自我を持たぬ狂気

戦艦レ級の物語
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雪花艦隊英雄伝 @DD_LUNAKICHI

瑠奈花「傷つけるつもりがないなら早く解放して貰いたいものだな。私には急ぐ用事がある。それに…」 瑠奈花は感覚を研ぎ澄ませ、現在地を把握した 横須賀の…下水道だ 瑠奈花「ここは横須賀だな?まさか本土の地下にアジトがあったとはな」

2015-02-17 23:37:48
雪花艦隊英雄伝 @DD_LUNAKICHI

瑠奈花「私は任務を受けている。私がいなくなれば大本営はすぐに気づくはずだ。ここが特定されるのも時間の問題だぞ」 離島棲鬼「その心配はないわ。ここはもう廃棄するから」 戦艦棲姫「お前を捕らえたのは、お前に用があるからだ」

2015-02-17 23:39:26
雪花艦隊英雄伝 @DD_LUNAKICHI

瑠奈花「私に用だと?私は交渉の為の人質にはならないぞ。大本営も同じだ」 離島棲鬼「そういうことじゃないわ。“あんた”を人質にするつもりはないし、復讐が目的ならとっくに殺してる」 戦艦棲姫「お前に頼みがあるのだ」 瑠奈花「頼み?」

2015-02-17 23:40:53
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戦艦棲姫「深界の軍のトップが、とある兵器を作り出した。砲撃、雷撃は勿論、強力な艦載機をも飛ばすことのできる、最強の艤装だ」 瑠奈花「そうか、それは脅威だな」 離島棲鬼「でもそれはただの艤装じゃない。使用者自身に埋め込むように装着し、脳に直結して自我を操るの」

2015-02-17 23:41:51
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戦艦棲姫「それによって、生物を殺すことに対する抵抗をも消し去る。それが最強たる所以だ」 離島棲鬼「でもその兵器はあまりにも危険すぎた。実験段階で艤装は暴走し、使用者と共に姿を消してしまった。その場にいた全員を惨殺してね」 瑠奈花「…ひどい話だ」

2015-02-17 23:42:58
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戦艦棲姫「あれは存在してはいけないモノだ。上の連中は奴を回収し最利用しようとしているが、私はその前に破壊しようと思っている」 離島棲鬼「それをあんたに手伝ってもらいたいのよ」 瑠奈花「冗談言うな。お前たちに協力するとでも思っているのか?内輪もめは大歓迎、どんどんやってくれ」

2015-02-17 23:44:38
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瑠奈花「大体、なんで私に。戦艦棲姫がやればいいだろう。お前の力なら」 離島棲鬼「彼女は今本気を出せないのよ。渾作戦で受けた傷が痛むんですって。あんたの艦娘がつけた傷がね」 瑠奈花「それは悪かったな。だが協力する義理はない。あんたらで勝手にやってくれ」

2015-02-17 23:45:54
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離島棲鬼「これでも同じ事が言える?」 離島棲鬼はホログラムを再生した そこには両手足を縛られ、牢に入れられている吹雪の姿が映っていた 瑠奈花は大きくため息をつく 戦艦棲姫「協力してくれれば、彼女には一切危害は加えない。約束する」

2015-02-17 23:47:35
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瑠奈花はひとまず彼女を信じることにした 戦艦棲姫は誠実な人物だ。嘘をつくことはまずない。できれば人質を取るようなこともして欲しくなかったが主人がこれでは仕方ない それに図らずも、大本営からの指令と目的は一致しているかもしれない 瑠奈花「…わかったよ。お前たちに協力する」

2015-02-17 23:48:55
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離島棲鬼「話が早くて助かるわ。それじゃあ五日後、あんたの部下を五人まで連れてサーモン海まで来て頂戴。」 瑠奈花「五人だと?」 戦艦棲姫「そうだ。お前たち五人に、私を加えた六人のチームでサーモン海を探索する。支援艦隊も必要だろうが、それはこちらで用意する」

2015-02-17 23:50:21
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そう言いながら戦艦棲姫は椅子の拘束を解除した 離島棲鬼「誰を連れてきてもいいけど、下手な真似をしたらあの子もただでは済まないわよ?」 離島棲鬼はしっかり念を押しながら、瑠奈花にライトセーバーを返却した ここで二人を斬ってもよかったが、そうなると吹雪の行方がわからない

2015-02-17 23:52:48
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二人からの連絡が途絶えた時点で吹雪に危害が加わる可能性もある… 瑠奈花はグっと堪え、その場を後にした 後日、この場所を大本営の調査団が捜索したが、深海棲艦がいた痕跡はほとんど残ってなかったという

2015-02-17 23:53:27
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〜横須賀鎮守府・公文書館〜 瑠奈花は大本営の公文書館を訪れた ここには艦娘や深海棲艦のことに限らず、ありとあらゆる情報がデータベースに保存されている “砲撃、雷撃は勿論、強力な艦載機をも飛ばすことのできる” この言葉に瑠奈花はピンと来た。心覚えがある

2015-02-17 23:56:45
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しかし、求めていた情報は見つけられなかった。一時期有名になったはずなのだが 司書「何かお探しですか?」 瑠奈花「ええ、“戦艦レ級”についての資料を探しています。データベースを見ましたが、記録にないのです」 司書「少々お待ちください…」

2015-02-17 23:57:27
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司書「申し訳ありませんが、“戦艦レ級”に関する情報は存在しません」 瑠奈花「そんな、前線に出ずっぱりだった時ですら耳に入ってきたのです。存在しないはずがない」 司書「そう言われましても…ないものはないのです。あなたの妄想の産物では?」

2015-02-17 23:58:09
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瑠奈花はため息をつきながら公文書館を後にした。まるで話にならない 門川「おや、瑠奈花君かい?」 顔を上げると、そこには門川元帥がいた。もしかしたら、この人なら… 瑠奈花「門川元帥、少し相談があるのですが」 門川「君から相談とは珍しいな。カフェで話そうか」

2015-02-17 23:59:39
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〜横須賀鎮守府・喫茶店〜 鎮守府内の喫茶店に立ち寄り、飲み物を注文した。喫茶店が内蔵されているとは、やはり大本営は規模が違う 門川「おや、君はメロンソーダを飲むのかい?」 瑠奈花「小さい頃から好きなもので。飲食の嗜好はそうそう変わりませんよ」

2015-02-18 00:00:32
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門川「そういえば吹雪はどうした?先程は一緒にいたはずだが」 瑠奈花「…街に出てますよ。久しぶりの都会だってことではしゃいでました。ああいう年頃なんです」 門川は一瞬顔をしかめたが、特に気にしてはいないようだった 門川「そうか…それで、相談とは?」

2015-02-18 00:02:36
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瑠奈花「戦艦レ級について調べていたのですが、データベースには資料がなかったのです。奴は一時期我々の中で有名になりました。その資料が無いとは思えない」 門川「そうか…誰かがデータを消したのかもしれんな」 門川は怪訝な顔でコーヒーを飲み干す

2015-02-18 00:03:42
雪花艦隊英雄伝 @DD_LUNAKICHI

瑠奈花「ますます腑に落ちない。大本営のデータベースにアクセスできるのは軍の関係者だけ。その内容を改ざんするのは艦娘ですら許されていない。では誰が」 門川「…君には隠しておく必要はないだろうな。私の執務室へ来たまえ」 瑠奈花「元帥?」

2015-02-18 00:04:42
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〜エレベーター内〜 門川「戦艦レ級が最初に確認されたのは沖ノ島近辺だ。」 瑠奈花「私が北方と西方の攻略のために前線に出ていた時期ですね」 門川「当時沖ノ島で深海棲艦の妙な動きが観測されてね、その様子を探らせたんだ」

2015-02-18 00:05:21
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門川「ひどい惨状だった。多くの深海棲艦が殺され、海は血に染まっていた。死体の群れの中で唯一立っていたのが奴だ 直感的に、これはいけないと思った。我々は当時本土に残っていた戦力を可能な限り集め、なんとか奴を南方まで追い詰めた。その過程でも多くの艦娘が奴に殺された」

2015-02-18 00:06:25
雪花艦隊英雄伝 @DD_LUNAKICHI

門川「だが南方に追い詰めた途端、奴は忽然と姿を消してしまったんだ。奴を完全に倒してないことに不安はあったが、ひとまずは撤退せざるを得なかった」 瑠奈花「あの時そんなことがあったのですね…」 門川「それ以来、しばらく奴が現れることはなかったのだが…」

2015-02-18 00:07:33
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〜門川龍興の執務室〜 瑠奈花は門川に渡された資料に目を通した 瑠奈花「“謎の深海棲艦による鹿屋基地の襲撃”…」 門川「奴はまた突如現れた。しかも鹿屋とはいえ、本土にだ。哨戒網にも引っかからずに」

2015-02-18 00:08:07
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門川「奴はあまりにも神出鬼没かつ、危険だ。我々は提督達が必要以上に興味を持たぬよう、徹底した情報規制を施した。データベースからも関連情報を全て削除したんだ。その情報は今、この部屋にしか残っていない」 瑠奈花「…襲撃の後、鹿屋基地はどうなったのです?」

2015-02-18 00:08:58