@isknymh 1.「あと一時間で私の2X歳も終わりか~」いさきなはベッドの上で時計を見ながら呟いた。週も後半の木曜日。今日は仕事も少し早く終わってよかったなぁと疲れた体をうんと伸ばす。このまま寝てしまいたいけれど、誕生日を迎える瞬間くらい見届けようかとぼんやりと考えていた。
2015-02-27 00:04:08@isknymh 2.もしかしたら彼から連絡が来るかもしれない。けれど思考に反してまぶたはどんどんと重たくなる。少しだけ…といさきなは欲望に忠実になることにした。「…はっ」いさきなが目を覚ましたのはそれから一時間と少し後。慌てて携帯を確認すると0時ぴったりに一つのメッセージ。
2015-02-27 00:04:34@isknymh 3.誕生日おめでとう。今年も素敵な1年を過ごそうね。杉原 pic.twitter.com/HWBF6hJpIE
2015-02-27 00:05:03@isknymh 4.「杉原くん…」いさきなは心の中で(寝ちゃっててゴメンね)と謝ると嬉々として返信した。『ありがとう!今年もいい歳にする!』送られてきたのは先週末少し早い誕生日を祝ったときの写真だ。「楽しかったなぁ」その時のことを思い出し、いさきなはふふっと笑った。
2015-02-27 00:05:56@isknymh 5. 2人で行った初めてのUSJ。絶叫系が苦手だって知っているはずなのに、並んでいるのは耳元で音楽が流れることで有名なジェットコースター。…なんで?「僕も初めての飛行機に乗る時は怖かったけど乗っちゃえば案外平気だったよ。一回乗ってみようよ、騙されたと思ってさ。」
2015-02-27 00:06:41@isknymh 6.にっこりした笑顔に負けた。のがそもそも間違いだった。足が宙に浮いているし、真横に傾きながら猛スピードで駆け抜けるアトラクションなんて恐怖以外の何物でもない。選んだ音楽なんて聴く余裕もない。声にならない声をあげ、地上に着いた時はぐったりとしてしまった。
2015-02-27 00:07:00@isknymh 7.「ごめんね、ちょっと休む?」心配そうに覗き込まれたら、大丈夫 としか言えない。今日はデートなんだから2人で楽しまなきゃ!「じゃあ今度は私に付き合ってね」とパークで遊び倒した後、レストランで少し早い誕生日をお祝いしてケーキと一緒に写真におさめたのだ。
2015-02-27 00:07:12@isknymh 8. あのUSJ旅行をこうやって思い返すだけでどうしようもなく頬が緩んでしまう。でも、本当に幸せな時間だった。 「また一緒にどこか行きたいなぁ…」 杉原くんからの誕生日祝いのメッセージを何度も読み返しながらいさきなは独りごちた。
2015-02-27 00:07:55@isknymh 9. きっと彼となら何をしても楽しいし、全てが幸せに繋がっている。そんな気がするのだ。もしかしたら一生行くつもりはないけど、富士急だって、バンジーだって楽しめちゃうかも。画面に写る杉原くんの優しい笑顔を見つめていると余計にそう思う。この人となら大丈夫。
2015-02-27 00:08:30@isknymh 10. そうやって物思いに耽っていると杉原くんから返信がきた。前々から知ってはいたけれどやっぱり今日は会えないみたいで。仕事が忙しいらしいから仕方ない。先週早めにお祝いしてもらえたし、我慢我慢といさきなは自分に言い聞かせた。………でもやっぱり少し寂しい。
2015-02-27 00:08:55@isknymh 11. 電話くらいなら仕事の邪魔にならないかな…? 折角の誕生日。せめて彼の声だけでも聞きたくて、『電話しても大丈夫?』と問い掛けのメッセージを杉原に送る。 しかし、聞いたとこまではいいものの、あわてんぼうのいさきなは返事が待ちきれずに電話を掛けてしまった。
2015-02-27 00:09:24@isasugina 12.日付が変わった瞬間に送ったメールの返事がきていたらしく、彼女の喜んでいる姿が浮かんできては自然と微笑む自分がいた。喜んでくれて良かったと嬉しくなるものの、今の状況を思うと胸が痛む。ベッドの上で裸のままスマホを操作する自分が真っ暗な画面に写し出された。
2015-02-27 00:10:25@isasugina 13.先程まで身体を重ねてた相手がシャワーを浴びに行ってる隙を狙い、彼女に返信する。そこでふと疑問が頭をよぎった。いつもならゆっくりしてからシャワーを浴びるはずなのに今日は早々とシャワーに行った郭。もしかして…と思考を巡らせていると手の中のスマホが動き出す。
2015-02-27 00:10:52@isasugina 14.思いもよらぬスマホの動きに手から落としそうになりながらも、画面を見ると愛しい彼女からの着信。いつもなら嬉しいはずなのだが、戸惑っている自分がいた。チラリとシャワーのある方へ目線をやれば、まだ水音がする。少しだけなら、と言い聞かせて画面をスライドさせた。
2015-02-27 00:11:21@isasugina 15.『杉原くん!メールありがとう!』声のトーンがいつもより高く興奮気味のいさきな。喜びが溢れたのか何度も感謝の言葉を述べていた。 「喜んでもらえて良かった。でもその時間は寝てたんだよね?」『それを言っちゃダメよ~ダメダメ!って!もう!何を言わせるの!』
2015-02-27 00:11:52@isasugina 16.「いさきなさんのそういうノリの良い所とか、すぐに照れる所とか…すごく好きだよ」 いつ戻ってくるかわからない状況なのにすんなりと甘い言葉を囁けたのは彼女の誕生日だからでもあり、いつも真っ直ぐに向き合ってくれるいさきなを心から好きだと感じたからだった。
2015-02-27 00:12:13@isasugina 17.『えへへ、すっごく嬉しいな!私も杉原くん大好きだよ!』はにかむ彼女を電話越しに感じ心が安らぐのも束の間。カタッと奥の方で音がして一気に現実に引き戻される。これ以上は危ないと思い「ごめん、そろそろ仕事に戻るね」と彼女の返事を待たずに慌てて電話を切った
2015-02-27 00:12:48@isasugina 18.スマホをサイドボードに戻し、布団の中に潜り込む。先程までの行為で疲れ果てて寝てしまったと装うためだ。すぐに部屋のドアが開き、足音が迫ってくる。「…それで寝てるつもり?へたくそ」頭上から、冷たい声がする。その声色からわずかな嫉妬を感じた。
2015-02-27 00:12:58@isasugina 19.布団を剥ぎ取られ、ベッドに押し倒される。「楽しい夢でも見た?口元ゆるんでる」掌が熱い。反論しようとしたら、食らいつくようなキスが降ってきた。郭の嫉妬はわかりやすい。激しく自分を求めるし、キスも愛撫も何もかもが執拗になる。体の芯が熱くなっていく。
2015-02-27 00:13:06@isasugina 20.「もう、大きくなってる」耳元で囁かれて、体が震える。耳が弱いのを知っていてそうするのだからたちが悪い。ただ喘ぐことしかできない自分をもっと溶かそうとするかのように、郭は耳に舌をねじ込みながら続ける。「意外とスキモノだよね。彼女、知ってるのかな」
2015-02-27 00:13:12@isasugina 21.素直で可愛くて、日だまりのような彼女だ。自分がこうして郭と体を重ねていることは、一生知らなくていい。なのに、なぜだろう。彼女を守りたいのに。「日が射すところに影はできる。彼女の罪だね」嫉妬の裏で泣きそうな声を出す郭のことも、また護りたいと思ってしまう。
2015-02-27 00:13:18@isasugina 22.それから、執拗な愛撫に何度も達しそうになった。もうだめ、出ちゃいそう、と声を漏らすと郭は嬉しそうに笑う。「そろそろ、挿れよっか」膨れ上がった自身を後孔にあてがい、ゆっくりと腰を進めていく。堪えていた声が出てしまうたび、郭が興奮するのがわかった。
2015-02-27 00:13:25@isasugina 23.「ねえ」繋がった部分を愛おしそうに撫でながら、郭がつぶやく。なに、と声にならない返答をすると、悪だくみをする子供のような顔で「俺も考えついたよ。彼女へのプレゼント」と返された。戸惑う自分をよそに、郭はサイドボードに手を伸ばす。
2015-02-27 00:13:32@isasugina 24.その先にあるのは自分のスマホ、そして郭は笑っている。「やめ…」嫌な予感がして声を上げるが、それと同時に郭が腰をぐいと突き出す。「…っ」制止する声は弱々しく消えた。「なんか言った?」人のスマホを事もなげに操作して、それをこちらに向ける。
2015-02-27 00:14:02@isasugina 25.恐らくカメラアプリが立ち上がっていることだろう。「彼女も君のこんな顔、きっと見たいんじゃないかな」スマホを持たないもう一方の手が頬に伸びてくる。その手はやはり熱かった。
2015-02-27 00:14:18