「フジ・サン・ライジング」 #5

B・ボンド&P・モーゼズ作。ネオサイタマを舞台としたサイバーパンク・ニンジャ活劇「ニンジャスレイヤー」の私家翻訳物 詳細はこちら http://togetter.com/li/73867
ニンジャスレイヤー
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NJSLYR / ニンジャスレイヤー @NJSLYR
(前回あらすじ:フジサン上空。目的を達成、旅客機を爆破し乗客もろともの証拠隠滅をはかろうとするソウカイヤのロシア人ニンジャ「サボター」のもとへニンジャスレイヤーが突入。サボターはパンキドーの特殊回避動作でニンジャスレイヤーの攻撃をかわし続け、戦闘は膠着状態へ陥るかと思われた。)
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(しかしサボターのパンキ回避動作はニンジャスレイヤーの特殊サブウェポン「マキビシ」によって破られる。卑劣にも旅客機の爆破で戦闘を強制終了せんとするサボター。しかしここでもニンジャスレイヤーが一枚上手であった。タツジン級のスリケン投擲で起爆装置を弾き飛ばしたニンジャスレイヤー。)
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(折しもナンシーは己の拘束を解除。ある決意を胸に、二人のニンジャが死闘を繰り広げるファーストクラス・ルームから飛び出した。)
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「カシマール……」サボターは再びパンキ第一防御の構えを取った。二人はディンタキ=サンの死体--吸い出されずにいた--を挟んで睨み合った。「あなた一体なにが目的ですか……既に何人あなたがシンジケートのニンジャ殺したかわからないです……なんで邪魔する……」
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ニンジャスレイヤーは無感情な目でサボターを見据えた。「わかる必要は無い。死ね」
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「イヤーッ!」サボターがロシア風スリケンを投げつけた。「イヤーッ!」ニンジャスレイヤーがスリケンを投げ返した。スリケンは空中でぶつかり合い対消滅!
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「イヤーッ!」サボターがさらにロシア風スリケンを投げつけた。「イヤーッ!」ニンジャスレイヤーもスリケンを投げ返した。スリケンは空中でぶつかり合い対消滅!
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スリケンの投げ合いは見る見るうちに速度を増し、二者の間で火花が激しく飛び散りはじめた。応酬の中、二者はちらちらと床の隅に転がるものを見やる。無論それは起爆装置である。
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サボターは隙さえあればその起爆装置を拾い上げ、なんとしてでも旅客機を爆破する腹づもりだ。ニンジャスレイヤーもその意図を承知している。スリケンの投げ合いは苦しい持久戦であった。
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「チョルトバジミー……」サボターのこめかみを汗の粒が流れ落ちる。右手親指をケジメされた状態でニンジャスレイヤーのタツジン的なスリケン攻撃と渡り合うのも限界だ。彼は賭けに出た。
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「イヤーッ!」ニンジャスレイヤーがスリケンを投げた瞬間、「パンキ!」サボターは床に大の字になって這いつくばった。その速度、コンマ二秒!スリケンが背後の調度品に立て続けに突き刺さり、鋭い音を立てる。サボターはそのまま素早い匍匐前進で起爆装置へ突進する!
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「イヤーッ!」ニンジャスレイヤーはアンダースローでスリケンを投げつけた。匍匐前進するサボターの無防備な脇腹に鋭利な刃が突き刺さる!「グワーッ!ハラショー!」しかしサボターはダメージに耐え、起爆装置をつかみ取っていた。ウカツ!
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スリケンはサボターの体内で砕け、腎臓に重篤なダメージを与えた。しかしサボターはパンキ呼吸法で当座の苦しみを封じ込めた。彼は起爆装置を掴んだままワーム・ムーブメントでゴロゴロと転がり、間合いをとって立ち上がった。「サチューストブユバム!」無事なほうの親指でスイッチを押す。起爆!
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ズドム!ビジネスクラスに閃光が走り、白い粉塵が立ち込めた。スナバはモマメをかばい、座席の下に身を屈めた。ビジネスクラスの方向から断末魔の悲鳴がてんでにあがる。「アイエエエエエ!」「アーアイエエエ!」「アバーーッ!」アビキョウカン!
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機体が大きく揺らぐ。スナバはうろたえ、吐き気をこらえた。「パパ!パパ!コワイ!」モマメが一層強くスナバにしがみついた。「コワイけどモマメは泣かないよ!」こんな幼子が、眉間にシワを寄せて泣くのをこらえている。スナバは目に涙をためた。恐怖からではない。
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「アイエエエエエ!」「アーッ!」「アイエエエエエ!」「ゲボーッ!」叫び声、嘔吐音の地獄の中、スナバはシートの陰から顔を出し、爆発の方向を伺った。白い粉塵に覆われ、歪んだシートに死体が寄りかかっている。しかし爆発の規模は小さい。機体に穴が空いたりはしていないようだった。
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「ドーモ機長です!ただいま原因不明の爆発が!でも飛行は問題ありません!どうか落ち着いて!できるだけ落ち着いて!暴れてはいけない!」機内アナウンスが鳴り響く。乗客は恐慌の一歩手前で留まり、救命具を身につけ、震えていた。ALAS!日本人のオネストな遺伝子あらばこその適切な態度!
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「パパ……」モマメは嗚咽をかみ殺していた。「えらいぞ、モマメ=サン、えらいぞ!」スナバは娘の手を強く握った。「ブンブクチャガマの歌を歌おう、小さくな」「うん」ブンブンブクブク……モマメが小声で歌い出す。スナバは窓の外を見た。フジサンだ。曙の太陽を受けるその威容が涙を誘う。
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スナバは絶望的に考えを巡らす。では下に広がるのは樹海ジャングルだ。強制着陸もままならないのではないか。いや、仮にもし不時着し生きながらえたとして、どうしてバイオゴリラやバイオニワトリの襲撃を避けながら人里まで辿り着けるだろう?恐らく、運命は……いや、だめだ!
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スナバはモマメの手を握り、ビジネスクラスから漂いくる粉塵と血のにおいを意識から締め出した。そして、ベッドから身を起こした妻の弱々しい笑顔を思い浮かべた。『手術がうまくいったら、ジョルリを見に行こう。そしてスキヤキを食べよう。約束です』スナバの言葉に、困ったように頷く妻を。
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生きて帰る、必ず迎えに行きます、モマメと一緒に。そして上手にシシマイ体操を踊るモマメを見ましょう。約束です。約束です。
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コメント

オスツ🍣 @alohakun 2010年12月12日
「フジ・サン・ライジング」 #1 http://togetter.com/li/77727 「フジ・サン・ライジング」 #6 http://togetter.com/li/78130
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