『Forged Justice』

道楽逆宗 @kanmusutensei

注：この二次創作は艦隊これくしょん～艦これ～を元に真・女神転生シリーズ、装甲悪鬼村正と言ったゲーム作品の要素で組み立てている他、Wizardry、ELONAなどの成分を含んでおります。

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注：読んでいて文章の拙さ、原作へのリスペクトの不足を感じる恐れが有ります。 キャラクターの味付け、原作に無いキャラクターの登場に不快感を生じる可能性が有ります。 二番煎じ、三番煎じに過ぎず、先達の劣化でしかない場合が有ります。 当方にはそれらへ補償出来かねます事を御承知下さい。

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注：Togetterを用いた統括作業を前提とする為、ツイートには番号が振られ、 #深・艦娘転生 のタグは基本的に使用されません。 深海棲艦は出ません。提督も出ません。 戦闘は有ります。正義は……有るかどうか分かりません。 以上の事は三秒で忘れて結構です。

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それでは深・艦娘転生『Forged Justice』を開始します。

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――――これは提督の物語ではない。戦争を望む者は無用である。

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――――ぼとり、と音を立てて叢雲の左手がコンクリートの床に落ちた。 叢雲は即座に切断面の血管を収縮させて止血、霊力を流し込んで蓋の如く閉じる。 体積の何％かが消失した事で出るショック症状のスイッチを意識的に切ると、脳裏に『小破』の文字が浮かんだ。 1

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（痛覚遮断を入れてなかったのに痛みが無かった……馬鹿みたいな切れ味ね） 対手の握る太刀を睨みつつ、叢雲は上半身を揺らしてバランサーの調整を図る。 自立式観測ユニットが不調な状態にも関わらず僅か数秒で調整が完了、戦闘体勢を立て直した。 2

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「……準備は出来たか？」 男の低い声が廃工場に重く響く。 「……ええ、待たせてしまったようね」 答える叢雲は片腕のみで先端の斬られた槍を構え、そしてその凛々しくも幼い顔（かんばせ）に笑みを浮かべた。 艶やかなれど、その表情の下で自身に勝ち目が無い事を理解している。 3

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冷雨の降りしきる早春の空気の中で、叢雲は汗が背中を伝うのを感じた。 物語の始まり（プロローグ）は彼女が凶手と出会う一時間程前まで遡る―――― 4

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「……暇ね」 叢雲はガールズレストラン（※１）での食事を終え、一服しながら呟いた。 客入りは疎らでお世辞にも儲かっているとは思えないが、平日の昼間なのだから当然だろう。 6 （※１：艦娘専用の食事処。ロイヤルマミヤ、いらこ食堂などが有る。叢雲が今居るのはマーミヤン）

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佐世保の鎮守府に物資の輸送をするのが今回の仕事だが、復路で運ぶ物の用意がまだ出来ていない事からこうして彼女は待ち時間を潰している。 アークロイヤルの甘い香りをデザートにしながらPDA（※２）を叩き、小さな画面上に表示されるニュースを眺めた。 7 （※２：携帯情報端末）

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『提督連続殺害事件三件目！』 提督と言う職業に就くのは半分が狂人か食い詰め者だ。鎮守府と呼ぶに足る施設と『海軍本部』とのコネクションを持っているのは全体の三分の二と言った所であり、残りは自衛の手段を擁していない場合すら有る。 8

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そんな非力な提督であれば死んだとしても一々報告などされない。拠点を構え、まともな戦力を保持した集団の指揮官が同じ手口で殺されているから潜水艦達はこの情報に注目したのである。 手順は一つ、主力艦隊が出撃・遠征している際に忍び込んで斬り殺すのみ。 9

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当然『海』に出撃している第一艦隊は反応消失（ロスト）しており、応戦した艦娘も全員殺されていて元の記事では詳細不明と言う事だった。 しかし潜水艦達は事件に使用されたであろう武器の形状や推測される犯人のプロフィールを元に周囲の映像から容疑者を既に割り出している。 10

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叢雲は添付された切り裂き魔の画像を一瞥し、『カオス協団の謎』や『金色の流星は世界滅亡の予兆？』等の見るからにオカルト記事へ興味を移した。 元の記事はゴシップや似非科学だったのだろうが、カメラとマイクを目と耳にするハッカーが探った情報は読み物としての面白さを十分に有している。 11

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先端に灰の付いた煙草はゆっくりと燃焼し、記事を読み終えるまで叢雲の薄い唇に収まっていた。 12

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プルタブを引くと充填されていた空気の抜ける音がし、微かに芋の匂いが辺りに漂う。 口に含むと、スイートポテトの後味が残る中にサイダーを流し込んだ、とでも言うような味わいを叢雲は感じた。 「まさか九州まで来てこれを飲めるとは思ってなかったわ……」 14

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関東圏でしか売っていないと思っていたゲテｍ……清涼飲料水を眺める叢雲の表情は満足気である。 例えるのなら原材料名でコーヒーよりも先に練乳が来る事で有名な『コーヒーのような物』を北関東以外で見掛けた時の三倍程度の喜びだろう。 15

道楽逆宗 @kanmusutensei

飲み終えた『芋サイダー』の缶をゴミ箱に投げ、街の散策を再開する。 佐世保も横須賀と同じく幾つもの鎮守府を持つ軍港都市であり、多くの艦娘が街中を闊歩する自衛推奨特区だ。 日常的に非合法艦娘やフリーランスの異能者が関与した騒動が起きているが、今はその様子も無かった。 16

道楽逆宗 @kanmusutensei

艦娘が生じるのには地下の龍脈が関係しており、そしてそれは異能者の出生率とも繋がりが有る。 佐世保、と言うより九州は古くから超人の類を良く生む土壌であり、深海棲艦との戦いを艦娘が担当する事であぶれた異能者が暴力沙汰を起こすのもそうおかしな話ではない。 17

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叢雲は道端で露天商をしている少女が自分と同じ叢雲モデルである事に気付き、軽く談笑して龍の根付を購入した。 ゆっくりと露天を周りながら叢雲は街外れの方へと移動して行く。 何時の間にか小雨が降り始めており、予報に無い天気に悪態を吐く人を見ながら裏路地を抜けて廃工場へと入った。 18

道楽逆宗 @kanmusutensei

叢雲の頭上を浮遊する観測ユニットが反響音を解析し、薄暗い工場内を立体的に把握する。 （確か元は対深海棲艦用の船舶の部品工場だったかしら） 異能者を乗せて出撃する船は艦娘と言う圧倒的にコストで優れる兵器の登場によって需要が無くなり、工場は多額の負債を抱えて潰れてしまった。 19

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（まぁ今はどうだって良い事ね） 叢雲はコートを脱ぎ捨てて艤装を現界させ、ゆっくりと歩みを止める。 「……出て来たらどう？　私に用が有るんでしょ？」 残響がコンクリート剥き出しの床や天井に反射して暗闇に吸い込まれると同時に、一人の男が柱の陰から姿を現した。 20