自然科学者 茂木健一郎@kenichiromogi氏の語る、「批評とは何か?」

0
茂木健一郎 @kenichiromogi

批評(1)批評(criticism)は、良いものをつくる上で欠かせない。そうして、批評精神こそ、日本に最も欠けているものの一つではないか。

2010-12-10 08:01:53
茂木健一郎 @kenichiromogi

批評(2)映画や小説などの商業的成功と、その批評的成功は全く別のものである。とくに映画については、日本では真摯な批評がなされているケースをほとんどみない。結果として、良質な作品をつくるというマグマが失われてしまっている。

2010-12-10 08:03:18
茂木健一郎 @kenichiromogi

批評(3)よい批評は、制作者への愛と矛盾しない。ブツをつくることが大変なくらいわかっている。いくら目指しても、うまく行かないこともある。しかしだからこそ、良いブツをつくることの大切さを確認したい。批評とはそんな試みだ。

2010-12-10 08:04:32
茂木健一郎 @kenichiromogi

批評(4)最高の批評の一つは、自分が動くこと。キュレーターの長谷川祐子さんが言っていた。「これは違う」「これは違う」「これは違う」「ここにあった!」自分の「ここにあった!」に出会うまで、動き続けること。

2010-12-10 08:05:23
茂木健一郎 @kenichiromogi

批評(5)キアロスタミに出会ったときは、やられたな。『桜桃の味』のラスト。あんな手があったとは思わなかった。それまでの映画が、すべて古く見えるような衝撃。そんな「ここにあった!」に対しては、命がけで賞賛するよ。

2010-12-10 08:06:17
茂木健一郎 @kenichiromogi

批評(6)ネットの上でも、「ここにあった!」がある。最近ではウィキリークス。国家とは何か、情報の意味とは何か。秩序と自由。こんなに面白いテーマはない。ウィキリークスにかかわる人たちには、food for thoughtsありがとうと全身で言いたい。

2010-12-10 08:07:46
茂木健一郎 @kenichiromogi

批評(7)脳科学だって、現状では情報の意味論や、意識のメカニズムを解くには遠い。方法論的に、絶望的に遠い。『脳とクオリア』で展開した批評は、命がけのものだったが、今でも一点も修正する必要を感じていない。おかげで、ずいぶんひどい目にあったよ。

2010-12-10 08:09:17
茂木健一郎 @kenichiromogi

批評(8)統計的概念に依拠している現在の脳科学の標準的なやり方に賛同するつもりは0.1%もない。それでは意味や意識は解けないということは100%確信している。しかし、なかなかブツができない。くやしいなあ。

2010-12-10 08:10:46
茂木健一郎 @kenichiromogi

批評(9)結局、批評とは、自分自身に対しても、「やってみろよ」とけしかけることだと思う。まだまだそんなもんじゃないだろう。まだ行けるだろう。やせ我慢。安易なもので妥協しちゃいけないよ。

2010-12-10 08:11:33
茂木健一郎 @kenichiromogi

以上、「批評」についての連続ツイートでした。

2010-12-10 08:11:51