ニンジャスレイヤー二次与太話【バレンタイン・ビトウィーン・キョート・アンド・オヒガン】

鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

【シカナ・エンタテイメント特別企画】 #4215tk

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ニンジャスレイヤー二次与太話【バレンタイン・ビトウィーン・キョート・アンド・オヒガン】 #4215tk

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ガイオン・ショージャの鐘の声、ショッギョ・ムッジョの響きあり。かつてキョートを闇から支配したザイバツは、ロードの死とともに瓦解した。彼らによりガイオンにもたらされたジゴクめいた被害も、復興により消え去ろうとしている。まさに驕れるものは久からず、である。1 #4215tk

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例えばアッパーガイオンのオミヤゲ・ストリートに目を移されよ。かつて程ではないとはいえ、既に相当数の観光客が集まっている。「逞しいわねえ」ストリート入り口にて、紫色のキモノを着た女が呆れたように呟いた。その口元はマスクと薄紫の薄布で二重に覆われている。2 #4215tk

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「確かに。ここまで混み合っているとは思いませんでした」傍らに立つもう一人の女が言った。紫キモノの女と比べ、随分と背丈が低い。コケシめいて切り揃えられた黒髪と血色のいい肌から、その育ちの良さが伺える。「ベリジェレント＝サンが妙なトラブルを起こさないといいのですが」3 #4215tk

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「ファハハ！手のかかるお友達がいると大変ね？アカチャン」「……その呼び方はやめていただけますか？パープルタコ＝サン」不機嫌に小柄な女から睨まれ、紫キモノの女……パープルタコは肩を竦める。「アーララ。ごめんなさいね、ディプレッション＝サン」4 #4215tk

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小柄な女……ディプレッションが憂鬱げにため息をついた。パープルタコはこれでもソンケイに値するワザマエの持ち主だ。しかし、この掴み所のない性格には困ったもの！その時である。ストリートの向こうから、彼女らの方へ女が二人駆けてきたのだ。5 #4215tk

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「スイマセン、遅くなりました」そう言って頭を下げるのは、七フィートはあろうかという長身の少女である。少女？然り。この四人の中では一番彼女が年下であろう。ユーレイゴスめいた白装束に白い肌。その手にはいくつかの紙袋が下げられている。6 #4215tk

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「構わないわ、アカチャン。女の買い物って長くかかるものだものね……で？どうだった？」「アッハイ。いい代替品が見つかりました」そう言って少女は紙袋を掲げる。パープルタコが目を細めた。「チョージョー。あのメンポは外行きに使えないものねえ、イルネス＝サン」7 #4215tk

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メンポ？今、メンポと言ったか？メンポといえば……ニンジャである。そう、この四人の女は……おお、なんたることか！全員がニンジャなのだ！しかも彼らはかつてのザイバツに所属していた者たちなのである！「それにしても時間がかかりましたね」ディプレッションが言った。8 #4215tk

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ディプレッションが見たのは、ユーレイゴスの少女の隣に立つパーカー姿のベリジェレントだ。彼女は不愉快そうにディプレッションを睨み返す。「なんだよ。オレのせいだってのか？」「私はあなたがケンカをしていないか心配していました」「するわけねえだろ！」9 #4215tk

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吐き捨てたベリジェレントは、それでも少しバツが悪そうに視線を逸らした。「その……イルの買い物に付き合ってたら、なんか面白そうなもん見つけたからさ……」ディプレッションは眉をひそめた。そして気づく。ベリジェレントもまた小さな袋を持っていることに。10 #4215tk

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「それは？」「アー……なんだっけ、バレンタイン？なんかそんなののセールがやってたもんだから、つい」「バレンタイン」パープルタコが少しだけ目を丸くした。「もうそんな時期だったかしら」その言葉には少なからず驚きの響きがあった。11 #4215tk

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彼女らがこの地へ来るのは久方ぶりのことである。それまでは激動の日々であり、日付のことなど意識する余裕はなかったのだ。「あのですね、ベリジェレント＝サン。我々はここに観光に来たわけでは」ディプレッションが溜息混じりに声をあげる。それをパープルタコが制止した。12 #4215tk

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「ファハハハ！いいじゃない、堅いことは言わないで。もうクエストは終わったんだもの」「ですが」なおも言い返そうとするディプレッションに、パープルタコはしゃがみ込んで視線を合わせた。その瞳がわずかに紫色の光を放つ！「いいじゃない。ねえ？」13 #4215tk

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ディプレッションが慌てて視線を逸らす！パープルタコが恐るべきヒュプノ・ジツを発動させようとしたことに気づいたための回避運動だ！「わ、わかりましたよ！だからジツはやめてください」「ファハハハ！」パープルタコは笑い、ディプレッションの頭を撫でた。14 #4215tk

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「カワイイ。ファックしたいわ」「冗談でも往来でそういうのはやめてください」ディプレッションがやや乱暴にパープルタコの手を払う。それを見ていたイルネスが困ったようにベリジェレントに視線を送る。ベリジェレントは肩を竦めただけだ。「で？どうするんだ？」15 #4215tk

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「アタシたちも買い物してくわ」「「エッ」」立ち上がったパープルタコの思いがけぬ一言に、ディプレッションとイルネスが揃って声を上げた。彼女は愉快そうに笑う。「折角のバレンタインなんだもの。楽しまなきゃ」そう言って、オミヤゲ・ストリートへと足を踏み入れる。16 #4215tk

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ディプレッションはそれを止めようと手を伸ばしかけ、止める。そして舌打ちしてから彼女の後を追った。イルネスとベリジェレントは一瞬顔を見合わせた後、のんびりと歩いてその後を追うのだった。ニンジャたちは悟られることすらなく、観光客の混雑の中へと消えた。17 #4215tk

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同時刻、オヒガンに浮かぶキョート城！そのドージョーにて、二人のニンジャが組手を行っていた！「イヤーッ！」「イヤーッ！」艶のない黒装束に身を包んだニンジャのチョップを、片方のニンジャが捌く！「イヤーッ！」そして追撃に先駆けカラテ・パンチ反撃！19 #4215tk

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黒装束ニンジャはそのパンチを掌で受け止める！そして「イヤーッ！」「グワーッ！」そのまま捻りを加えると、パンチを仕掛けたニンジャの体が錐揉み回転した！フシギ！なんたるアイキドーめいた投げ技か！投げられたニンジャはウケミを取り、即座に立ち上がった。20 #4215tk

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そしてオジギをする。「ドーモ。さすがにまだミラーシェード＝サンには勝てませんね」「ドーモ。しかしワザマエは上がっているな、リフレックス＝サン」オジギを返した黒装束ニンジャが言った。「ジュー・ジツのベーシックにもう一度立ち返るといいだろう」21 #4215tk

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「アリガトゴザイマス！」リフレックスが再度オジギ！その時、彼はドージョーに複数のニンジャが立ち入ってきたことに気づいた。ミラーシェードもそれに気づいたか、首を巡らせる。「……これはこれは。ドーモ、パープルタコ＝サン」「ドーモ、ミラーシェード＝サン。お盛んね？」22 #4215tk

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艶っぽい笑みを浮かべながらまず入ってきたのは、パープルタコである。クエストから戻ってきたか。その後ろには、同じクエストに従事していたベリジェレントらの姿。リフレックスはふと気づく。パープルタコ含め、どのニンジャも比較的大きな袋を手に持っている。23 #4215tk