胡蝶巡りし希いの淵 一日目の夢

集いの時。始まりの時。
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悪魔《トリトマ》 @DemonKniphofia

口汚く、また礼儀も知らぬような振る舞いに、それでも不快を示したりはせず、ついと顔を向け微笑む。 「あなたは、攫われたいの? それがあなたの願い? それがあなたの希み?」 それを見るために、ここへと赴いたのだ。自然、声には喜色が滲む。 「聞いたからって、私が叶えるとは限らないけど」

2015-02-10 23:42:12
悪魔《トリトマ》 @DemonKniphofia

「さあ、堕落へ導くのは、代償ではないわ。代償はもっと、別のものよ」 そう言うと、それまで穏やかに笑っていた顔を露骨にしかめて、肩をすくめる。 「それに、神と一緒にされるなんて心外だわ。あれは何もしやしないんだから」 奮然と息巻いたのも一瞬。ふんと大きく一度吐き出せば、また凪いで。

2015-02-10 23:42:30
悪魔《トリトマ》 @DemonKniphofia

「夢の中なら叶うのか。夢でなければ叶わないのか。どちらも違うわ。私は『夢』には干渉できないもの」 首を振る。私の力は限定的で、できることとできないことがある。 「そう。じゃあ、私にはあなたが眠くてもわからないわね。残念。きっとかわいいと思うのに」

2015-02-10 23:42:37
悪魔《トリトマ》 @DemonKniphofia

ざわつく気配とともに現れた銀色の悪魔へも顔を向ける。こういう振る舞いは、よく『人間のようだ』と言われるけれど。 「髪を踏まれて痛がるなんて、人間みたいね」 私から誰かに対して言い放ったことは、なかったように思う。

2015-02-10 23:42:42
人間《リリディアナ》 @LiliDiana_06

「ワカメ……とは、言えないと思うわ。幾らなんでも」 銀の髪に回りを取り囲まれながらも特に動く素振りも無く。 変わらぬ淡とした調子で言葉を返す。 あるいは、夢だからと思っているからかもしれないが。

2015-02-10 23:44:48
人間《セレナ》 @selenite_bride

「えっ、あっ、すみません、踏んだら痛いんですねっ、あっあああっ」 気を使ってなるべく踏まないように足を退けようとすれば、すでに足の踏み場はなく、銀の糸にズルリと足を滑らせて。 「ああっ!」 ずべしゃーっ! ……運が悪ければ、結構な本数の髪が引っ張られたかもしれない。

2015-02-10 23:45:54
人間《ディアドラ》 @actSkbz

「……不思議なのはあんたの方だと思うけどね、」 そうぼそりと零すも、セレナの方を見やる事は無く。射抜くような視線は朱赤に向けられたまま。 足元を這う銀には一瞬、頬を引き攣らせるも、怜悧さを欠けさせる事なく、唇を噛む。 「──何だ、攫ってくれた訳じゃないの」

2015-02-10 23:49:58
人間《ディアドラ》 @actSkbz

露骨にがっかりとした態度を見せれば、肩を竦める。足元を這う銀を睨むように視線を落とす。 「──願い? そうね、願いと言えば願いなんじゃないの。あのクソ狭い世界から出してくれるんなら、神だろうが悪魔だろうが願ってやるわよ」 口汚さを隠す事なく、そう吐き捨てれば、息を吐き。

2015-02-10 23:50:00
人間《ディアドラ》 @actSkbz

──八つ当たりだろうか、何だろうか。 ディアドラは躊躇なく、その銀を、踏み躙った。 ふん、と鼻を鳴らす事も忘れずに。 そうして足をどかせば、辛うじて残る床の隙間に立って、首を振った。

2015-02-10 23:50:04
人間《ディアドラ》 @actSkbz

.   「──それじゃあ何なのよ、此処は」   .

2015-02-10 23:50:07
人間《リリディアナ》 @LiliDiana_06

「神は何もしてくれない。ええ、本当にその通り。御免なさいね一緒にして」 悪魔の言葉にあっさりと同意を示し、謝罪をする。 「私の願いは夢で叶っても意味が無い事だもの。だから、いいわ」 緩く首を振れば、それに合わせて珊瑚朱色が揺れる。 「有り難う、と言っておくべきかしら」

2015-02-10 23:51:17
人間《オド》 @fallin_odo

痛いと言われれば素直に足を止める。 「踏まれる程度で痛いのなら何故広がったんだ。非効率かつ他者の行動の妨げになるだろう。――私はそんなことは認めんぞ!」 解せぬとばかりにそんなことを言いながらしゃがみこみ、鞄を持っていない方の手で髪を分けて足場を確保し、再度立ち上がる。

2015-02-10 23:55:51
人間《オド》 @fallin_odo

「そうか、悪魔か」 少し考え込んでから、頷く。 まぁ夢ならそんなファンタジックなこともあるだろう。 「私は悪魔に会いたいではなく、願い事を叶えるまじないをしながら寝たはずだったんだが」 失敗だったか。 そう思いながら、白い少女が銀色の毛波へとダイブする様を見届けた。

2015-02-11 00:03:19
悪魔《アルセム》 @fid_abs

- 涙めいたものに濡れた緑を 哀れを模して伏せたりて 「 痛いとも。 何れもが 僕を成り立たせる 僕、其の物なのだから。 ──まして、此処は 在るべき場所だ。 『痛み』は直に来るのだよ 」  向いた炎色の悪魔へと 振り返りた仕草も又 人に似た其れだっただろうか。

2015-02-11 00:08:00
悪魔《アルセム》 @fid_abs

「 ふむ、 時に神と呼ばれるのも 僕は吝かでは無いけどね。 信じ望む者の多ければこそ 在る事が叶うのだから。 望まれるなら 君にとっての神に成るのも───あ、あ、痛い、痛いよ 」  踏まぬよにとしたとて 地を埋めたれば躓きしも必然か。 転げた娘に何ぞ言いかけたが 刻既に 遅し。

2015-02-11 00:08:11
悪魔《アルセム》 @fid_abs

「 ねえ、あのね 君達。 もうちょっと 丁重に扱って欲しいな? 髪は悪魔の命なんだから 」  頑丈なのか 仕様であろうか 転げたりた束が頭皮らしきを突っ張れど 抜けた様子は微塵にも。 俗臭さ漂う言の葉を紡ぎ、 「 仕舞うのも手間なんだよ 」  ふ、と わざとらしく息を吐きて

2015-02-11 00:08:24
悪魔《アルセム》 @fid_abs

「 仕様が無いな、 仕舞うから少し時間をおくれ 」  人からすれば無闇に大きな体躯は──平均的な人の男性であれど 頭ひとつか二つは 優に超す背丈で──、両手で顔を覆いて 人のするよに 泣く真似をして見せた。 「 で、何だっけ。 此処が何処かと 云う話だったかな? 」

2015-02-11 00:09:06
悪魔《アルセム》 @fid_abs

「 其の問いに 僕は答えるすべを持たないよ。 何故なら僕も 呼び声に訪れたに過ぎないから───けれど、そうだね 」  絲は 序に薄れ行く。 ざざり ざざり 何ぞ這うよな音と共に───しゅるり 銀の魔の足元へと集いて 「 願いを乞う声を 追うと、こう云った場所に着く事が在る 」

2015-02-11 00:10:33
悪魔《トリトマ》 @DemonKniphofia

「代償も貰わずに働く悪魔はいないわ。がっかりされても、困るわ。せっかく、楽しみにして来たのに」 眉根を寄せて目尻を下げる。困惑の表情で、鋭く睨むような青い目を見返す。声色は気弱くなるけれど、気圧されたという風でもなく穏やかに。 「その願いがあなたにとってどんなに大切なものか」

2015-02-11 00:14:19
悪魔《トリトマ》 @DemonKniphofia

「叶えるために、どれほどの代償を支払ってくれるのか。私はそれを見に来たの」 組んだ腕を解いて、白い掌を虚空へと向ければ、硝子の盃が現れる。その底から泉が湧くように、琥珀色の酒が満ちる。 「ここは、『夢』。ただの夢じゃなく、『夢魔』の作り出した、人間と悪魔を渡す橋のような場所よ」

2015-02-11 00:14:23
悪魔《トリトマ》 @DemonKniphofia

「あら、私、なにか『ありがとう』を貰うようなことをしたかしら?」 珊瑚朱色の言葉には首を傾げて。 「私、まだなぁんにもしてないわ。だから、何も貰う義理はないわよ。……ほんと、悪魔って面倒。みんながみんな、私みたいに面倒な制約に縛られてるわけじゃないけど」 愚痴めいた呟きは小声で。

2015-02-11 00:17:02
人間《セレナ》 @selenite_bride

「おぉ……これは便利です……」 シュルシュルと格納されてゆく銀のワカメを見ながら呟いて。

2015-02-11 00:22:32
人間《セレナ》 @selenite_bride

「……願い……代償……」 悪魔を自称する二人がそれぞれ口にした言葉を、反芻する。 「つまりそれは、代償を支払えば願いを叶えてもらえるという意味でしょうか……。……本当に、不思議な夢ですね」 それこそ夢幻のように、都合のいい話ではないか。

2015-02-11 00:28:55
人間《セレナ》 @selenite_bride

「……でも……もし、あなた方が、本当に、本物の悪魔なのだとしたら……神様も、あながちただの偶像ではないのかもしれませんね……」 少し伏せた目で、おおよそ、神に仕える巫女らしからぬ言葉を零す。

2015-02-11 00:31:08
人間《オド》 @fallin_odo

――剃ったら死ぬんだろうか。 冗談の通じない男は仕舞われていく銀の髪を見てそんなことを考える。 しかしなるほど、昨今の子供は悪魔に願い事をするのか。 鞄の中に入っているはずの、昼間に熟読していた本を思い返して唸る。 ちなみに本のタイトルは「内緒のおまじない100選」だ。

2015-02-11 01:24:50
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