「コンスピーラシィ・アポン・ザ・ブロークン・ブレイド」 #3
「アイエエエエ!」運河に面したマイコセンター「ドスエ」から、爆発に驚いたホロヨイ・サラリマン数人と半裸のマイコ、店員が飛び出し、路地裏へ逃げ去った。爆炎が吹き去り、片膝をついて着地したダークニンジャは、埃を払って立ち上がった。
2010-11-20 19:53:50ごうごうと燃え盛る屋形船が、暗い水面を不吉なオレンジに照らす。ダークニンジャは別の気配を感じ取り、そちらへ向き直った。「ドーモ。ダークニンジャ=サン」
2010-11-20 20:03:54路地裏から現れアイサツしたのは、8フィートはあろうかという巨躯のニンジャである。ニンジャ装束には毛筆体のカタカナで「カメ」と描かれ、頭部はシシマイめいた巨大なマスクで覆われている。「マスター・トータスです、ダークニンジャ=サン」
2010-11-20 20:06:12「……ドーモ、マスター・トータス=サン。ダークニンジャです」ダークニンジャは隙の無いアイサツを返した。マスター・トータスは右手に持った紫色のフロシキ包みを差し出した。「ご無事でなによりでした。ダークニンジャ=サン。無駄足になるところでした」
2010-11-20 20:08:51「……」ダークニンジャはマスター・トータスを睨んだ。マスター・トータスは電子的に増幅された不気味な音声で説明した。「ベッピンです。刀身と、柄。現場から回収しました。これはあなたのものです」
2010-11-20 20:13:43ダークニンジャは油断なく、差し出されたフロシキ包みを受け取った。その場でフロシキを取り払うと、言葉通り、折れたるベッピンの柄と刀身が現れた。刀身に平安時代の文字で刻み込まれた禍々しいハイクは他と間違えようが無い。「……ドーモ」
2010-11-20 20:18:41「サンダーフォージ=サンを探しなさい。ダークニンジャ=サン。彼ならばベッピンを鍛え直すことができましょう。そこらの刀鍛冶ではいけませんぞ、災いが来たります」「サンダーフォージ?聞いたことの無い刀鍛冶だが」ダークニンジャが眉根を寄せる。
2010-11-20 20:24:46「じきにわかります」マスター・トータスはそれだけ言い残すと「では、また!オタッシャデー!」信じ難いニンジャ跳躍力で垂直にジャンプ。マイコセンター「ドスエ」の瓦屋根の上に飛び移り、さらに跳躍、夜の闇に消えて行った。
2010-11-20 20:29:15ダークニンジャは折れたるベッピンを丁寧にフロシキで包み直し、自分の体にタスキがけに結んだ。燃え盛る屋形船は火の粉を曇り夜空に吹き上げている。
2010-11-20 20:39:51遠くからノビドメ・シェード消防隊が打ち鳴らすファイヤーベルと、「火の用心!火の用心!」という警告音が聞こえてくる。ダークニンジャは素早く身を翻し、路地裏の影へ走り去った。
2010-11-20 20:42:19「火の用心!火の用心!」けたたましい警告音声は、今宵、闇の中で人知れず死んでいったニンジャ達へのネンブツめいて、鳴り響いていた。
2010-11-20 20:49:00