鋼鉄の咆哮×艦隊これくしょんSS「超兵器の金剛3」

第零遊撃艦隊の戦いは激しさを増す!
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さのすけ @_SANOSUKE_SAN_

「わ、わかりました! この大和、粉骨砕身この艦隊に身を捧ぐと決めて参りました! この兵装、使わせていただきます!」 「オーウ、バーニングハートねー。そういうの、嫌いじゃないヨー」 一方、魚雷は吹雪と雪風に分けて積むこととなった。(25) #超兵器の金剛3

2015-02-23 01:30:26
さのすけ @_SANOSUKE_SAN_

新たな艦隊編成で半日が過ぎ、日も傾き始めたときだった。 大淀のもとに、超兵器に関するものらしき情報が舞い込んできたのだ。 それは、深海棲艦の動向を探っていた他の鎮守府からのもので、南西諸島海域にてノイズを確認したとのことだった。(26) #超兵器の金剛3

2015-02-23 01:36:50
さのすけ @_SANOSUKE_SAN_

だが情報よれば、南西諸島海域にはそれ以上の異変があったという。 深海棲艦が、居なくなったのだ。 横須賀鎮守府がここを攻略してからも、小規模な哨戒が現れることはあった。 密かに駐留している艦隊も確認されていたのだが、それらが一斉に姿を消したというのだ。(27) #超兵器の金剛3

2015-02-23 01:40:03
さのすけ @_SANOSUKE_SAN_

金剛はこれを超兵器に関係する異常事態と判断し、すぐに提督へ支持を仰いだ。 数分も立たないうちに出撃許可が下り、全員が装備を整えて海へと繰り出す。 足の遅い大和も全速力を以て航行し、艦隊は特にノイズの大きい南西諸島は沖ノ島まで進出した(28) #超兵器の金剛3

2015-02-23 01:42:40
さのすけ @_SANOSUKE_SAN_

空は快晴で、波も無い静かな海がただ広がっている。 そう、本当に、静かな海が。 「……不気味ですね。こんなに天気がいいのに、なにかしら。この嫌な気持ちは……」 索敵機を飛ばしつつ赤城が呟いた。 彼女は前日の反省からか、15.5cm三連装砲を腰に下げていた。(29) #超兵器の金剛3

2015-02-23 01:45:41
さのすけ @_SANOSUKE_SAN_

輪形陣を組んで航行する艦隊は、沖ノ島が正面に見える位置で速度を落とした。 「気をつけテ。ノイズが近くなってるネ」 金剛の言葉通り、彼女たちの耳に入ってくるノイズは大きく、けたたましくなっていた。 金剛以外は聞きなれていないためか、顔をしかめている。(30) #超兵器の金剛3

2015-02-23 01:49:36
さのすけ @_SANOSUKE_SAN_

「……! 三番機から報告、ワレ深海棲艦一隻を捕捉!」 「深海棲艦が、一隻だけ?」 吹雪が首をかしげた。 深海棲艦は単体でいることのほうが珍しいからだ。 赤城が偵察機からの情報にさらに無無を傾ける。 「……えっ、たった今何かに撃沈された!?」(31) #超兵器の金剛3

2015-02-23 01:52:44
さのすけ @_SANOSUKE_SAN_

これには赤城も驚くしかなかった。 付近に大きな艦影は見えなかったはずなのに、深海棲艦は突然爆発して沈んだというのだ。 「付近に何もいなかったの? そう、引き続き索敵お願いね」 赤城はそう言って通信を終えた。 「今聞いた通りです。もっと警戒を強めましょう」(32) #超兵器の金剛3

2015-02-23 01:55:14
さのすけ @_SANOSUKE_SAN_

艦隊は島に沿って、時計回りに付近を哨戒する。 ノイズは確実に大きくなっていた。 雪風も耳障りなそれを我慢しつつ、首から下げた双眼鏡で周囲を見渡す。 すると、島の影から何かが飛び出すのが見えた。 まるで、水面を滑るアメンボのような影が、いくつも。(33) #超兵器の金剛3

2015-02-23 01:59:59
さのすけ @_SANOSUKE_SAN_

「左舷30度! 何かがいっぱい近づいてきます!」 全員が一斉にそちらを向く。 小さな影たちが、だんだんと近づいてくるのが確認できる。 雪風がさらに目を凝らすと、それは確かな形として彼女の目に飛び込んできた。 「ぎょ、魚雷艇ですっ!」(34) #超兵器の金剛3

2015-02-23 02:02:48
さのすけ @_SANOSUKE_SAN_

全員が息をのんだ。 それは少なくとも三十艇を超える魚雷艇の群れだったのだ。 「まさか、この戦法ハ……!」 金剛が島の反対側、自分たちの後方へと振り返ると、そちらからもおびただしい数の魚雷艇が接近してきていた。 百艇以上の魚雷艇が、艦隊に遅いかかってきた。(35) #超兵器の金剛3

2015-02-23 02:06:04
さのすけ @_SANOSUKE_SAN_

「は、挟まれました! すぐに艦載機を……」 「もう遅いネ! 全艦近接戦闘準備! 複縦陣で迎え撃つヨ!」 赤城は15.5cm三連装を構え、大淀も両手に主砲を握り締める。 雪風と吹雪は腰の魚雷の発射体制も整えていた。 前から、後ろから、魚雷艇が迫りくる。(36) #超兵器の金剛3

2015-02-23 02:10:07
さのすけ @_SANOSUKE_SAN_

金剛の艤装が紫電を奔らせた。 「拡散荷電粒子砲、ファイアー!」 発射された光の雨が、魚雷艇に降り注ぐ。 だが、小規模な爆発がいくつか起こっただけでそれらを消し飛ばすことはなかった。 小回りの利く魚雷艇は、荷電粒子を回避していたのだ。(37) #超兵器の金剛3

2015-02-23 02:12:15
さのすけ @_SANOSUKE_SAN_

「くっ、当たってぇ!」 金剛が発射したのを合図に、全員が持ちうるすべての兵装で魚雷艇を迎撃する。 耐久力は高くないようで機銃でも破壊できるのだが、なにしろ数が多かった。 その速力も40ノットを超えていて、鈍足の大和を抱えた艦隊ではとても逃げ切れない。(38) #超兵器の金剛3

2015-02-23 02:16:22
さのすけ @_SANOSUKE_SAN_

「みなさん! 私を置いて逃げてください! 私の装甲なら……」 「馬鹿を言うんじゃありません!」 赤城が怒鳴るのも無理はなかった。 いくら大和でも百を超える魚雷を受ければひとたまりもないだろう。 それに、この艦隊に仲間を見捨てるという選択は、決してない。(39) #超兵器の金剛3

2015-02-23 02:20:21
さのすけ @_SANOSUKE_SAN_

魚雷艇の群れは二つに分かれて、艦隊を挟み込むようにして迫ってくる。 それはまるで、ある場所に艦隊を追い込むような動きだった。 「電探にノイズ反応……! 正面に巨大な反応が!」 全員が視線を向けた先に、それは現れた。(40) #超兵器の金剛3

2015-02-23 02:26:30
さのすけ @_SANOSUKE_SAN_

島影からゆっくりと出現した巨大艦。 腰まで届くプラチナブロンドを撫でながら、金剛たちを嘲笑している。 背負った箱型艤装からは、次々と魚雷艇が生み出されていた。 金剛が、やっぱりネ、と忌々しげにつぶやいた。 『フフ……』 「デュアル、クレイター……!」(41) #超兵器の金剛3

2015-02-23 02:32:19
さのすけ @_SANOSUKE_SAN_

超巨大双胴強襲揚陸艦『デュアルクレイター』。 それが彼女の名だった。 「大和サン! 主砲照準!」 「えっ!?」 「このままじゃあ全員仲良く轟沈ネ! ダメージさえ与えられればいい!」 「は、はい!」 18インチ砲がデュアルクレイターへ向けられる。(42) #超兵器の金剛3

2015-02-23 02:34:59
さのすけ @_SANOSUKE_SAN_

襲いかかる魚雷は吹雪たちが阻止していたが、対応できなくなってきていた。 「お願い、当たってぇ!」 轟音。 空気を揺らすほどの砲声だった。 衝撃で接近しすぎていた魚雷艇がいくつか吹き飛んだ。 刹那、デュアルクレイターの両舷を砲弾が貫く。 『フゥッ……!?』(43) #超兵器の金剛3

2015-02-23 02:39:11
さのすけ @_SANOSUKE_SAN_

初弾での直撃だった。 デュアルクレイターの艤装からは黒煙が上がり、魚雷艇を排出していたハッチがそれごと砕け落ちる。 「よし! これで……」 「きゃあっ!」 「吹雪さん!?」 見ると、吹雪が魚雷艇の攻撃で中破されていた。 浮力を失った足元が沈んでいく。(44) #超兵器の金剛3

2015-02-23 02:41:44
さのすけ @_SANOSUKE_SAN_

「このォっ……!」 金剛もまた魚雷艇の集中攻撃を受けていた。 文字通りに足で魚雷艇を蹴散らしていくが、そこまで接近されては自慢の荷電粒子砲も使えない。 「魚雷艇、残存数約50!」 大淀は眼鏡に浮かび上がった情報を、迎撃を行いながらも伝え続けていた。(45) #超兵器の金剛3

2015-02-23 02:44:50
さのすけ @_SANOSUKE_SAN_

『フ、フフフ……!』 デュアルクレイターの背後から、砲門がせり出してくる。 大きな筒状の砲身を持つそれらは、大淀に向けられていた。 「大淀サン!」 金剛が叫ぶと同時に、ロケットが放たれる。 気づいた赤城が砲で狙い撃ったが、着弾する直前にそれは爆ぜだ。(46) #超兵器の金剛3

2015-02-23 02:48:06
さのすけ @_SANOSUKE_SAN_

ロケットから飛び出した子爆弾の雨が、大淀を、そして近くにいた赤城にも降り注いだ。 「ああああっ!」 「ううっ」 赤城は甲板が損傷したのみだが、大淀は背中の艤装が大破してしまった。 「くっ、電探損傷……! 魚雷艇を把握できない……!」(47) #超兵器の金剛3

2015-02-23 02:50:06
さのすけ @_SANOSUKE_SAN_

「少しでも、少しでも隙ができたらもう一撃……!」 大和の周囲にも魚雷艇が群がっていた。 高角砲で迎撃するのに精いっぱいで、主砲の射撃は不可能だ。 金剛も、大淀も、赤城も、吹雪も、その数に押され疲弊しきっていた。 「一撃でも、一撃でも入れられれば……!」(48) #超兵器の金剛3

2015-02-23 02:52:49
さのすけ @_SANOSUKE_SAN_

「大和さんっ!」 背後で勇ましく声が上がった。 そこには、大和と背中を合わせる雪風の姿。 「こんなもの……坊ノ岬の戦いに比べれば全然ですよねっ!」 10cm高角砲を撃ちながら彼女は言った。 大和の脳裏に、数百機の米軍機が自分に殺到する様子が鮮明に浮かぶ。(49) #超兵器の金剛3

2015-02-23 02:56:03