鋼鉄の咆哮×艦隊これくしょんSS「超兵器の金剛」

横須賀鎮守府に着任した戦艦金剛は、普通の艦娘ではなかった。
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さのすけ @_SANOSUKE_SAN_

「それに、さっきから電探がおかしいわ! なんなのこのノイズは!」 赤城さんが耳を押さえながら言います。 私にもそれは聞こえていました。 耳障りな、ざわざわとした嫌なノイズが。 「榛名さん! 危ない!」 気づけば、敵が真正面から突っ込んできていました。(26) #超兵器の金剛

2015-01-24 02:48:06
さのすけ @_SANOSUKE_SAN_

(ジジジ、ジジジ、ジジジジー!) あいつだ。ノイズはあいつから出ているんだ。 不快感は敵が近づくほどに大きくなっていきます。 主砲を全門、前に向けました。 敵の顔がはっきり見えます。 灰色髪の幼い残る顔立ち。なんて、無邪気な表情をしているんでしょう。(26) #超兵器の金剛

2015-01-24 02:50:38
さのすけ @_SANOSUKE_SAN_

『ハ、ハハハ!ハハハハハ!』 「くっ……主砲! 斉射!」 36cm砲の砲声が海を揺らす。 でも、砲弾はすべて、彼女の後ろに水柱を上げただけだった。 「速すぎる! 榛名さん!」 敵が魚雷発射管を私に向ける。なんて大きな魚雷。当たったら、轟沈してしまいそう。(27) #超兵器の金剛

2015-01-24 02:52:58
さのすけ @_SANOSUKE_SAN_

沈んだら、もう比叡姉さまや霧島に会えないな。 鎮守府のみんなにも……提督にも……。 そして……。 「金剛、ねえさま……」 脳裏に浮かんだ姉さまの顔は、笑っていました。 「榛名ァー!」 「!?」 横から飛び込んできた影は、私を守るように前に出ます。(28) #超兵器の金剛

2015-01-24 02:54:58
さのすけ @_SANOSUKE_SAN_

私と同じ服を着た、栗色の長い髪。 金剛姉さまでした。 「ね、姉さま!」 「下がっテ! こいつの相手はワタシが!」 バチバチと、姉さまの主砲から紫電が奔ります。 それは連装砲のようでしたが、私たちが普段目にするものとはまるで形状が違っていました。(29) #超兵器の金剛

2015-01-24 02:57:02
さのすけ @_SANOSUKE_SAN_

『キハハハハハ!』 敵艦は構わず突っ込んできます。 姉さまの艤装が唸りを上げ、さらに電気が増していきます。 「拡散荷電粒子砲……Fire!」 光が、放たれました。 それは夜空を流れる星のように綺麗でした。 そのすべてが、敵艦に吸い込まれていきました。(30) #超兵器の金剛

2015-01-24 03:02:21
さのすけ @_SANOSUKE_SAN_

『ハハァァァ……アア……ァ』 爆発、炎上。 彼女は笑いながら海の上を燃えたまま滑走して、ついには力尽きたように膝から崩れ、沈んでいきました。 燃料が燃える嫌なにおいが鼻を突き、炎が姉さまを紅く照らします。 姉さまは足元に流れ着いた何かを、拾いあげました。(31) #超兵器の金剛

2015-01-24 03:06:06
さのすけ @_SANOSUKE_SAN_

「大丈夫だったカ?」 「えっ、は、はい! 榛名は、大丈夫です」 「よかった……間に合って」 金剛姉さまが笑いました。 私がさっき鎮守府で見た、心の中の姉さまと同じ顔でした。 「ね、姉さま。さっきのは……」 「ン……拡散荷電粒子砲、光学兵器デース」(32) #超兵器の金剛

2015-01-24 03:08:35
さのすけ @_SANOSUKE_SAN_

「こうがく、へいき?」 「榛名が知らないのは当然ネ。これはワタシの世界の兵器ダカラ」 「えっ……」 姉さまは、とても清々しい顔をして、私に言いました。 「改めて、自己紹介させていただきマ。第零遊撃艦隊旗艦、レーザー戦艦金剛デース。ヨロシク」 (33) #超兵器の金剛

2015-01-24 03:12:11
さのすけ @_SANOSUKE_SAN_

これが、私榛名と、異世界から来た金剛姉さまとの、はじまりだったのです。(34)(終わり) 獲得アイテム <対潜ロケット、61cm酸素魚雷> #超兵器の金剛

2015-01-24 03:15:25