鋼鉄の咆哮×艦隊これくしょんSS「超兵器の金剛 2」

横須賀鎮守府に着任した戦艦金剛の戦いははじまったばかり。
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さのすけ @_SANOSUKE_SAN_

「今回の超兵器が私の想像通りナラ、長門サンにこそこれが必要ヨ」 長門は手にある機械を見つめる。 「わかった。使わせてもらうぞ」 「オーケー。では、第零遊撃艦隊、出撃ネ!」 #超兵器の金剛2 (26)

2015-02-15 03:01:12
さのすけ @_SANOSUKE_SAN_

鎮守府を出港した艦隊は、全速力で海域に向かった。 すでに遠征艦隊は退避しており、付近の味方にも接近しないように警告を発している。 「ふふ、金剛さんからもらったコレ、早く試してみたいなあ」 五十鈴が腰に装備された対潜ロケットを撫でながら呟いた。 #超兵器の金剛2 (27)

2015-02-15 03:04:16
さのすけ @_SANOSUKE_SAN_

「五十鈴ならそれを使いこなせるヨ。頼んだネ」 「わかったわ。任せなさい!」 五十鈴の後方では、長門が渋い表情をしていた。 「むう……いつもより波の音が大きい気がするな。気持ちが落ち着かん」 「そのうち慣れるネー。それよりも、ノイズはどうカ?」 #超兵器の金剛2 (28)

2015-02-15 03:07:30
さのすけ @_SANOSUKE_SAN_

「ああ、はっきりと聞こえる。この先にいるのは間違いないな。五十鈴はどうだ?」 「私もよ長門さん。耳障りで不快な音ね……深海どもの反響音のほうが全然いいわ。……近いわね」 「速度を落とすヨ! 輪形陣!」 金剛の号令で艦隊が広がる。先頭は五十鈴が任された。 #超兵器の金剛2 (29)

2015-02-15 03:10:02
さのすけ @_SANOSUKE_SAN_

ポォン、ポォン。 五十鈴のアクティブソナーが海中を探る。 耳を澄まし、全神経を探索に向ける。 ポィン……ポォン……パァン! 「ひっ!?」 足元から槍で突き上げられるような感覚が五十鈴を襲った。 「どうした、五十鈴!」 五十鈴は耳を押さえていた。 #超兵器の金剛2 (30)

2015-02-15 03:15:01
さのすけ @_SANOSUKE_SAN_

「し、信じらんない……向こうからアクティブソナーを出して来たわ!」 「なんだと!」 「なんて音なの……こんなの聞いたことも……! ノイズ反応増大! 浮上してくるわ!」 「対潜戦闘用意!」 対潜ロケットが駆動し、五十鈴の真下に向けられる。 #超兵器の金剛2 (31)

2015-02-15 03:18:10
さのすけ @_SANOSUKE_SAN_

「吹雪サン! 五十鈴さんにしっかりついて行くんだヨ!」 「わかってます! 私だって……!」 吹雪も爆雷の投下準備に入った。 「……今よ! ロケット発射! 吹雪も爆雷を落として!」 白煙を吐いてロケットが海に突き刺さる。 そのあとを爆雷が追いかけた。 #超兵器の金剛2 (32)

2015-02-15 03:20:57
さのすけ @_SANOSUKE_SAN_

「長門さん! 探信儀ミュート!」 「っ!」 爆発とともに水柱が上がったのはその直後だった。 長門が耳元のソナーを切ったのは間一髪であった。 五十鈴がすぐさま海中を探る。 「まだ動いてる。でも軋んでる音がするわ! このまま続ける! 吹雪、遅れないで!」 #超兵器の金剛2 (33)

2015-02-15 03:23:07
さのすけ @_SANOSUKE_SAN_

円を描くように何度もその場を周回しながら、五十鈴と吹雪はロケットと爆雷を落していった。 そして、その数が100を超えようとしたとき、明らかな変化が現れた。 いくつもの気泡が海面に浮かんできたのだ。 #超兵器の金剛2 (34)

2015-02-15 03:25:14
さのすけ @_SANOSUKE_SAN_

「軋みが大きくなってる。損害を与えたみたい……! 反応増大! 浮上してくる!」 「何だと!」 「バラストが損傷して潜航できなくなったのかもしれない。長門さんのすぐ目の前よ!」 海面の気泡がさらに激しさを増していく。 長門が41cmの照準を合わせた。 #超兵器の金剛2 (35

2015-02-15 03:27:45
さのすけ @_SANOSUKE_SAN_

それは激しい水しぶきを上げて、姿を現した。 波をかぶった長門が再び目を開けると、そこにいたのは長身の彼女よりもさらに大きな身体を持つ艦(じょせい)だった。 青白い肌にいくつもの真新しい傷が浮かんだ彼女は、ライトブルーの目を血走らせていた。 #超兵器の金剛2 (36)

2015-02-15 03:30:37
さのすけ @_SANOSUKE_SAN_

≪アアアアア!!≫ 背中の艤装から発射された魚雷は10本。 そのすべてがまっすぐ長門に向かうが、彼女はそれを全弾回避した。 「潜水艦が戦艦に挑もうなどとっ……!」 砲撃しようとしたその時、長門は背後からの推進音に気付いた。 「なっ!」 魚雷だった。 #超兵器の金剛2 (37)

2015-02-15 03:32:52
さのすけ @_SANOSUKE_SAN_

それは確かに先ほど長門が回避した魚雷だった。 「誘導魚雷ダ! 気を付けテ!」 「くっ……!」 全方位から襲ってくる魚雷を避けるのに精いっぱいで、砲撃どころではなかった。 だが超兵器が長門に気を取られている隙に、赤城が攻撃機を発艦させていた。 #超兵器の金剛2 (38)

2015-02-15 03:35:29
さのすけ @_SANOSUKE_SAN_

「長門さん、今助けるわ!」 天山を中心とする航空隊が超兵器へと殺到する。 「対空兵装のない潜水艦なら!」 ≪アア、アアアァァァ……!≫ 超兵器の艤装が可動する。 それを見た長門は驚愕した。 「ほ、砲身だとっ!」 それは長門のものよりも巨大な砲塔だった。 #超兵器の金剛2 (39)

2015-02-15 03:39:22
さのすけ @_SANOSUKE_SAN_

青いサンゴのような光沢を放つ主砲が、航空隊を正面に捉える。 ≪アアアアアア!!≫ 砲声、爆発、閃光。 それらが収まった時、空を飛ぶ航空隊は半数以下に数を減らしていた。 超兵器の砲が仰角を下げる。 「逃げろ、逃げるんだ赤城!」 長門の声をかき消す第二射。 #超兵器の金剛2 (40)

2015-02-15 03:41:49
さのすけ @_SANOSUKE_SAN_

「ひっ……」 自らに飛んでくる砲弾を目にして、赤城は体がすくんだ。 避けられない。当たる。 数々の戦いを経験している彼女だからこそ、それがわかってしまった。 「赤城ィー!」 横から飛び込んできた金剛が、大きく手を広げて赤城を守る。 砲弾が炸裂する。 #超兵器の金剛2 (41)

2015-02-15 03:44:54
さのすけ @_SANOSUKE_SAN_

赤城は見た。 砲弾が金剛に直撃する寸前、緑色の光る壁に阻まれたことを。 「大丈夫?」 「え、ええ……ありがとう。助かったわ」 「長門サン! こっちは任されたヨ! やっちゃっテ!」 「言われなくてもっ!」 41cm砲が射撃を開始した。 #超兵器の金剛2 (42)

2015-02-15 03:48:42
さのすけ @_SANOSUKE_SAN_

長門の射撃は正確だった。 身体が大きいこともあって、超兵器は攻撃のほとんどを回避できずにいた。 完備に直撃弾を受けると、その身を仰け反らせて苦しんだ。 ≪アアア……アァ≫ 超兵器が射撃をやめ、足元から海へと沈んでいく。 「潜航して逃げる気よ!」 #超兵器の金剛2 (43)

2015-02-15 03:53:44
さのすけ @_SANOSUKE_SAN_

五十鈴がやらせないと主砲を構えて超兵器に接近する。 だがそれを予期していたのか、超兵器が海中から砲塔を出現させて五十鈴を迎撃した。 「きゃあっ!?」 至近からの砲撃だった。 直撃は免れたが炸裂した弾の破片と爆風が彼女を襲い、損傷を与えていた。 #超兵器の金剛2 (44)

2015-02-15 03:56:46
さのすけ @_SANOSUKE_SAN_

超兵器はその隙に潜航し、姿を消した。 「しまった……ソナーが、やられちゃった……!」 「五十鈴、大丈夫か!」 震えて倒れそうになる体を長門が支える。 「長門さん……ごめん。あいつを、逃がしちゃったわ……ッ」 大粒の涙が零れ落ちる。五十鈴は、泣いていた。 #超兵器の金剛2 (45)

2015-02-15 04:00:45
さのすけ @_SANOSUKE_SAN_

「ごめん、な、さい……! 私、わたしぃ……!」 「……まだだ。まだ終わっていない」 長門はそういうと、五十鈴の艤装についていた対潜ロケットを掴み、強引に引きちぎった。 「いたっ……。な、長門さん……?」 「大丈夫。まだやれる。私なら!」 #超兵器の金剛2 (46)

2015-02-15 04:02:47
さのすけ @_SANOSUKE_SAN_

「金剛! このロケットは私にも使えるか?」 「Oh,YES! それは戦艦でも使用可能ダヨ!」 「そうか!」 ロケットを腕に固定すると、長門は目を瞑った。 「ヘイ大淀! 五十鈴を頼むネ! 吹雪は赤城を守っテ!」 「り、了解しました!」 #超兵器の金剛2 (47)

2015-02-15 04:05:15
さのすけ @_SANOSUKE_SAN_

ポォン、ポォン。 長門のソナーが、海に鳴り響く。 対潜戦闘などやったことのない戦艦が、潜水艦の反応を探すのは至難の業だ。 それが、普通の潜水艦ならば。 ポォン……コォン。 「……! そこだあああああ!」 ロケットの一斉射。 放物線を描いて海へ落ちていく。 #超兵器の金剛2(47)

2015-02-15 04:09:25
さのすけ @_SANOSUKE_SAN_

ロケットが炸裂し、爆発が海を押し上げ波が弾けた。 音が静まるのを待って長門が探ると、明らかに海の中が騒がしくなっていた。 「あいつの苦しんでいる声が聞こえる……! 浮上してくるぞ!」 「位置を教えテ!」 「……私の、目の前だ!」 #超兵器の金剛2 (48)

2015-02-15 04:13:08
さのすけ @_SANOSUKE_SAN_

≪アアァァァ!!≫ 海中から飛び出してきた超兵器はすでに主砲を展開していた。 二連装二基四門が長門へと向けられる。 だが長門も砲を構えていた。 「食らえぇ!!」 ≪アアア!≫ 超至近距離からの砲撃。 もはやそれは殴り合いに等しいものだった。 #超兵器の金剛2 (49)

2015-02-15 04:15:28