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Yasuharu NISHI @YasuharuNishi
今週末のJaSST東京に、Michael Bolton氏が基調講演として登壇しています。彼は欧米で非常に影響力のあるテストコンサルタントであり、AST(Association for Software Testing)というテストのエキスパートのコミュニティの主要人物です。
Yasuharu NISHI @YasuharuNishi
Bolton氏を始めASTのメンバの多くは、ISO/IEC/IEEE29119シリーズに反対のスタンスです。そのため、反対請願運動を行っています。また、彼らはWebサイトで反対の意見を表明する記事を執筆しています。
Yasuharu NISHI @YasuharuNishi
私は29119シリーズを作成するISO/IEC JTC1/SC7/WG26の日本からのエキスパートであり国内委員会の主査ですが、その前にASTERのメンバであり一人のテスト技術者です。その立場として、日本では偏見の無い議論ができれば、と考えています。
Yasuharu NISHI @YasuharuNishi
そこでまず第一弾として、議論の大きな流れを掴むために、WG26のコンビーナであるStuart Reid氏の反論文を翻訳して掲載しました。こちらです。qualab.jp/response_to_st…
Yasuharu NISHI @YasuharuNishi
この反論文には、反対請願の内容が端的に示されているので、概要を掴むには最適だと思います。対訳形式にしていますので、私の誤訳もすぐに分かるようになっています。
Yasuharu NISHI @YasuharuNishi
さて、私個人のフェアな見方を紹介しましょう。まずASTは元々ISTQBと対立関係のような感じになっています。私自身から見ると、なんというか技術的な対立ではなく、ビジネス上の派閥争いにも見えますね。
Yasuharu NISHI @YasuharuNishi
29119は、表面的にはISTQBと関係ありませんが、ISTQBに関わっている人がWGのエキスパートとして多く参加しています。コンビーナのStuart ReidはISTQBの母体であるISEBの生みの親です。その流れで、かどうか分かりませんが、ASTは29119に反対です。
Yasuharu NISHI @YasuharuNishi
まぁでも、こうした派閥争いというか人間関係というかそうした話は、ゴシップ紙的な意味では面白いかもしれませんが、技術的には何の意味もありません。大事なのは、論争の技術的中身です。
Yasuharu NISHI @YasuharuNishi
技術的にフェアに見て、ASTの反対請願はISOの国際標準スキーム全体に対する反対意見が多いです。例えば国際標準は無償で提供されるべきだ、とか。それはある一面では正しいですが、29119に固有のものではありません。この論争では、29119固有の論点に絞るべきでしょう。
Yasuharu NISHI @YasuharuNishi
次に、29119の決め方、すなわちWG26の議事の進め方に関する論点も挙げられています。実際にWG26の議事進行に立ち会った者として、WG26の議事進行に問題が全く無いとは言いません。推進派で委員を固めたり、強引な採決なども見られました。
Yasuharu NISHI @YasuharuNishi
その意味で、29119を始めとしたあらゆる国際標準は、政治的産物だと考えておいた方がいいと思います。標準案を作成する過程や投票に対する意志決定での妥協や取引がありますから、技術的に完全にフェアであるとは言い切れませんね。29119も例外ではありません。
Yasuharu NISHI @YasuharuNishi
現在のSC7の標準作成プロセスには、現実的な問題があります。他のWGのエキスパートも、それは憂慮しています。ただそれはやはり、29119に限った話ではありません。前述の政治的問題もそうですし、投票国の多くは興味を示さない標準案に基本的に賛成票を投ずる、というのも問題ですね。
Yasuharu NISHI @YasuharuNishi
技術的に29119シリーズに絞った話に論点を限定しましょう。要するに、実践的で無い、重い、WF的だ、という感じですね。実践的で無い、というのはある意味正しいですし、ある意味間違っています。
Yasuharu NISHI @YasuharuNishi
29119-2は、Stuartの書き下ろしが原案です。彼の経験に、WGの皆が賛同してできたいわば"Stuart教典"です。彼は腕のいいコンサルタントですから、それなりに良い内容ですが、彼のやり方や彼のクライアントに依存したプロセスモデルになっています。
Yasuharu NISHI @YasuharuNishi
大企業というか、かっちりしたプロセスを望む組織向け、結果としてのバグの数よりも計画やトレーサビリティを尊ぶ保証型のテスト向け、経営者や管理者に説明しやすいテスト向け、大規模で複雑なテスト向け、テスト専業部隊がいるところ向け、という特徴があります。
Yasuharu NISHI @YasuharuNishi
もちろん、そうでないところに役立たない、ということではありませんよ。ただ、そういうクライアント向けのプロセスモデルだな、と思うと、割と合点がいくと思います。
Yasuharu NISHI @YasuharuNishi
ですので、そうで無い組織には、官僚的で実践的で無い、と感じられると思います。逆に、そうした組織には、かなり当たり前のことが書いてあるプロセスモデルです。
Yasuharu NISHI @YasuharuNishi
日本ではどうか、という視点で私見を述べると、参考書としては得られるところが多いと思います。ただ2者間契約や組織認証に用いるのであれば、きちんとテーラリングした方がよいと思います(どんなプロセスモデルでもそうですけどね)。
Yasuharu NISHI @YasuharuNishi
WF的である、という批判は、そう思うのもムリはないけどちょっと誤りかな、と思います。そういう批判をされる方は、騙されたと思って、一度自分でプロセスモデルを書いてみて下さい。よほど上手に書かない限り、WF的になりますから。紙というのは1次元の媒体なんですよ。
Yasuharu NISHI @YasuharuNishi
ですので、きちんと細部まで読むと、紙に書かれているのでWF的に見えますが、サイクリッックなプロセスになっていることが分かります。まぁでも、基本的思想はWFっぽいことは否めないですけどね。なので、この論点は、どっちもどっち、かな。
Yasuharu NISHI @YasuharuNishi
重い、というのは、日本のWG26としてずっと言い続けてきた論点です。Petitionに賛同します。手前味噌ですが、日本からのコメントで、これでもかなり軽くさせたんですよ。細部までよく読むと、不要なドキュメントは作らなくていい、と書いてます。これは日本からのコメントによるものです。
Yasuharu NISHI @YasuharuNishi
ただ基本的思想がStuart教なので、文書による監査に耐えられるような強度のプロセスになってしまうわけですよ。それはもう、基本思想だからしょうがない。
Yasuharu NISHI @YasuharuNishi
逆に言えば、そういう基本思想の仕事であれば、文書テンプレ群としてよくできてると思いますよ。まぁ何も考えずに適用すると重すぎて死にますけどね。
Yasuharu NISHI @YasuharuNishi
まぁ、というわけで、ここまでつらつらと、29119にまつわる論争に関する私見を述べてきました。日本ではまだ論争が起こるほど普及してませんが、これを機に日本のテスト技術者に知って欲しいな、と思います。また、技術的にフェアな論争が起こることを望んでいます。
Yasuharu NISHI @YasuharuNishi
WG委員でなくても、WG委員の所属会社でなくても、Twitterやfb、f2fで私に言って頂ければ、それが技術的にフェアな意見である限り、日本のコメントとしてISOを通してWG26に提出することを約束します。ですから、技術的にフェアに議論されることを強く望みます。
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