーズ・アイズ・シー・ザ・ワールド・オバー・ザ・ガン・サイト」終

2015-01-22 23:46:28
Ricardo Berenguer @entry_yahhoo

◇Vodka=サン着任オメデトウゴザイマス!◆

2015-01-22 23:46:52