ラバウル少佐日誌:天空の母編其ノ参

艦これ二次創作小説です。 一部艦娘のキャラ崩壊・独自設定・過去捏造注意です。
0
檀富良(Dan Fuller) @NGWCTG

「ほほう? しらを切るか」 と言うが否や、元帥閣下艦隊所属の武蔵はもう一度、執務室の机を思いきり殴りつけました。 「シラを切る? 何を莫迦な。私は鶴の一匹も飼ってはいないが?」 然し、流石に提督もこんな事では狼狽えませんから、やはり不敵に嗤い返しました。 (1)#ラバウル少佐日誌

2015-01-28 23:27:13
檀富良(Dan Fuller) @NGWCTG

「瑞鶴だ。それも、改修済みの黒服を着た瑞鶴だ」 不機嫌な様子で元帥の武蔵は、がん、がん、と机を殴り続けます。 まるでその机の中に瑞鶴が隠れている事を知っているかの様に。 「ああ、なんだ彼女の事か。何故そんなに回りくどい言い方をした」 (2)#ラバウル少佐日誌

2015-01-28 23:32:03
檀富良(Dan Fuller) @NGWCTG

「そなたがそこまで言葉遊びの出来ぬ、無教養な男とは思っていなかったのだ」 「おお?」 ぐい、と元帥の武蔵が提督の襟首を掴み上げました。 ここまでされれば此方のもの。 私はそう思い弓を引き武蔵に狙いを定めましたが、 「加賀。そう私を過保護にするんじゃない」 (3)#ラバウル少佐日誌

2015-01-28 23:35:55
檀富良(Dan Fuller) @NGWCTG

提督の御意思とあれば致し方ありません。 「さて? そなたの首を刎ねさせはしないよ、少佐殿。あれは冗談だ。そなたは面白い、故にまだ摘み取りはせん」 先程までとは打って変わり、調子良さげに武蔵は提督を私の足下へ投げつけると、 「さあ、出てくるが良い、鶴め」 (4)#ラバウル少佐日誌

2015-01-28 23:39:30
檀富良(Dan Fuller) @NGWCTG

……然し武蔵は屈んだまま首を傾げ、暫くぼんやりした様子を見せました。 ややあって彼女は私達の方へ向き直ると、 「うおっ」 また提督の襟首を掴み上げたのです。 「何処へやった」 「何の事で?」 「鶴だ!」 「だから、鶴など私は」 「瑞鶴を何処へ匿ったッ!」 (5)#ラバウル少佐日誌

2015-01-28 23:43:13
檀富良(Dan Fuller) @NGWCTG

「だから、私は知らないと言っただろう」 「机の裏に血が付いておったが?」 「ああ……またか」 提督は陰のある話し方を突然始めます。 そして、一瞬だけ私に目配せをしました。 「全く……恐ろしい子ね」 私はその意味を理解し、提督と一芝居打ち始めました。 (6)#ラバウル少佐日誌

2015-01-28 23:46:08
檀富良(Dan Fuller) @NGWCTG

「何をふざけた真似を……えっ?」 「黙っておいてやろうとおもっていたのだが……こうなっては仕方あるまい。話すが、良いか? 加賀」 「構いません」 その時の武蔵の、不穏な空気に騙されて狼狽えた顔は今でも鮮明に思い出せます。 滑稽でしたから。 (7)#ラバウル少佐日誌

2015-01-28 23:49:18
檀富良(Dan Fuller) @NGWCTG

「実はな、ここ最近瑞鶴の怨霊が現れては、我が艦隊に呪詛や不気味な現象を引き起こして帰ってゆくのだ」 「怨霊?」 武蔵は笑い飛ばしましたが、何処か声色がいつもより上ずっておりました。 「何を莫迦な、私は確かに先程瑞鶴に……」 「ほら」 提督は懐から、…… (8)#ラバウル少佐日誌

2015-01-28 23:53:55
檀富良(Dan Fuller) @NGWCTG

1年前の、瑞鶴轟沈の届け出を取り出して武蔵へ見せました。 当時は死んだものと思われていたので、本土の司令部から直ぐに承認印付きで控えが戻って来たのです。 「……な、何」 「我々も手を焼いていたが、お前はまともに相手をしてしまったそうだな。マズいと思うぞ」 (9)#ラバウル少佐日誌

2015-01-28 23:57:20
檀富良(Dan Fuller) @NGWCTG

提督の渾身の名演を前に私は吹き出すのを必死で堪えていましたが、真に受けた武蔵は明らかに動揺した高笑いを上げながら何処かへ早歩きで去っていきました。 (10)#ラバウル少佐日誌

2015-01-29 00:00:14
檀富良(Dan Fuller) @NGWCTG

「……修正手続き、面倒臭くてほっといてたのがまさかこんな形で役に立つとはな」 「流石ね、提督。でも瑞鶴は何処へ……」 「あ、こっちですよこっち!」 私が言いきる前に、ひょっこりと執務机の下から姿を現したのは、明石でした。 (11)#ラバウル少佐日誌

2015-01-29 00:02:14
檀富良(Dan Fuller) @NGWCTG

私は思わず目を疑いましたが、確かにそこにいるのは明石です。 「咄嗟に思い出したんだ。此処の地下から出撃出来るようにする為の通路と空間を明石に作らせていたのをな」 「いきなり手足の取れた瑞鶴さんが落っこちてきたのには何事かと思いましたけどね」 (12)#ラバウル少佐日誌

2015-01-29 00:04:28