鋼鉄の咆哮×艦隊これくしょんSS「超兵器の金剛3」

さのすけ @_SANOSUKE_SAN_

#超兵器の金剛3　第三部「沖ノ島大噴火！」(1)

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横須賀鎮守府は、蜂の巣をつついたような大騒ぎになっていた。 超兵器撃沈の報を受け、所属する艦娘たちが喜んだのもほんのわずか。 戦艦長門大破、軽巡五十鈴中破の報告が入り、その歓喜は驚愕に染まった。(2) #超兵器の金剛3

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戦艦長門は、横須賀鎮守府で最も戦歴の長い戦艦だ。 実力は鎮守府でも三本の指に入るほどで、同じ戦艦の後輩はもちろん、巡洋艦や駆逐艦らの憧れの的でもあった。 その長門が、たった一隻を相手に大破したというのだから、彼女たちにとって信じられないことだろう。(3) #超兵器の金剛3

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特に姉妹艦である陸奥の動揺は大きく、長門が鎮守府へ帰還するまでの間、ずっと顔を蒼くしながら長門の無事を祈っていた。 敵は超兵器だけではない。 鎮守府の近海とはいえ、深海棲艦がいつ出現するかわからないのだ。 だからこそ、陸奥は祈らずにはいられなかった。(4) #超兵器の金剛3

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長門を肩に担いだ金剛が戻ってきた時には、夕日が水平線の向こうへと沈みかけていた。 太陽を背にして戻ってくる二人の影を見たとき、陸奥は抑えていた感情をこらえきれず、嗚咽を押し殺しながらも涙を流した。 いの一番に海へ飛び込んで波を蹴り、金剛に駆け寄った。(5) #超兵器の金剛3

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「長門っ、長門はッ！」 すがりつくように掴みかかってくる陸奥に、金剛は優しく微笑みかける。 「心配ないヨ。すぐ入渠すれば大丈夫ネ」 「そう……よかった……よかったッ！」 力なく垂れ下がった長門の手を握り締め、金剛に並走してついて行く。(6) #超兵器の金剛3

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港には、明石を始め大勢の艦娘と妖精が待機していた。 「金剛さん！　ほかのみんなは？」 「長門が危険だったから先に私だけ帰ってきたネ。みんなは五十鈴を護衛しながら巡航速度で帰還中ダヨ」 明石は頷くと、長門をクレーンに吊るした担架に乗せた。(7) #超兵器の金剛3

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ドックに入っていく長門と陸奥の背中を確認し、金剛は再び海へと戻る。 再び彼女が仲間を連れて戻ってきたときには、空に満点の星が輝いていた。(7) #超兵器の金剛3

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金剛はほかの皆をドックへ送り届けた後、すぐに提督の待つ執務室へ向かった。 超兵器撃沈の報告をするためである。 その途中、廊下で姉妹艦である榛名とであった。 「金剛姉さま！」 「榛名カ」 「ご無事で、なによりです。これから提督に？」 コクリと金剛が頷いた。(8) #超兵器の金剛3

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「報告は早いほうがいいカラね」 「大丈夫なのですか？　かなり激しい戦闘だったと聞きました。報告は私がしますから、お姉さまは休まれたほうが……」 ぽん、と榛名の頭に手が置かれた。 くしゃくしゃと撫でまわす。 「アリガト。でも私がしなきゃいけないことダカラ」(9) #超兵器の金剛3

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「……わかりました。では私も一緒に！」 「ウン。ありがとネ、榛名」 二人は足早に廊下を歩きながら、執務室へと向かった。(10) #超兵器の金剛3

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執務室にて金剛は、出現した超兵器の特徴と撃沈時の状況、被害状況などを細かく提督に報告した。 超巨大潜水戦艦「ドレッドノート」。 それが今回、第零遊撃艦隊が撃沈した超兵器だった。 「金剛、よくやってくれた。まさか潜水艦のような戦艦が相手だったとは……」(11) #超兵器の金剛3

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「みんなの力があっての成功だったヨ。私だけじゃ厳しかったネ。提督、ありがとうネ」 「礼を言うのはこちらのほうさ。よく皆を連れて帰ってくれた。長門も先ほど意識を取り戻したそうだ」 金剛の表情に花が咲く。 「よかったデース！　長門サンは危なかったからネー」(12) #超兵器の金剛3

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「ただ困ったことに、高速修復剤を使っても破損が一部修復されないらしい」 「フム、超兵器と零距離で殴りあったからネ……」 「うむ……。しばらくは絶対安静だな」 控えていた榛名が、静かに口を開く。 「それで、提督。長門さんの代わりは、どうされます？」(13) #超兵器の金剛3

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「うむ、こればかりは私が決めるわけにはいかん。金剛の意見を聞かねばな。これを見てほしい」 金剛が受け取ったのは、戦艦型艦娘のリストだった。 一番上に長門がいて、その下にずらりと名前が並んでいる。 「全員がいつでも異動可能になっている。君が選んでくれ」(14) #超兵器の金剛3

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リストを一通り眺めて、金剛は一人の艦娘を指さした。 提督と榛名がそれを確認し、すぐに書類が作成された。 それらすべてが終わったのは、日付が変わった深夜2時のことだった。(15) #超兵器の金剛3

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次の日、金剛が第零遊撃艦隊の作戦室に入ると、二人の艦娘が彼女を待っていた。 直立不動で敬礼する二人は、明らかに緊張していた。 「ユー達が長門と五十鈴の変わりネ？」 背の高いほうの艦娘が先に答えた。 「大和型戦艦の大和です！　よろしくお願いします！」(16) #超兵器の金剛3

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数秒遅れて、背の小さい艦娘が震える声で答えた。 「か、陽炎型駆逐艦の雪風、で、す！　おっ、お願いします！」 「オーウ、大和に雪風ネ。短い間かもしれないケド、よろしくお願いしマース！」 金剛はさっそく二人に紅茶をふるまいながら、艦隊の主な任務を説明した。(17) #超兵器の金剛3

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雪風が大和以上に緊張しているのは、つい先ほど異動の辞令を受けたからだった。 実は五十鈴も戦闘によるダメージがまだ残っているらしく、念のために休養することになったのだ。 雪風は金剛とはほぼ初対面であり、だからこそ心の準備もままならなかったのである。(18) #超兵器の金剛3

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話をしている間に、大淀と赤城、吹雪らも作戦室に集まってきた。 彼女たちに自己紹介する間も、雪風はずっと冷や汗が止まらず震え続けていた。 なぜ彼女が五十鈴の代わりに選ばれたのか。 実は雪風自身に自覚はなかったが、彼女は五十鈴に次ぐ対潜成績があったのだ。(19) #超兵器の金剛3

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金剛から説明を受けても半信半疑だった雪風だが、今は場に慣れることを優先してひとまずそれは忘れることにした。 「サテ、全員集まったところで、これを見てほしいネ」 金剛が奥から持ってきたのは、多連装の魚雷発射管が複数と巨大な二基の砲塔だった。(20) #超兵器の金剛3

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「金剛さん、これは……？」 砲のほうを覗き込んでいた大和が聞く。 「18インチ連装砲65口径。昨日の戦闘での戦利品ダネ」 18インチといえば45.7cmに相当する巨砲であり、大和の46cmとほぼ同等の大きさだった。 65口径ともなれば、威力はさらに増す。(21) #超兵器の金剛3

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「こんなものを、敵は積んでいるというのですか……」 雪風が顔を蒼くしながらつぶやいた。 こんなものと砲撃戦を行った長門が無事であるのが信じられなかった。 自分なら一撃でも当たれば、いや至近弾でも受けようものならバラバラになるだろう。(22) #超兵器の金剛3

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「で、こっちの魚雷は音響誘導魚雷。敵の推進音に向かって自動で追尾していくネ」 「誘導魚雷……確か独逸が実用化していると聞きましたが、まさか超兵器も持っていたとは……」 情報通の大淀が関心するように声を上げた。(23) #超兵器の金剛3

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「研究用に魚雷はいくつか残しておくとシテ、主砲のほうは大和に積んでもらうヨ」 「ふえっ、わ、私がですか！？」 「ワタシが積んでもイイケド、それ重量オーバーでいろいろ影響出ちゃうんだよネー」 命中率が下がるならそれでもいいけど、と金剛は付け加えた。(24) #超兵器の金剛3